映画を観る前に知っておきたいこと

【ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声】音楽が少年の運命を変える

投稿日:2015年8月2日 更新日:

ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声

少年が大人へと成長する、そのわずか数年の間だけ輝ける声“ボーイ・ソプラノ”それは奇跡の歌声だった。その一瞬のために少年たちは青春を捧げ、音楽を通して成長する様をを瑞々しく描いた、愛と感動の物語。

“歌と人生の師”を演じるのは、アカデミー賞を2度受賞した名優ダスティン・ホフマン。“ひとりぼっちだった少年”を演じるのは、オーディションで選ばれ初の長編出演となる新星ギャレット・ウェアリング。新旧の2つの才能が共演する。監督にはアカデミー賞受賞作『レッド・バイオリン』で知られるフランソワ・ジラール。脚本は『ミッション:8ミニッツ』のベン・リプリー。

劇中で歌われるワーグナー、ヘンデルといった偉大な作曲家たちによる名曲の数々が映画をさらに盛り上げる。

  • 製作:2014年,アメリカ
  • 日本公開:2015年9月11日
  • 上映時間:103分
  • 原題:『BOYCHOIR』

予告

あらすじ

12歳の少年ステットは、学校でトラブルばかり起こす問題児だった。生活に追われ酒に溺れる母親と、2人で暮らしている。未来への希望を見いだすことが出来ず、心を閉ざしているステットの歌の才能を見抜き、国立少年合唱団のオーディションを受けるように勧める校長スティール。その時、ステット本人は自分の人生にのしかかる暗い現実を歌声が助けてくれるなんて思ってもいなかった。そんな折、突然の事故で母親が亡くし、初めて会った父親からも面倒をみることを拒否されるのだった。それを機に、著名だが厳格なカーヴェルが指導する全米一の国立少年合唱団の付属学校に転校することとなる。ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声厳しい規律、クラスメイトのいじめ、初めて触れる音楽の難しさを前に、ステットは新しい生活に馴染めずにいた。ベテラン教師のカーヴェルは、自身が過去に才能を否定されたこともあり、才能に恵まれながらも逃げてばかりの彼を認めようとしない。次第にその閉塞感や鬱屈した感情がステットを奮い立たせ、ステットは歌の世界に引き込まれていく。楽譜を読むところからスタートしたステットはみるみる上達、そして、歌うことの素晴らしさや楽しさに気が付いていく。ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声ある時、若手教員ウーリーの後押しでツアー隊のオーディションを受けることになったステットは、教師たちの前で奇跡の歌声を披露する。それは彼の類まれなる才能を誰もが認めた瞬間だった。晴れてツアーのメンバーになったステットは、学校を代表して海外公演に参加する。ステットの歌への情熱に心を動かされたカーヴェルは、病気で倒れたリードシンガーのデヴォンの代わりにステットを指名するのだった。ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声しかし、そのことが原因で合唱団の花形としてのプライドを傷つけられたデヴォンのステットへの嫌がらせはエスカレートしていくことに。そして、ついに母親を侮辱されたステットは暴力事件を起こし、退学処分を宣告されてしまうのだった。歌うことを諦めたくないステットは、退学の撤回を嘆願するが・・・

映画を見る前に知っておきたいこと

ダスティン・ホフマンとギャレット・ウェアリングのコントラスト

本作にオーディションで選ばれ、初の長編出演となるギャレット・ウェアリングの才能は、監督であるフランソワ・ジラールも賞賛している。

「12歳の子どもを配役するのはいつだって恐怖を伴う。以前仕事をしたことがある子はほとんどいない。だからオーディション以外に証拠がないんだ。しかもオーディションは惑わされることが多いから、僕は好きじゃない。でもギャレットにはステット役に必要な素晴らしい演技力があることがすぐに分かった。彼の年代にはめったに見られない集中力がある。彼の強烈さと鍛錬に感心した。俳優としての彼にとってこの映画はエキサイティングな旅の始まりになると思う。」

フランソワ・ジラール

この新しい才能とダスティン・ホフマンの共演というのは、本作の見所ではないだろうか。というのも、この映画は“恵まれない生徒にチャンスを与えることになる石頭の教師という単純な物語以上に、一人の少年が自分の恩師に、取り返しがつかなくなる前に人生とひらめきをもう一度取り戻すきっかけを与える物語”でもある。ステットがカーヴェルに与える裏返しの影響、それはギャレット・ウェアリングの演技がダスティン・ホフマンに与える影響ともいえる。

物語の終りにはカーヴェルの中でも次第に何かが変化していく。少年の運命を変えるのがカーヴェルなら、それをもたらすのはステット、すなわちギャレット・ウェアリングの役目なのだ。

本作では、ステットの類い稀な歌の才能が見いだされていくのだが、ギャレット・ウェアリングの才能が見いだされる映画でもあるところは運命的でおもしろい。そんな風にこの映画を見てみるとギャレット・ウェアリングが将来スターになっているかもしれない。

-ヒューマンドラマ

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