映画を観る前に知っておきたいこと

【ロバート・アルトマン】ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男

投稿日:2015年9月14日 更新日:

ロバート・アルトマン/ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男

『M★A★S★H マッシュ』『ナッシュビル』『ザ・プレイヤー』『ショート・カッツ』を生み出した“ア­メリカ・インディペンデント映画の父”と呼ばれたロバート・アルトマン監督の実像に迫ったドキュメンタリー。その自由な作風で多くの映画人、観客に愛されながらも、ハリウッドの映画製作システムと戦い苦難の道も歩んだその生き様はまさに、ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男だった。生誕90周年を記念して、山あり谷ありの最高にユニークな巨匠の人生が初めて明かされる。


  • 製作:2014年,カナダ
  • 日本公開:2015年10月3日
  • 上映時間:95分
  • 原題:『Altman』

予告

あらすじ

ロバート・アルトマン/ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男アルトマン作品に数多く出演したエリオット・グールドや、晩年のアルトマンと師弟のような間柄でもあったポール・トーマス・アンダーソン監督をはじめ、縁のある俳優ジュリアン・ムーア、ブルース・ウィリスら映画人の証言、現場でのオフショットやメイキング、アルトマンが自身の家族を撮影したプライベートのホームムービー、そしてアルトマン自身の肉声などから、権力に振り回されることなく映画を撮り続けた巨匠の精神、そしてアルトマン作品の裏側、映画監督ロバート・アルトマンの人生をひも解いていく。


映画を見る前に知っておきたいこと

ロバート・アルトマンとは

映画を見てもらえば、ここであえてロバート・アルトマンについて説明する意味もあまりないのだが、とりあえず興味を持ってもらう意味でロバート・アルトマンという映画監督を簡単に紹介したい。

まず、彼の代名詞となっている“ア­メリカ・インディペンデント映画の父”という呼び名がその存在をよく表している。インディペンデント映画とは、簡単に言ってしまえばインディーズ映画のことで、ようは自主制作映画である。映画製作に関して決して自分を曲げないアルトマンは、スタジオや幹部との衝突が絶えなかった。大成功をしても大失敗をしても、何とか術を見つけ、ほぼ1年に1作のペースで自分の撮りたい映画を作り続けた。それゆえ自己資金で多くの映画を撮るしかなかったのだ。

「同じ映画は二度と撮らない」と公言し、戦争からファッション、西部劇からSFと、多岐にわたるジャンルの映画を製作した。また、システムに頼らず、ジャンルを壊し、タブーを恐れず、撮影・録音方法に革命を起こし、自由に映画を撮り続けたことがハリウッドとは相容れない存在になってしまった要因である。そんなロバート・アルトマンらしさを表す“アルトマネスク(Altmanesque)”という形容詞まである。

  • アルトマネスク(Altmanesque)
    1    現実をありのままに描写 社会批評的 ジャンルの転覆
    2 ありきたりな規範に逆らう
    3 破壊不能なこと

とにかくぶれることなく己の道を一直線に進む男、それがロバート・アルトマンだ。どんな状況であれ、映画を撮り続けた彼の作品は逆風をものともしない評価を得ている。81年の生涯で、カンヌ、ベルリン、ヴェネチア映画祭すべてで最高賞を受賞(70年代以降アルトマンただ一人の快挙!)。ついにはアカデミー賞をも受賞し、“型破り”という名の王道を歩んだ。その結果、いつしか俳優をはじめ多くの映画人に尊敬される存在になっていった。そして、名だたる映画監督が影響を受けている。ロバート・アルトマン/ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男ロバート・アルトマン/ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男

少しでもロバート・アルトマンという男に興味が出てきた人は、ぜひこの映画を見てほしい。映画好きならなおさら抑えておきたい映画だ。多くの影響を与え、現代の作品に確実に通じている監督なので知っているとこれからの映画鑑賞がより有意義になること間違いなしだ。

それに映画を見れば、より深くロバート・アルトマンを理解できる。例えば彼の映画監督以外の顔。豪快なギャンブラーでありながら、優しき家庭人でもあったこと。また、お偉方の言うことには耳を傾けない一方で、俳優を家族のように大切にしたことなど、僕のこんな説明よりはるかにロバート・アルトマンのことがわかる。

ロバート・アルトマン代表作

ロバート・アルトマンに興味を持った人は本作だけでなく、実際に彼の映画を見てほしい。そこで代表作を紹介したいが、一般的に評価されているものや国際映画祭で最高賞を受賞されたものに限定する。彼の生き様からそれらの作品がすべてではないことは一目瞭然だが、とりあえずの入り口としてそうする。

  • 『M★A★S★H マッシュ』
    1970年に朝鮮戦争を扱ったブラック・コメディで、これが一番の代表作と言えるだろう。第23回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。
  • 『ビッグ・アメリカン』
    ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞した西部劇。
  • 『ショート・カッツ』
    レイモンド・カーヴァーの短編を元にした群像劇。第50回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞。
  • 『ザ・プレイヤー』
    ハリウッドの内幕を描いたサスペンス映画の傑作。第45回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞。また、前作『ポパイ』が興行的にも批評的にも失敗したことから低迷期を脱した復活作となっている。

-ドキュメンタリー, 洋画

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