セシル・オーブリーの世界的ベストセラーとなった児童文学「アルプスの村の犬と少年」を、自然と犬に人生を捧げるニコラ・ヴァニエ監督が実写映画化した。また彼は冒険家でもあり、映画『狩人と犬、最後の旅』の監督でもある。
第二次世界大戦中、ナチス占領下のフランス。ユダヤ人家族を救うため、冬のアルプス越えに挑む孤児セバスチャンと野犬ベルの絆に心洗われる感動の物語は、フランス本国で300万人動員の大ヒットを記録した。日本でも過去に「名犬ジョリィ」としてアニメ化され、人気を博した。
主役の少年セバスチャンを演じるのは、2400人の候補者の中から選ばれたフェリックス・ボシュエ。無邪気さとたくましさをあわせ持つ少年セバスチャンを素直な感性で見事に演じ、ベル役の真っ白で大きなグレート・ピレニーズとの絶妙なコンビネーションで観客を魅せる。
- 製作:2013年,フランス
- 日本公開:2015年9月19日
- 上映時間:99分
- 原題:『Belle et Sebastien』
- 原作:セシル・オーブリーの児童文学「アルプスの村の犬と少年」
Contents
予告
あらすじ
1943年、ナチス占領下のフランス。アルプスのふもとの小さな村で暮らす孤児セバスチャンは母の帰りを待っていた。ある時、セバスチャンは山で一匹の野犬と出会う。家畜や人を襲う“野獣”と誤解され村人たちから命を狙われるその犬をベル(美女)と名付け、懸命に守る。そして孤独なもの同士、ベルとセバスチャンは心を通わせていく。
「僕が案内する。ベルと一緒に。」
その頃、村には戦争の影が忍び寄っていた。ユダヤ人一家を救うため、ベルとセバスチャンは道案内人として危険な冬のアルプス越えに命がけで挑む。しかし、それに気付いたナチスの捜索と過酷な冬のアルプスの大自然が行く手を阻む。自由を求めアルプスの向こうへ・・・
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映画を見る前に知っておきたいこと
監督・ニコラ・ヴァニエとは一体どんな人物なのか?
この映画の監督・ニコラ・ヴァニエとは一体どんな人物だろう?はっきり言ってニコラは映画監督というよりは冒険家のようだ。また自然と犬に人生を捧げた男であり、これまでの数々の旅も犬ぞりを使ったものや、犬と共に行ったものが多い。1982年に北欧ラップランド地方を徒歩で踏破したのを皮切りに、カナダのケベックやユーコン地方、ラブラドル高原、ロッキー山脈からアラスカへ、モンゴル、シベリアから北極海へ横断、縦断などかなりとんでもない旅の連続だ。一体いつ映画を撮っているんだと思うほど。
そして、その旅の体験をもとに旅行記を多数執筆している作家の面も併せ持つ。旅行記だけでなく、小説も執筆しているが、その著書の数と冒険旅行の回数は映画作品よりも多い。
現在は、19世紀末にクロンダイク川のゴールドラッシュに乗り出したアメリカ青年の冒険を描いた自作小説「L’or sous la neige(原題/雪の下の黄金)」の映画化も企画中であり、ニコラは自分の生き方と共に映画が存在しているように感じる。すべての経験が映画製作に生かされ、また旅先でインスピレーションを受ける。ニコラの中でそんな循環が繰り返され、映画も旅も自然も犬も彼の人生の一部となっているのだろう。ニコラが切り取るアルプスの美しく雄大な景色と、大自然と共に暮らす人々へのあたたかな眼差し、本作を見ればきっと彼が冒険家であることを感じる。
ニコラはこの映画を撮り終えた今、新たな冒険旅行の準備中らしい。世界最大の海と湖を巡り、太平洋からバイカル湖へと、満州、モンゴル、シベリア南部を横断する旅である。また、世界最高峰の二つの犬ゾリレース、「ユーコン・クエスト」(カナダ、ユーコン準州のホワイトホースからアラスカ、フェアバンクスに至る1600km) と「アイディタロッド犬ぞりレース」(アラスカ、アンカレジからノームに至る1750km)への出場に向けて、犬のトレーニングにも励んでいる。
本当にニコラはいつ映画を撮っているんだろうと、改めて思う。彼の中では、すべてのことが1つのこととしてつながっているのだろう。
セバスチャン役の子供フェリックス・ボシュエ
2005年、パリ生まれ。オーディションで『ベル&セバスチャン』の主役に2400人のなかなから抜擢される。本作では、無邪気さとたくましさをあわせ持つ少年セバスチャンを素直な感性で見事に演じてみせた。2015年末にフランス公開予定の『ベル&セバスチャン』の続編「Belle et Sébastien, l’aventure continue」でも主役を務めている。
フランスの女性シンガーソングライターZAZ(ザーズ)
フランスの女性シンガーソングライターZAZ(ザーズ)が主題歌の「belle」を歌っているのもこの映画の見所の1つだ。彼女はフランスを代表する国民的なシンガーソングライターで、、ドイツ、スイス、ベルギー、ギリシャ、ロシア、クロアチアなどでもトップ10内に入り国際的にもヒットした。むろん、フランスでは第1位であった。そんなZAZの歌声が映画を優しく包み込む。
ZAZ – Belle (Live version)