映画を観る前に知っておきたいこと

ジュリエッタ
巨匠ペドロ・アルモドバル×ノーベル賞作家アリス・マンロー

ジュリエッタ

愛する娘へ 
私の前から姿を消したあなたへ
「今まで言えなかった、すべてを話すわ。」

スペインの巨匠ペドロ・アルモドバル最新作は、“女性賛歌3部作”と呼ばれる自身の代表作『オール・アバウト・マイ・マザー』(99)『トーク・トゥ・ハー』(02)『ボルベール〈帰郷〉』(06)にも通じるエモーショナルなテーマを追求したヒューマン・ドラマ。

映画の原作となったカナダのノーベル賞作家アリス・マンローの「ジュリエット(Runaway)」は、同一主人公でありながら独立した短篇「チャンス」「すぐに」「沈黙」の3編からなる。それをアルモドバル監督が巧みなストーリーテリングで、ひと続きの物語とし、魔術的なまでに深みを湛えた語り口で観る者を“虜”にする。

巨匠ペドロ・アルモドバルが、すべての母と娘に贈る人生のラブレター。


予告

あらすじ

スペインのマドリードにひとりで暮らすジュリエッタ(エマ・スアレス)。彼女には、自分を心から愛してくれている恋人ロレンソ(ダリオ・グランディネッティ)にも打ち明けていない苦悩があった。

ジュリエッタ

ある日、ジュリエッタは偶然再会した知人から「あなたの娘を見かけたわ」と告げられ、めまいを覚えるほどの衝撃を受ける。12年前、ひとり娘のアンティアは理由も語らずに突然姿を消してしまったのだ。

ジュリエッタ

ジュリエッタはそれ以来、娘には一度も会っていない。忘れかけていた娘への想いがよみがえる。ジュリエッタは、心の奥底に封印していた過去と向き合い、今どこにいるのかもわからない娘に宛てた手紙を書き始めた……


映画を観る前に知っておきたいこと

日本でも『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥ・ハー』などで知られるペドロ・アルモドバル監督。近年の活躍では、400万人を動員し、アルゼンチンの歴代興収第1位を記録した『人生スイッチ』(14)、そしてオープニング動員記録で『人生スイッチ』を抜き、社会現象にまでなった『エル・クラン』(15)の2作でプロデューサーを務めていたのが印象的だった。どちらも、そこにあるブラック・ユーモアにアルモドバル監督の匂いを感じさせた。その手腕は常に映画ファンを魅了してくれる。

そんなアルモドバル監督の最新作には、今年ボブ・ディランが受賞したことでも話題となったノーベル文学賞を初めてカナダにもたらした女流作家アリス・マンローの原作が使われている。

この二人の出会いは、一体どんな映画を生み出すのか!?

スペインの巨匠ペドロ・アルモドバル

スペインの映画監督として真っ先に名前が挙がるのがペドロ・アルモドバルだろう。

彼は人のつながりや愛といったテーマを得意とし、それを深淵な観察眼と、時にブラックなユーモアでスクリーンに映し出す。とりわけ女性を中心に添えた作品が有名であり、代表作『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥ・ハー』『ボルベール〈帰郷〉』は“女性賛歌3部作”と呼ばれている。

事故で息子を失った母親がその死を乗り越える魂の軌跡を描いた『オール・アバウト・マイ・マザー』はアカデミー外国語映画賞に輝き、愛する女性が昏睡状態となってしまった二人の男を主人公に描く愛の物語『トーク・トゥ・ハー』は、フランス映画『男と女』(66)以来となる非英語映画のアカデミー脚本賞の受賞となった。

“女性賛歌3部作”の最後となった『ボルベール〈帰郷〉』は、タンゴの名曲に乗せて贈る、 哀しくも可笑しい祖母・母・娘三世代の人生を綴った感動作だった。2006年カンヌ国際映画祭で出演した女優6人に対して女優賞が贈られ、脚本賞にも輝いた。

そんなアルモドバル監督のはじまりは、1980年に自主制作で撮った長編デビュー作『Pepi, Luci, Bom y otras chicas del montón』だった。当時、4年にわたって深夜上映が続くほどのカルト的人気を博していた。

熱狂的なファンを獲得しながら、現在ではアカデミー賞やカンヌで高く評価される。そう、彼の作品の最大の特徴は幅広い映画ファンに愛されるということだ。

ノーベル文学賞作家アリス・マンローの原作

アルモドバル監督の最新作というだけで期待感はあるが、本作の見どころはカナダ初のノーベル文学賞作家アリス・マンローの作品が原作となっている点だ。

彼女の作風は、身近な人びとや自分が見聞きしたものをモチーフに選んでいること。ひとが生きてゆくことの孤独と、孤独であるがゆえに、ひとを強く求める姿を描いていること。そして生と死、愛と性を、飾り立てず、隠すこともなく、果敢に描くことだ。

こうした姿勢は、どこかアルモドバル監督作品との相性の良さを感じさせる。

そして、彼女は短篇小説の名手としても知られる。映画の原作となった「ジュリエット(Runaway)」も、同一主人公でありながら独立した短篇「チャンス」「すぐに」「沈黙」の3編からなる。

これまで複雑な脚本を見事に書き上げてきたアルモドバル監督が、マンローの短編をひとつなぎにすることで新しく生まれ変わった物語に注目せずにはいられない。

マンローは2013年6月に執筆生活からの引退を表明している。本作は、映画で再び彼女が綴った物語に触れられる貴重な機会でもある。

CAST.STAFF.BACK.

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