映画を観る前に知っておきたいこと

彼らが本気で編むときは、
生田斗真が演じるトランスジェンダー

彼らが本気で編むときは、

カタチなんて、あとから合わせればいい

『かもめ食堂』(06)の荻上直子監督がオリジナル脚本で挑む、新しい家族の形。母親に捨てられたも同然の小学生が、叔父とトランスジェンダーの恋人との奇妙な共同生活を通して、成長していく姿を描き出す。編み物をひとつのモチーフとしながら、日本が抱えるセクシャル・マイノリティの問題に切り込んだ意欲作だ。

トランスジェンダーのリンコを生田斗真が演じて新境地を見せるほか、その恋人マキオを桐谷健太、母親に置き去りにされたトモを柿原りんか、彼らを取り巻く人々を、ミムラ、田中美佐子、小池栄子、りりィ、門脇 麦らがそれぞれ演じる。


予告

あらすじ

母ヒロミ(ミムラ)と二人で暮らす小学生の女の子トモ(柿原りんか)は、ある日突然独りきりになった。また母は娘を置いて家を出て行ってしまった。

彼らが本気で編むときは、

© 2017 「彼らが本気で編むときは、」製作委員会

独りになるとトモが頼るのは叔父のマキオ(桐谷健太)であったが、以前と違うのはマキオがリンコ(生田斗真)という美しい恋人と一緒に暮らしていること。彼女は、トモが初めて出会うトランスジェンダーの女性だった。

彼らが本気で編むときは、

© 2017 「彼らが本気で編むときは、」製作委員会

綺麗に整頓された部屋と手料理で優しくトモを迎えてくれたリンコ。それは、母が決して与えてくれなかった家庭の温もりと安らぎだった。トモは母以上の愛情を注いでくれるリンコに戸惑いながらも信頼を寄せていく。またリンコの中にも母性が芽生え始めていた。

マキオもすべてを受け入れ、3人の暮らしは永遠に続くかと思われた矢先、突然ヒロミが戻ってくる ──


映画を観る前に知っておきたいこと

荻上直子監督が5年ぶりにこの新作を撮るきっかけとなったのが、双子の母となった彼女が家族と共に過ごしたアメリカでの生活だった。当然、日本よりもセクシャル・マイノリティの人たちと接する機会が多い向こうでの暮らしが彼女の作家性を駆り立て、今の日本における彼らの立場を掘り下げるきっかけとなっていった。

荻上監督が母としてこのテーマに挑むことには非常に重要な意味がある。その視点でこそ、セクシャル・マイノリティが抱える最も切実な問題を見つめることができる。

パートナーシップ制度と婚姻

近年、世界ではセクシャル・マイノリティに対する関心が高まっていることは事実である。少しずつ偏見が理解へと変わる中、日本はこの問題に出遅れているというのが現状だ。

多くの先進国で同性婚が認められる中、日本では、2015年に東京都渋谷区で「“結婚に相当する関係”と認める証明書を発行する」という条例が定められた。そして現在では、東京都世田谷区、三重県伊賀市、兵庫県宝塚市、沖縄県那覇市が後に続いている。いわゆるパートナーシップ制度と呼ばれるものだ。

しかし、しかし、これらは条例であり、憲法で保障されるものではない。憲法の結婚に関する文言に“両性の”という表記がある以上、あくまで結婚は男女間でするものとなる。憲法のこの一言を変えるのには、大変な時間と労力を伴うため、こうしたパートナーシップ制度は重要な意味を持っているのは確かだ。

ただ、パートナーシップ制度と憲法で保障される婚姻には決定的な違いがある。パートナーシップ制度の多くは、親権に制限が設けられているのだ。

パートナーシップ制度ではどちらかに子供がいる場合、共同親権を持つことができない。この現実が、“結婚に相当する関係”とされるパートナーシップ制度と婚姻に明確な差を生んでいる。

トモの母親になりたいと願うリンコにとって、こうした日本におけるセクシャル・マイノリティの問題は大きな壁となって立ちはだかる。荻上監督の母としての視点が、ここに切り込むための最大の武器と言えるだろう。

キャスト紹介

『人間失格』(09)『脳男』(13)などで主演を務めてきた生田斗真が、これまでで最も難しい役と語ったのが本作のリンコだ。「他には考えられない」と生田のキャスティングを推したのが、他でもない荻上監督だった。そのうえで、生田斗真がトランスジェンダーを演じるからおもしろいのではなく、リンコというキャラクター自体を魅力的に見せることを要求したという。

荻上監督と生田、この映画は二人にとって新しい挑戦となった。

生田斗真

1996年、ジャニーズJr.として活動を開始。2010年に『人間失格』で映画初主演を果たし、この頃から本格的に俳優として活動。『グラスホッパー』(15)『秘密 THE TOP SECRET』(16)『土竜の唄』シリーズなど話題作で主演を務め、2017年は河原和音の人気コミックの実写映画化『先生!』にも出演が決定している。

桐谷健太

2009年に『九龍で会いましょう』の山崎ケン役で俳優デビュー。子供の頃に映画館で『グーニーズ』を観て役者を志したという彼は、主演こそ少ないものの、『バクマン。』(15)『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(16)など話題作に出演が続く。

配役

  • リンコ:生田斗真
    戸籍上は男性のトランスジェンダー。マキオと暮らしながらトモを優しく迎え入れる。
  • マキオ:桐谷健太
    ヒロミの弟であり、トモの叔父。一目惚れしたリンコと暮らす。
  • トモ:柿原りんか
    母親に捨てられたも同然の小学生。
  • ヒロミ:ミムラ
    トモの母親。
  • フミコ:田中美佐子
    リンコの母。
  • ナオミ:小池栄子
    トモの同級生カイの母親。
  • サユリ:りりィ
    トモの祖母。
  • 佑香:門脇 麦
    リンコの同僚。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。