映画を観る前に知っておきたいこと

【at Home アットホーム】犯罪を生業とする、どこよりも家族らしい家族の物語

投稿日:2015年7月22日 更新日:

at home アットホーム

空き巣泥棒と生業とする父・和彦。結婚詐欺師の母、偽造職人の長男。次女も、三男も家が犯罪で生計を立てていることを知っている。そんなワケ有りの他人同士の寄せ集めの5人が、家族としての絆を守る為に奮闘する物語。

原作は『真夜中の五分前』『ストレイヤーズ・クロニクル』などの原作者としても知られる作家・本多孝好の同名小説。竹野内豊を主演に、妻を松雪泰子、子供達を坂口健太郎、黒島結菜、池田優斗がそれぞれ演じる。


  • 製作:2015年,日本
  • 日本公開:2015年8月22日
  • 上映時間:110分
  • 原作:小説『at Home』本多孝好at Home (角川文庫)
  • 予告

    あらすじ

    at home アットホーム5人家族の森山家。家の中はいつも賑やかで、仲の良い家族だ。父・和彦の職業は空き巣泥棒。夕食の場では、いつもその日の稼ぎを報告している。妻の皐月は結婚詐欺師。新たなターゲットを見つけては状況を報告、「これからどう騙していくか」に家族のみんなはあれこれと知恵を出し合った。

    長男の淳は大学へ進学せずに仕事を始め、長女の明日香は高校受験を来年に控えており、末っ子の隆史はゲームが大好きな小学4年生。なかでも淳はとてもしっかりしていて、父親が現金以外のものを盗ってくれば「我が家にとって危険だ」とたしなめる事も。一流の偽造職人を目指していて、和彦が刑務所で入っていた時の仲間・ゲンジのもとでパスポート偽造の腕を磨く日々。
    at home アットホームそんな犯罪家族、森山家には全く血の繋がりはない。5人それぞれが暗い過去を持ち、形だけだった家族を捨ててたまたま出会った他人同士が偽りの名前で暮らしていた。5人にとっていつしか森山家は、唯一心が許せる家族となっていった。

    しかしある日、森山家の平和な日々にある事件が起こる。母がターゲットにしていた不動産王の息子ミツルに、計画がバレてしまったのだ。実は、ミツルは皐月と同業の結婚詐欺師。
    at home アットホーム自分がカモにされていた事に怒りを抑えきれないミツルは、皐月に暴行を加えて監禁し、和彦に身代金1千万円を要求する。翌日昼、森山家の4人は取引の指定場所である工事中の雑居ビルへ向かう。1千万円は淳が偽造して用意した。

    明日香と隆史を車に残し、和彦と淳は建物の中へ。そこで和彦は、家族を守るために、ある決断をする―。


    映画を見る前に知っておきたいこと

    賛否両論の一冊

    原作の小説は「面白かった」という意見がほぼ満場一致。つまらないと言う感想は見当たらなかった。では何が賛否両論かというと、それは読んだ後に「心が温まるか」「ブルーになるか」。

    その原因はこの作品のテーマ、家族とは何かということに感じることがそれぞれだからなのだろうと思う。血の繋がりだけじゃない、家族の暖かさや絆に心打たれる人もいれば、その内容の重さに頭を抱える人も。

    家族の絆を大きなテーマにしている作品は数あれど、ここまでひねくれてぶっ飛んだ視点から描いた作品はそう多くはない。さすがはミステリー小説で名を馳せる本多孝好。ハートフルな話のはずなのに、裏側にひっそりと寄り添ってくるミステリー感がくせになりそう。作品の中に謎はないのに、読者自身の中に大きな謎を残す不思議な小説だ。

    家族観

    記事を書いていて、最近は家族観をテーマにした映画が多いように思う。人間の子供とバケモノの家族の絆を描いた『バケモノの子』腹違いの四姉妹の話『海町Diary』。愛をテーマにした作品『ハッピーエンドが書けるまで』どれもそれぞれに特別なテーマを持つが、広い意味では家族観をテーマにしていると言える。そんな中でこの映画が特徴的なのは、家族である前に絆が先に来ているところである。

    家族は暖かいもの、優しいもの、お互いを思い合うもの。一般的に家族と言えばそういった暖かいイメージを持つ言葉だが、現実はそうではない。“自分の家族”に身の毛もよだつ思いをする人も、残念ながら少なくはないだろう。

    この映画が考えさせるのは「家族とは何だろう」ではなく、実は「絆とは何だろう」ということなのではないかと思う。小説の後味が賛否両論なのは、この視点の前後に秘密があるような気がする。

    -ヒューマンドラマ, ミステリー・サスペンス, 邦画

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