ファッション業界を驚かせたディオールの異色の起用。オートクチュール製作経験のないラフ・シモンズが、ディオール・チーフデザイナーに就任してからのコレクションを追ったドキュメンタリー。
- 製作:2014年,フランス
- 日本公開:2015年3月14日
- 原題:『Dior & I』
- 上映時間:90分
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3
映画を見る前に知っておきたいこと
- 3.1 オートククチュールとプレタポルテ
- 3.2 シモンズ氏、針子たちの仕事は、もはや執念
- 3.3 クリエイター必見
予告
あらすじ
2012年、ディオールのデザイナーに就任したラフ・シモンズ。ベルギー出身、オートクチュール製作未経験の彼の抜粋はファッション業界全体を驚かせた。それはパリ・ディオールのアトリエで働く一流の針子たちにとっても例外でなく、ラフ・シモンズとの仕事は、全く新しい挑戦だった。
彼らに与えられた仕事は8週間でコレクション用の54体ものオートクチュールを発表すること。それは通常4~6ヶ月の準備期間の半分以下の時間。斬新なアイディアとデザインを提案するラフ、伝統の技術と確かな経験で一枚の布に命を吹き込む針子たち。二人三脚で、時に対立しながら生み出される人を惹きつけるドレスに隠された、ディオールの魂を追ったドキュメンタリー。
映画を見る前に知っておきたいこと
オートククチュールとプレタポルテ
「オートクチュール=haute couture(仏)」とはもともと”高級衣装店”を意味する言葉でした。アトリエを持ち、そこで働く針子のことをクチュリエ、クチュリエール(女性)と呼び、彼らが決まった顧客の為にデザインから仕立てまで全てを行い、最高級のものを提供する店のことを「オートクチュール」今日ではこのようにして作り上げられた服のことを「オートクチュール」と呼んでいます。今日では、この様にして作られた服のことを、オートクチュールと呼んでいます。
とはいえ、誰でもがオートクチュールを名乗れるわけではなく、フランス政府の助成から成り立つ「シャンブル・サンディカル(パリ・クチュール組合)=Chambre Syndicate de la Couture Parisinnes」に加盟を許された22のメゾン(会社、商店)のみが、オートクチュールを名乗れます。それ以外のメゾンは「クチュール」として区別されています。
もうひとつ、同じような意味合いでファッション雑誌などで良く見かける言葉に「プレタポルテ=Pret-a-porter(仏)」があります。プレタポルテとは既製服のことを指し、一人の顧客に対してではなく、工業生産的に大衆向け作られた衣服の事をそう呼んでいます。
シモンズ氏、針子たちの仕事は、もはや執念
ラフ・シモンズはプレタポルテの製作をメインとして活動してきました。オートクチュール未経験の彼の起用はファッション業界を驚かせる大抜擢となったのです。現在では悪化する経済の波に圧され、シャンブル・サンディカル加盟のメゾンの中でも、オートクチュールを作るのをやめるメゾンも出てきています。そんな世情の中で試みられるディオールの新しい試み。そこにはラフ・シモンズの、針子たちの、情熱というにはあまりにも重い、執念とも言うべき戦いが映し出されています。
クリエイター必見
ディオールのパリ・アトリエに始めてカメラが入る事を許され、ラフ・シモンズ、針子たちの緊張、心配、疲労、そして歓喜の姿をありのままに撮影しています。クリエイティブな分野に携わる人であれば必ず見たい映画です。ひとつのプロジェクトを完成させるまでの世界の一流ファッションブランドの様子が、リアルに見られる機会は一生を通してもそう多くはないでしょう。