映画を観る前に知っておきたいこと

アラヤシキの住人たち 認め合う事が難しい世の中へ

投稿日:2015年4月10日 更新日:

アラヤシキの住人たち

「ナージャの村」「アレクセイと泉」の本橋成一監督が、生きることの根源的な意味を考える「共に働く学び舎」の1年間を追った。長野県小谷村の山奥にあるに真木共働学舎で、それぞれがひとりひとりの能力を活かし、協力しあって生きている。人間の”いきもの”としてのエネルギーを思い出させてくれるドキュメンタリー。


  • 製作:2015年,日本
  • 日本公開:2015年5月1日
  • 上映時間:117分

あらすじ

集落でひときわ立派な茅葺の家屋「アラヤシキ=新屋敷」。2回の窓から板木を叩く音がする。その音は時を告げる音。
カンカンカン!あさだ!
その音を合図にどこからともなく人が集まり、ラジオ体操が始まる。彼らは犬や猫、ヤギ、鶏などの動物たちと着の身着のまま、思い思いに一日を過ごす。

村の先人達が代々使ってきた田畑、数軒の古民家をそのまま受け継ぎ、農業、酪農を中心に生活している。ここにはいろんな人がいるが、みんながお互いを認め合って、それぞれの力でそれぞれの人生を生きている。
そんな真木共働学舎の生活を追った。
arayasiki1

映画を見る前に知っておきたいこと

アラヤシキについて

40年前、共働学舎は宮嶋眞一郎という人によって、廃村となった後の集落に創設された。集落の中でもひときわ立派な茅葺きの家「アラヤシキ(新屋敷)」に知的障害者や自閉症などのハンディを背負った子どもや若者たちを含め、20代~60代の男女が自活している。

宮嶋眞一郎は自由学園の師として知られていて、監督である本橋成一の中学時代の恩師だ。「人間はみんな違う。違う人間が同じ時間を共有し、共に生きよう。」という思いを込めて始まった共同学者は、地に足をつけて生きる共同体として全国に点在している。
miyajima

監督・本橋成一

映画監督としてのキャリアは1998年の『ナージャの村』から。代表作『アレクセイと泉』と合わせ、世界中の映画祭でグランプリを始め、たくさん賞を受賞している。両作品とも、チェルノブイリ原発事故の被災地で暮らす人々を撮ったドキュメンタリーだ。

1960年代から写真家として活動しており、人々の生活をテーマに数多くの作品を残している。そのキャリアが活かされているのか、彼が監督するドキュメンタリー映画の映像は、とにかく息を呑むほど美しい。公式に本橋成一ギャラリーサイトがあるので、ぜひ見に行ってほしい。
そしてもしこのページを見て、この作品に興味をもったのであれば、公式ページの監督のメッセージに目を通してから見てほしい。知らずに見るよりも、きっと多くの事を学べると思う。

認め合う事が難しい世の中

「個性を尊重する」という言葉は誰もが一度は耳にしたことがあると思う。「ナンバーワンよりもオンリーワン」なんて歌が日本全国で歌われたこともあった。なんとなく、ぼんやりと良い言葉なんて思ってはいるが、現実はそうはいかない。
ネットをよく利用する人は、よくよく思い当たるだろう。まわりを見渡すと誰もが人と違うことを恐れ、優れた人はそうでない人を蔑視する。大人たちは子供に「まわりと同じようにするように」と教育するし、子供たちもそれを当然のように受け入れる。社会問題にもなっている”いじめ”も、そうした教育が背景にあるようにも思われる。

「隣の人と認め合う」。このドキュメンタリーに映る人たちは、そんな生活を地で行く人たちだ。隣の人の世界をみんなが大事にして共生している。それぞれの人の中に、世界はひとつ。それは何にも変えがたい、かけがえのない物だ。『アラヤシキの住人たち』はそんな”当たり前のこと”を知識ではなく、体験として届けてくれる。

-ドキュメンタリー, 邦画

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。