映画を観る前に知っておきたいこと

【嫌な女】「嫌な女」を体現した黒木瞳の初監督作品!

投稿日:2016年5月25日 更新日:

映画 ビリギャル

堅物弁護士と天才詐欺師。腹立たしいのに羨ましい!?女の本音教えます。涙と笑いの人生リセット・エンターテイメント!

驚きの黒木瞳による初監督作品!『ビリギャル』(15)で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞した吉田羊が映画初主演し、木村佳乃とのW主演に挑む。他人と深く関わりを持たないように生きてきた友達のいない女と、無邪気に人の心に入り込んで男をその気にさせる女。全く正反対の女性二人の人生が交わる化学反応が観客に爽やかな感動を届けてくれる。

  • 製作:2016年,に本
  • 日本公開:2016年6月25日
  • 上映時間:105分
  • 原作:小節「嫌な女」桂望実

予告

あらすじ

石田徹子は一流大学を卒業し、ストレートで司法試験に合格した優秀な弁護士だった。仕事に恵まれ、結婚し家庭も手に入れたが、なぜか心は満たされない。むしろ誰かと過ごすことで自分がより一人ぼっちだと感じるような、言いようのない孤独を抱えて生きていた。気が付けば、仕事はできるが温かみのない堅物弁護士になっていた。

ある嵐の日、長いこと疎遠だった徹子の従姉・小谷夏子が弁護を頼みたいと訪ねてくる。徹子は昔からこの夏子が苦手だった。「人と同じなんて絶対に嫌!死んでも嫌!」が口癖の派手で目立ちたがり屋の女。その夏子が婚約破棄で慰謝料を請求されているという。

嫌な女

気乗りしないまま徹子は相手の男に会って話を聞くと、夏子が男名義のマンションを自分名義に変えさせようとしたが、それが叶わないとなった途端に婚約破棄を言いだしたらしい。もしかして結婚詐欺?その時夏子は徹子にこう言い放った。「私が本気だったと言えばそれまでよ。心の中なんて誰にもバレないでしょ?」

なんとか男に訴えを取り下げさせたが、夏子は弁護料も支払わずに徹子の前から姿を消してしまう。それ以来、徹子はプライベートでは離婚を切り出され、仕事では失敗続き、いつの間にか順風満帆だった人生もどこへやら……

嫌な女

再び徹子の前に夏子が現れ、図々しくまたトラブルの処理を頼んでくるのだった。今回の依頼はゴッホの絵画「ひまわり」を200万で売ったが、絵を売った男から贋作だから返金をして欲しいと訴えてきたという。やっぱり夏子は夏子だった。次から次へとトラブルの種をまいては、徹子に後始末をさせていく夏子。しかし、不思議なことに夏子に騙された男たちは、決して夏子を恨んではいなかった。それでも訴えるのは、みんな夏子にもう一度会いたいから。そんな時、夏子が暴行で警察に捕まったと連絡が入る……

映画を見る前に知っておきたいこと

「嫌な女」を体現した黒木瞳自身による監督

本作は女優・黒木瞳の初監督作品ということで話題を集めているが、監督の選考が難航したため、もともと主演するはずだった彼女が自ら買って監督を務めることとなった。ベストセラー小説である原作の映画化権を出版社に取りにいったのも彼女自身であり、この型破りな行動力は作品に対する強い思いを感じさせる。

「嫌な女」は今年のテレビドラマとしても製作されているが、そこでは堅物弁護士・石田徹子役として主演を務めている。ここが本作のおもしろいところで、監督・黒木瞳が同じ石田徹子役を務める吉田羊にどんな演技を求めるのか。

黒木瞳は誰よりもこの作品に情熱を注ぐ一方で、既にこの作品の映像化を体現している一人なのだ。これはかなり稀なケースでとても興味深い。

僕としては、ドラマとは違う石田徹子が見たいし、映画ならではの演出に期待している。急遽、初監督ということで綿密なプランなど何もないだろうが、そんな中で監督・黒木瞳の手腕が見てみたいと思うのは僕だけだろうか。

実際の撮影はもちろん苦労の連続だったようだ。そんな中、重たいシーンを後半に持ってくるという撮影スケジュールを変更し、「重いシーンは役者の体力があるうちに!」という監督・黒木瞳の役者目線ならではの撮影が成されている。

普通に考えれば、限りなくドラマの焼き増しになってしまうだろう。それでも及第点と言えるかもしれないが、ここで作品の新たな可能性を引き出せれば、名実共に黒木瞳監督の誕生だ。

厳しいかもしれないが、それができなければ「黒木瞳の初監督作品」という触れ込みは話題優先の商業的な戦略のように感じてしまう。

BETしたものが大きい代わりに、対価も大きい。映画の結末以上に、評価の方が気になるという珍しい作品だ。一人の女優が一つの作品にこれだけの情熱を注いで完成させた映画だ。評価されれば、心情的に嬉しいではないか。

「映画監督になりたくて監督をやった訳ではなく、この作品を映画で観たかったから、監督をした。」

黒木瞳

映画の結末はどうするのか?

映画自体は105分とあまり長くはないので、監督・黒木瞳がどのように伏線を引き、結末に向かわせるよう演出するのかは楽しみである。原作は同じでも、ドラマと映画では脚本が違うので、映画はまた別の結末を迎える可能性もある。ドラマの結末と比較して映画を楽しむのも黒木瞳初監督作品ならではの楽しみ方だ。

ただ、ドラマの結末とまったく同じだった場合に映画のネタバレとなってしまうので、知りたい人だけドラマの結末を読んでもらえればと思う。答え合わせとして映画を見終わった後に知る方が無難かもしれない。

ドラマの結末
click ※ネタバレ注意
夏子が死んだと聞かされた徹子は遺言のビデオレターを受け取る。そこで夏子の最後の尻拭いを依頼されてしまう徹子だったが、それは徹子と夏子の絆を思い出すきっかけとなる。

夏子の最後の頼みは、大学生になる息子にひまわりを届けて欲しいというものだった。息子は自分勝手な母親を良く思っていなかった。徹子はそんな息子に夏子のことを話すのだった。そして夏子と同じ弁護士を志す息子に、弁護士なんてという話もする。

これがラストシーンかと思いきや、この後に実は夏子は生きているという重要な結末が用意されている。夏子の死には死亡診断書まであったが、徹子はこのトリックを見破る。死亡診断書を書いた医師も夏子に魅了された男の一人だったのである。

夏子と再会した徹子は、子供の頃に果たせなかった親友の契りを確認する。そしてその場には徹子が連れて来た夏子の息子の姿も。すべてがうまくいったかと思うと、夏子は再びどこかへ消えてしまう。ドラマはやっぱり夏子は夏子だったという結末で締めくくられている。

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