映画を観る前に知っておきたいこと

JACO
ジャコ・パストリアス初のドキュメンタリー映画

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トップ・ミュージシャンの記憶から綴る、
ある天才ベーシストの魂。

メタリカのロバート・トゥルージロが制作総指揮に加わり、同じベーシストとして天才と謳われたジャコ・パストリアスの真実を映し出したドキュメンタリー。

本国アメリカでは数々の映画祭で話題となった本作だが、日本での公開がついに実現する。

監督は、ローリング・ストーンズの公式ドキュメンタリー『ストーンズ・イン・エグザイル ~「メイン・ストリートのならず者」の真実』(10)を手がけた気鋭スティーヴン・キジャック。

本編では、現存する貴重な映像により振り返るジャコの生い立ちから華々しいデビュー、そして、ジャコの訃報を告げる失意の瞬間までを、ジャコと親交を深めたミュージシャンの証言とともに追う。

フリー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)、ジョニ・ミッチェル、スティング、ウェイン・ショーター、ハービー・ハンコック、ゲディー・リー(ラッシュ)、ブーツィー・コリンズ、カルロス・サンタナ、ジェリー・ジェモットなど豪華なアーティストが出演し、ジャコの音楽家としての魅力を語る。

予告

あらすじ

1987年、35歳の若さでこの世を去った天才ベーシスト、ジャコ・パストリアス。

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© 2015 SLANG EAST/WEST LLC.

1976年、彼は人気ジャズ・フュージョン・グループのウェザー・リポートにベーシストとして加入。同年に発売したファースト・ソロ・アルバム「ジャコ・パストリアスの肖像」で見せた独特な演奏は、単なるリズム楽器だと思われていたエレクトリック・ベースのソロ楽器としての可能性を広げ、世界に多大な影響を与えた。

だが、そんな彼の人生はあまりにも早く終わりを告げることとなる。1982年にウェザー・リポートを脱退するとドラッグに溺れていく……

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© 2015 SLANG EAST/WEST LLC.

精神病院に送られた後、アパートを追い出されて路上生活を送る。そして、最終的にはクラブのバウンサーとの乱闘の末、昏睡状態に陥り、そのまま帰らぬ人となった。本作ではフリー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)、ジョニ・ミッチェル、スティングといったミュージシャンを始め、家族や友人へのインタビューを通じて、これまで知られていなかった、“神”とも崇められる1人の天才の生涯に迫る。

映画を観る前に知っておきたいこと

長年、ファンが待ち望んだジャコ・パストリアスのドキュメンタリー映画がアメリカから遅れること1年、ついに日本で公開される。

初めてジャコのプレイを聴いたのは10代の頃だろうか、彼のベースはまるでジミヘンのように自由だった。ベースをアンサンブルの花形にまで昇華した彼のスタイルは、音作りから技巧まで完全に音楽の開拓者たる姿勢を示していた。

才能溢れるミュージシャンがその価値に気付かず、すり減らしていく姿にはいつも胸が詰まる……

ジャコ・パストリアスの最期

1987年9月12日、ジャコは泥酔して立ち寄ったクラブで起こしたガードマンとの乱闘騒ぎの末、コンクリートに頭部を強打し脳挫傷で亡くなっている。彼の死は決してドラッグが直接的な原因ではない。しかし、コカインに依存していた彼は躁鬱病を患い、最期は精神病院と路上での生活を繰り返していた。この不幸な結末は荒れた生活がもたらしてしまったことは間違いない。

暴行容疑で逮捕起訴されたガードマンは、4カ月の収監の後保釈されている。

すべてのベーシストに一見の価値あり!

ジャコのドキュメンタリー映画はこれまで何度も噂されながら、なかなか実現に至らなかった。しかし、ファンはこの作品を待った甲斐がある。

4年の歳月をかけて製作された本作は、ジャコと同じ音楽の開拓者たるミュージシャンたちの証言から、彼の存在を丁寧に掘り下げている。ジャコのファンでなくとも、出演しているミュージシャンの視点から観ても興味深い作品に仕上がっている。

ただ、散々待たされたファンにとって酷い仕打ちは日本で4館しか上映されないことだ。

どうしてもと言うなら、輸入盤のDVDがすでに発売されているが、さすがに英語がわからなければきつい。とりあえず、映画のサウンド・トラックを楽しみながらレンタルを待つのがいいかもしれない。

サントラには、ジャコ自身のプレイの他、ジョニ・ミッチェルなどへの参加作、またロドリーゴ・イ・ガブリエーラやトゥルージロとレッチリのフリーのデュオによるカヴァーも収録されている。

すべてのベーシストに一見の価値ある映画だけに、日本の配給事情に口惜しさが残る。

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