映画を観る前に知っておきたいこと

僕と世界の方程式
自閉症の少年が見つけた幸せのアルゴリズム

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僕と世界の方程式

間違いなんか、どこにもない。

2000年を代表するイギリス映画『リトル・ダンサー』の製作者が贈る新たな名作。

父を事故で亡くし、心を閉ざしてしまった天才少年ネイサンの友だちは数字と図形だけだった。彼は亡き父の思い出と母の深い愛情に支えられ、自らに与えられた才能で道を拓いていく。数学オリンピックを目指す天才少年が見つけた幸せのアルゴリズムとは……?

監督はTVのドキュメンタリー作品を多数手がけてきたモーガン・マシューズ。長編初監督となる本作は、自身が製作したドキュメンタリー「Beautiful Young Minds」で扱った自閉症児の記録をドラマ化した心温まる実話となっている。

ハリウッドが注目するイギリスの次世代スター、エイサ・バターフィールドが自閉症スペクトラムと診断された少年という難しい主人公を演じる。

予告

あらすじ

大好きだった父を事故で亡くし、母親や周囲に心を閉ざしてしまった少年ネイサン(エイサ・バターフィールド)。他人とのコミュニケーションが苦手な少年は、自閉症スペクトラムと診断されてしまう。

しかし、ネイサンには普通では考えられないほどの数学の理解力があった。

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© ORIGIN PICTURES (X&Y PROD) LIMITED/THE BRITISH FILM INSTITUTE / BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2014

母親ジュリー(サリー・ホーキンス)は、息子の才能を伸ばそうと数学教師マーティン(レイフ・スポール)に個人指導を依頼する。やがてネイサンは国際数学オリンピックのイギリス代表チームの一員に選ばれるまでになった。

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そして代表チームの台北合宿に参加したネイサンは、そこでライバルである中国チームの少女チャン・メイと出会う。彼女の存在は、数学一色だったネイサンの人生を変えていく。そして数学オリンピック当日、ネイサンは人生最大の選択を迫られる……

映画を観る前に知っておきたいこと

監督であるモーガン・マシューズ自身が製作したドキュメンタリーをドラマ化した作品であるため、この映画が実話であることは間違いない。

世界的にも自閉症と診断された人物が、特定の分野で異常な才能を発揮する例は多く報告されている。自閉症とは本当に病気なのだろうか?自閉症を知ることが、映画のへの理解を深めてくれるはずだ。

自閉症について

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© ORIGIN PICTURES (X&Y PROD) LIMITED/THE BRITISH FILM INSTITUTE / BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2014

自閉症についてはそもそも病気と定義するのかも、その判断が難しいとされている。それは今現在、“心の病”という見解を完全に否定できる根拠がないからだ。つまり、原因が解明されていないのである。

また過去には、何らかの心理的なストレスによって後天的に発症するという説も唱えられていた。現在は、先天的(生まれながら)な脳機能障害という見方が最も有力である。

自閉症の診断基準とされるのが以下の3点だ。

  1. 対人関係の形成が難しい「社会性の障害」
  2. ことばの発達に遅れがある「言語コミュニケーションの障害」
  3. 想像力や柔軟性が乏しく、変化を嫌う「想像力の障害」

ネイサンが診断された自閉症スペクトラムとはアスペルガー症候群とも呼ばれ、言語と知能の発達に遅れがない自閉症を指す。(※2013年発表のアメリカ精神医学会の新しい診断基準では、自閉症もアスペルガー症候群も自閉症スペクトラム障害という名称で統一された)

そしてネイサンのように自閉症と診断された人物が、特定の分野で異常な才能を発揮する例はサヴァン症候群と呼ばれ研究されている。並外れた暗算や、音楽を一度聞いただけで再現できるなど、特に数学や音楽の分野に多いようだ。もちろん、こうした才能は自閉症の中のごく一部でしか見られない。

また、このサヴァン症候群は、自閉症とは関係ないという見方もある。いわゆる天才には変わり者が多く、それが日常生活に支障が出るほどの変人であった場合に、コミュニケーション障害や自閉症に近い症状が現れているという説だ。要するに才能が先で、人格が紙一重のラインを超えてしまった人物をサヴァン症候群とする考え方である。

自閉症にしても、サヴァン症候群にしても、現代の医学では原因が解明できないからこそ、映画で真実を伝える必要があるのかもしれない。

-ヒューマンドラマ, 洋画
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