映画を観る前に知っておきたいこと

【アタック・ナンバーハーフ・デラックス】タイで歴代興行収入2位を記録したオカマスポ根コメディシリーズの第三弾

投稿日:2016年3月17日 更新日:

アタックナンバーハーフデラックス

オネエたちが集まって結成した実在するオカマバレーボールチーム「サトリー・レック」をモデルに、偏見と戦うオネエ達の熱い青春を描いたタイ産スポ根コメディ、『アタック・ナンバーハーフ』シリーズの第3弾。

本国タイでは興行収入歴代2位を記録した大ヒットシリーズである。タイを代表するイケメンスターたちが、派手なコスチュームに身を包んでオネエを爽快に演じる様は、単純に見ていて気持ちがいい。

  • 製作:2014年,タイ
  • 日本公開:2016年4月30日
  • 上映時間:111分
  • 原題:『Satri lek tob lok taek』

予告

あらすじ

バレーボール界の頂点をめざすビー監督の呼びかけで、最強のオネエ選手たちが集められた。

監督の教え子ジュン、キャプテンのムイ、問題児のカントーク、マッチョなヌなど、個性的ではあるけれどブ厚い胸板の下に秘めた夢と情熱だけは誰にも負けない自信があった。
アタックナンバーハーフデラックス予選大会にやって来たチームは、ハチャメチャな明るさと男勝りのパワーを発揮していくが、予想外の危機に直面し、涙の数だけ迷走し、汗の量だけ暴走してしまう・・・。

誇り高き「鋼鉄の淑女」は栄冠を手にすることできるのか!?

映画を見る前に知っておきたいこと

アタック・ナンバーハーフシリーズ

知る人ぞ知るタイ産スポ根オカマコメディ、『アタック・ナンバーハーフ』。タイ映画の歴史の中で歴代2位の興行収入を誇る大ヒット作品である。

日本の漫画「アタック・ナンバーワン」をもじって日本向けのタイトルにしてあるのは見て分かる通り。原題は「サトリー・レック(鋼鉄の淑女)」というモデルとなった実在のチーム名からとっている。

最初にヒットしたのは2000年の第1作目『アタック・ナンバーハーフ』。

ベルリン、トロント国際映画祭で上映され、低予算ながらLGBTを正面から描いた作品として評価された。

ギャグもベタだし、動きはオーバーだしで「何じゃこりゃ」と思って見ていたが、聞くところによるとタイのオカマは本当にこんな感じらしい。意外と感動させるシーンもあったが、僕にとってはひたすら逆境をバネにして輝くオカマたちが爽快な映画だった。

タイの人のおだやかな人柄や雰囲気が良く伝わってくる映画でもあった。

続いて、1作目のヒットを受けて潤沢な資金でもって製作された『アタック・ナンバーハーフ2 全員集合』。

「続編ものは絶対に1作目より面白くはない」の都市伝説通り、新鮮味に欠けて評価が落ちる結果となった2作目。

「ニセ鋼鉄の淑女」が登場し、実際のサトリー・レックのメンバーがキャスティングされている。

タイのニューハーフ事情

実は、タイは世界で一番ニューハーフが多い国として有名だ。こんな映画が大ヒットを飛ばすタイはオカマに寛容な国だなぁと思いきや、全くそんなことはない。

差別や偏見は普通にあるようだし、お給料の面でも男>女>オカマときっちり区別されているのがタイという国である。オカマの人が高い給料を望むなら、一歩進んで性転換手術を受けてニューハーフになって整形して豊胸して美人になるのが手っ取り早いようだ。

なのになぜタイにニューハーフが多いのかというと、実情は当のタイ人も良く分かっていない。

よくあげられる理由は、徴兵制と出家と職業難。

タイ 出家
徴兵制:ニューハーフになってしまえば軍の風紀を乱すとして免除されるケースが多い。
出家:厳しい禁欲生活に耐えかねて同性を相手に新しい扉を開いてしまうことがある。
職業難:LGBTの人は性転換手術を受けてしまったほうが仕事がしやすい。

こうした社会的な背景が、タイの性転換手術を後押ししている事情があると考えられている。加えてタイの性転換手術の技術は凄まじく高度らしく、おまけに料金も安い。それゆえ海外から手術を受けに来る人も多く、より技術が洗練されていくという好循環があるのだそう。

タイにニューハーフが多い理由には、様々な要因が複合的に絡み合ってそうだ。

爽快なオネエたちを見て元気を出そう

キャロル』や『リリーのすべて』、『人生は小説よりも奇なり』など、LGBTをテーマに扱う映画はシリアスに愛を描く映画が多い。そんな中、同じLGBT映画でも比較的見やすい、軽いタッチの映画である。

見易いという意味では、最近はTVで活躍するオネエもよく見かけるようになった。彼らの人気の秘密は爽快なほどの開き直りっぷりにあるのだと思う。

「人とは違う」ということは、自分でもどうしても受け入れづらいものがある。特に若い時ならなおさら、人との違いを悩みとして捉えてしまうことはよくあることだと思う。

そんな時代に、オネエと呼ばれる人たちの開き直りっぷりは、自分の悩みがどうでも良くなってくるほど爽快である。そして人と違うことを受け入れたLGBTの人たちの中には、人と違うやり方で大きな成功を収める人もたくさんいる。

最近では、金髪ツインテールのガチムチマッチョLadybeardちゃんのツイッターが大人気だったり、たくましい髭をたくわえた超絶美人歌手コンチータ・ウルストが大ヒットしたり。映画界では2015年にグザヴィエ・ドランが独自のポップセンスで新しい可能性と存在感を示した。

小難しいことは良いんだよ。開き直って毎日を素敵に生きるオネエを見て元気だそう。スポーツで汗を流す爽快なオネエを見て元気だそう。

-4月公開, コメディ, 洋画
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