映画を観る前に知っておきたいこと

【COMET/コメット】独創的な映像美が無視できない新感覚ラブストーリー

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コメット comet

時間に加え時空までも組み替えてランダムにストーリーを展開させ、あるカップルの出会いから別れまでの6年間を独特のセンスの映像美で描く新感覚ラブストーリー。

現在アメリカで人気沸騰中のTVシリーズ「The Robots(原題)」を手がけるサム・エスメイル監督の長編デビュー作だ。

ヒロインのキンバリー役は『オペラ座の怪人』のエミー・ロッサム。この映画をきっかけにサム・エスメイル監督とゴールインしたことでゴシップ誌を賑わした。相手のデルを演じるのは『ダイ・ハード4.0』のジャスティン・ロング。

夢と現実どころか世界線すら曖昧にする型破りな手法で、奇妙な切なさを演出する。

  • 製作:2014年,アメリカ
  • 日本公開:2015年12月12日
  • 上映時間:91分
  • 原題:『Comet』

予告

あらすじ

彗星が来るある夜にデルとキンバリーは運命的な出会いを果たした。そうして始まった二人の6年間の恋は、激しく、そして儚く過ぎ去ってゆく。コメット cometL.A.の公園、バリのホテル、再会の列車、めまぐるしく舞台を移する二人の記憶の欠片は、やがて現実とパラレルワールドとの境界線をも越えて別れと再開を繰り返す・・・。

二つの世界の朝日の下で、キンバリーのある衝撃的な告白にデルは―。

映画を見る前に知っておきたいこと

アトラクション・ラブストーリー

コメット comet映像作家として有名な監督の作品だけあって、さすが映像美がやたらとプッシュされている本作。予告編だけを見ても独特の雰囲気を持っている作品だというのが良く分かる。

雰囲気で言えば叙情的というよりは、色使いや構図にどことなし瑞々しいポップさを感じる。

ともあれ独創的で創造的とか、叙情的な映像センスとか言われても、こればっかりは見てみないと何とも言えないところ。加えて僕のまわりには映画を映像美を中心に楽しむ文化があまりない。

個人的にはアクションなどのアトラクション的な映像を除いて、映画の映像美は脚本ありきだと思っているので、映像美をプッシュされてもなかなか興味をひかれ辛いところである。

しかしこの映画に限っては、ラブストーリーをアトラクション的に楽しめるのではないかと思わせられる映像表現が随所に散りばめられていて、目新しさという意味では群を抜いている。

脚本家サム・エスメイル

Sam Esmail サム エスメイル広報ではやたらと映像美ばかりが褒め称えられているが、脚本家サム・エスメイルの長編デビュー作ということでも注目された作品でもある。

サム・エスメイルは1作目、2作目と書いた脚本が続けざまにブラックリスト(映画化されていない優れた脚本リスト)入りし、以来脚本家として業界に関わってきた。

この映画がこのタイミングで日本にやってきたのは、TVシリーズ「The Robots(原題)」の影響だろうか。

恋愛事情が時空を超えてパラレルに展開するということは、別れた後のどうしようもなく重たい空気に、いきなり付き合う前の瑞々しい時期がフラッシュバックしたり、かと思ったらすれ違ってケンカしてたり、と思いきや幸せの絶頂にいたり。

そういうことがスクリーンで起こってるってことで・・・。

そういうやり口って、ラブストーリーの一番の見所であるギューっと胸を鷲掴みにされる様なあの切なさを感じられるかというと怪しい気もするけど、全体を通してそんなん見せられたら僕の心はどうなってしまうんや!!っていうところでものすごく興味がある。

しかも別れた二人が結ばれてるはずのパラレルワールドまで登場するってんだからもう何がなにやら・・・。

時系列を組み替えてストーリーを展開させる映画はさほど珍しくはないが、ここまで思い切りやらかしたのは『COMET/コメット』が初めてかもしれない。

こだわりの音楽

https://youtu.be/7z-2E6p-yl8
この映画の独特の雰囲気には、音楽が担う役割も相当でかい。予告編で使われているのは「It’s Ok」という曲で、日本ではまだまだ無名のアーティスト、トム・ローズンサルによるもの。

ピアノを中心に芯の良く通るクリアなボーカルと素直で綺麗なメロディーを歌うインディーフォークシンガー。一通り聞いた感じ、ジャンル的にはベン・ハワードやエド・シーランと同じ畑のアーティストっぽい。

It’s ok
I know someday I’m gonna be with you

いいさ、僕はいつか君と一緒にいるって知ってる

サビの歌詞はこんな感じ。gonna be が~するつもりっていう能動的なニュアンスを含んでいるので、解釈によっては少し意味合いが変わってくるけど、まぁそんなには遠くないだろう。

切ないやら明るいやら分からない絶妙な旋律の曲だが、どちらかというと暖かさよりも冷たさや空虚感を感じる曲だ。それにこの歌詞である。しかもAメロでは「My love has gone away(愛は去ってしまった)」としつこく繰り返す。

切ねえ!!

というわけで、映画の雰囲気もそれに近いものになっているんじゃないかと思う。

-ラブストーリー, 洋画
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