老人ホームで生活をすることになったパウルじいさんが、老いて周りに笑われながらも生き甲斐や目標を捨てず、ベルリンマラソン完走を目指す。パウルじいさんを演じたディーター・ハラーフォルデンはなんと78歳。ベルリンマラソンを走るパウルじいさんも凄いですが、この役のために9キロも減量して初のマラソンを演じきったディーターじいさんもすごい。彼はドイツの国民的スターで、映画を撮ったのは実に22年ぶりなんだとか。その甲斐もあって、ドイツ映画主演最優秀賞を史上最高齢で受賞しました。
- 製作:2013年,ドイツ
- 日本公開:2015年3月21日
- 原題:『Back on Track』
- 上映時間:105分
Contents
予告
あらすじ
主人公のパウルじいさんは、元オリンピックマラソン金メダリスト。妻の病気が原因で、娘に勧められ一緒に老人ホームに入居することになった。だがそこは子供だましのレクリエーションやうっとおしい規則にとらわれた退屈な日常だった。パウルじいさんはそんな老人ホームの生活にほとほと嫌気が差し、再びマラソンに挑戦することを決意する。目標はベルリンマラソン完走だ。最初はみんな笑っていた。妻でさえ呆れれていた。それでも頑張る彼の姿を見ているうちに、いつの間にかそれはみんなの目標に。そうしてホームは賑やかに変わっていった。
しかし、いよいよ大会も目前に迫ってきたある日、妻が倒れてしまう。最大の理解者を失って消沈していくパウルじいさん。施設は彼を「老人性うつ病」と診断。自由に走ることすら許されない状況に追い込まれていくのだった。果たしてパウルじいさんはベルリンマラソンを無事に完走することが出来るのか。
映画を見る前に知っておきたいこと
人生と走り方のコツは同じ
チャールズ・ディードリッヒの名言を、そのまま映像化したような作品ですね。予告編のサブキャッチコピーが印象的で好きです。「胸を張って、でも肩の力は抜いて」「人生と走り方のコツは同じ」考えたのは配給会社のZAZIE FILMSさんでしょうか。うまいこと言います。笑われても、馬鹿にされても、自分がやりたいと思った事をやる。でも肩肘張らず、意地にならず、淡々と。パウルじいさんがそうして走り続けてるうちに、呆れていた奥さんも少しずつサポートをしてくれて、最初は笑っていた老人ホームの仲間も最後には応援団を結成するほどに。
難しいんですよね、これが。郷に入れば郷に従えといいますか、ついついみんなと一緒を望んでしまうのが人の性。人と違えば不安になるし、人と比べて卑屈になるし。そうしてブレれてしまえばとても42.295kmなんて走りきれません。
この映画では”老い”がテーマですが、誰もがパウルじいさんの”老い”に相当する何かを持っているんだと思います。「ひだまりハウスでマラソンを」を見れば、パウルじいさんがそいつに立ち向かう姿にきっと勇気付けられるでしょう。