映画を観る前に知っておきたいこと

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パリに愛された日本人画家

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あなたは画家・藤田嗣治(つぐはる)を知っているだろうか?

フランスと日本の文化の中で生き、そして戦争に翻弄され二つの時代を生き画家人生を全­うしたフジタの知られざる半生を静謐な映像美で描く。

映画の半分を占めるフランス語の猛特訓を受け、見事にフジタを演じたのはオダギリジョー。フジタの5番目の妻・君代役には、『電車男』『嫌われ松子の一生』『縫い裁つ人』などで名実ともに日本を代表する女優・中谷美紀。

監督を務めたのは、『死の棘』で第43回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ&国際批評家連盟賞をダブル受賞し、海外でも高く評価される小栗康平。本作は10年ぶりとなる新作となった。また、日本・フランス合作であり、フランス側のプロデューサーを務めたのは、世界的大ヒットとなった『アメリ』を手掛けたクローディー・オサールである。


  • 製作:2015年,日本・フランス合作
  • 日本公開:2015年11月14日
  • 上映時間:126分
  • 映倫区分:PG12

予告

あらすじ

時代は1920年代。フランス・パリで“乳白色の肌”で裸婦を描き、日本画的である作品はパリで絶賛を浴びたフジタは、エコール・ド・パリの寵児となった。美しいパリジェンヌたちと出会い、別れ、フジタは狂乱のパリを生きた。ピカソ、ドンゲン、スーチン、キスリング、時代を彩った名だたる画家たちとともに……

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そして、1940年代。ドイツによるパリ陥落を前に戦時の日本に戻ったフジタは、「アッツ島玉砕」ほか数多くの戦争協力画を描いた。それらは大東亜の理想のもとに描かれ、日本美術界の重鎮に上り詰めていく。フジタは5番目の妻となった君代と疎開先の村で敗戦を迎えることとなる。

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戦後、“戦争責任”を問われたフジタはパリに戻り、フランス国籍を取得。以来、二度と日本の土を踏むことはなかった……


映画を見る前に知っておきたいこと

「エコール・ド・パリの寵児」と言われる画家・藤田嗣治。このエコール・ド・パリには多くの日本人画家も関係している。

エコール・ド・パリとは

エコール・ド・パリとは「パリ派」という意味を持ち、第一次世界大戦後の1920年代にパリを中心に活動した外国人画家の総称である。よってそこに厳密な定義はなく、当時の運動や思想に関わらず独自の画風を展開していた。強いて共通点を挙げるなら、彼らはパリのモンマルトルやモンパルナスに集まり、ボヘミアン的な生活をしていたことだ。

エコール・ド・パリとして知られる画家には、日本でも有名なピカソやルソーやシャガールもいる。その中でピカソ、ルソー、モディリアーニ、キスリング、スーチンらとフジタは親交があったとされる。また、エコール・ド・パリにはフジタ以外にも日本人画家は400〜500人がいたとされる。

中でも高崎剛(たかさき たけし)はひと際異彩を放つ存在であった。毎月母親から100万円の仕送りを受け、悠々と制作に没頭する様は、画家たちの間では語り草になっていた。キャンバスに金箔を張るなどその画風にもそれは表れている。しかしその才能はフジタからも将来を注目されるほど本物であった。

高崎剛 「サーカス」
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また近年になって再評価されている田中保(たなか やすし)もその一人だ。彼もフジタ同様に裸婦を描いた画家である。「裸婦のタナカ」として賞賛を浴びるも、日本に帰国することなく第二次世界大戦中のパリにおいて客死したため、その生涯はほとんど知られていない。

田中保 「長椅子の裸婦」
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生涯画家を全うしたフジタ

なぜこうも芸術は戦争の犠牲となるのだろう。映画も戦争が起こると検閲が厳しくなるなど影響を受けることが多いが、絵画も例外ではない。しかし、フジタは戦争に翻弄されながらも画家としての人生を全うしている。

エコール・ド・パリとして創作に没頭した男は、第二次世界大戦でパリがドイツに占領される直前に日本に帰国するも、陸軍美術協会理事長として戦争画を描かされることになる。

しかしフジタは戦場の残酷さ、凄惨、混乱をリアルに描き、求められた戦争画とは異なるものを描いた。そこには画家としての信念が感じられる。

そして終戦後は戦争責任を問われることとなるのだが、「国のために戦う一兵卒と同じ心境で描いたのになぜ非難されなければならないか」と大きく嘆いた。

日本に捨てられたと感じたフジタは再びフランスに戻り生涯を終えることになる。戦争に翻弄されなければまた別の作品も生まれていただろう。ただ、彼の作品にはこうした時代背景や人生観が大きく反映されたため、結局フジタ以外のフジタはいないのかもしれない。

興味がない人には少しきつい映画かもしれないが、せめて彼の裸婦画と戦争画を眺めてみてほしい。

藤田嗣治・裸婦画 「仰臥する裸婦」
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藤田嗣治・戦争画 「アッツ島玉砕」
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