映画を観る前に知っておきたいこと

アース・トゥ・エコー
SFとファンタジーの境界線

投稿日:2015年9月30日 更新日:

アース・トゥ・エコー

全ては、謎のメッセージから始まった。

それは離ればなれになることを強いられた少年少女が、別離の前日に体験した一生忘れられない出来事。

スティーヴン・スピルバーグの『E.T.』(82)を彷彿とさせるジュブナイル映画(ティーンエイジャーを対象とした作品)でありながら、『ジュラシック・パーク』シリーズのVFXスタッフが主観映像を駆使し低予算で壮大な宇宙ロマンに挑んだ新感覚SF大作。

サム・ライミ版『スパイダーマン』三部作にスタッフとして参加していたアメリカの新鋭デイヴ・グリーン監督の長編デビュー作。


予告

あらすじ

ネバダ州にある小さな町の日常をアップし続けるビデオブロガーの少年タック(ブライアン・“アストロ”・ブラッドリー)には2人の親友がいた。聡明だか少々怖がりなマンチ(リース・ハートウィグ)と、里子として幾つもの家族を転々としてきたアレックス(テオ・ハーム)である。彼らが住む町に持ち上がった高速道路の建設計画によって3人は間もなく別離の時を迎える。

アース・トゥ・エコー

© 2014 RML Echo Films, LLC

別れの日の前日、町中で携帯電話に奇妙な画像が映し出された。建設会社はこの件に自らの責任を主張し、住民の携帯電話をすべて押収しようとする。そのことに疑念を抱いたタックは、携帯に映った画像がある場所への地図だと気づく。3人はそれぞれの親に「友だちの家に行く」と嘘の口実を告げ、闇が支配する砂漠へと自転車で向かった。

アース・トゥ・エコー

© 2014 RML Echo Films, LLC

少年たちの最後の冒険の先に待っていたのは、遥か彼方の宇宙からやってきた未知の物体との遭遇だった……

映画を見る前に知っておきたいこと

興行成績は初登場6位、そこに割と辛辣な意見も加えられ2015年の隅に追いやられた印象もある映画だが、王道のジュブナイル映画としてのストーリーは小気味よく、SFファンタジーにあえてPOVショットで挑んだ意欲作として僕の中には残っている。

評価

少年たちがそれぞれの親に「友だちの家に行く」と嘘の口実を告げて出掛ける忘れられない冒険は、『スタンド・バイ・ミー』(86)を彷彿とさせる大人への通過儀礼であり、彼らによる未知との遭遇が『E.T.』とも重なる。

そしてノスタルジックなジュブナイル映画に想いを馳せる僕を、POVショットで少年たちの視点まで誘ってくれようとするのだが、そこに新感覚SFとしてのちぐはぐさが顔を覗かせる。

サイエンス・フィクション、いわゆるSFとファンタジーの境界線はしばしば議論されているが、その曖昧さゆえに2つのジャンルを行き来するような作品は珍しくない。科学で説明できない超常現象的要素を含む作品をファンタジーと捉えるなら、ジュブナイル映画として描かれたこの物語はSFとしての説明を殆ど必要としない。

少年や少女の成長譚はどこまでも神秘的であり、宇宙や未知との遭遇以上にそこに主題が置かれたこの映画はどちらかというとファンタジーに近い。

臨場感やリアリティで無類の威力を発揮するPOVショットに、ここで若干の矛盾が生じてしまったように感じる。むしろPOVショットで犠牲となるエンターテイメント性こそ本来ファンタジーには必要な要素である。

それでもこの作品が破綻しないのは軽快で巧みなストーリーテリングに支えられているからに他ならない。

-SF
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