映画を観る前に知っておきたいこと

【木屋町 DARUMA】あまりの過激さから出版されなかった原作

投稿日:2015年9月10日 更新日:

木屋町 DARUMA

あまりの過激さから複数の大手出版社に刊行を断られたという丸野裕行の同名小説を、『捨てがたき人々』の榊英雄が映像化。彼は『2つ目の窓』などで俳優としても活躍する。

主演は、四肢を失いながらも裏稼業に生きる男を演じたベテラン俳優の遠藤憲一。文字通りその姿はDARUMA”である。一体どうやって撮影したのかも気になるところ。共演は、『極道大戦争』の三浦誠己、『祖谷物語 おくのひと』の武田梨奈。血だらけになりながら迫真の表情を見せる遠藤憲一とイメージとはかけ離れた卑猥な言葉を吐く武田梨奈は衝撃だ。

小説の時点で過激過ぎる描写が、映像化でさらに破壊力を増している。この問題作を直視できるか!?

    • 製作:2014年,日本
    • 日本公開:2015年10月3日
    • 上映時間:116分
    • 映倫区分:R15+
    • 原作:小説「木屋町 DARUMA」丸野裕行

木屋町DARUMA

予告

あらすじ

かつて京都の木屋町を牛耳る組織を束ねていた勝浦茂雄(遠藤憲一)は、5年前のある事件で四肢を失った。今では、ハンデのある身体で債務者の家に乗り込み、嫌がらせをして回収する捨て身の取立て稼業で生計を立てていた。木屋町 DARUMA勝浦の弟分である古澤(木村祐一)から世話を命じられた坂本(三浦誠己)の助けを借り、次々仕事をこなしてゆく。そんなある日、真崎という一家に対する追い込みの仕事が入る。その家族は、勝浦を裏切り、金と麻薬を持ち逃げした元部下サトシの身内だった。木屋町 DARUMA勝浦はその事件の責任を取って四肢を失ったのだが、事件に違和感を感じた坂本が過去を嗅ぎ回り始める。人生が壊れてゆく債務者たちを見つめながら、薄汚い闇社会でもがく勝浦と坂本は、5年前のある真実を知ってしまうのだった・・・

映画を見る前に知っておきたいこと

原作の「木屋町 DARUMA」と著者・丸野裕行

この映画かなりの問題作である。それもそのはず、原作が相当の問題作なのだ。原作である丸野裕行の小説「木屋町 DARUMA」は、あまりに過激な内容のため複数の大手出版社に刊行を断られ、結局は電子書籍で出版されている。

著者である丸野裕行は「裏社会ライター」という肩書きを持つ変わった作家だ。他にも脚本家や映画プロデューサーの顔も持ち、ラジオやテレビに出演するタレントとしても活動している。一体どんな作家で「裏社会ライター」とはなんなのか気になってしまう。こんな過激な作品を執筆できる裏にどんな経緯があるのかは、「木屋町 DARUMA」の評価にも直結してくる。

「裏社会ライター」というのは、丸野裕行がアンダーグラウンドな取材をもとに執筆することに由来する。作品がどれだけ真実に基づいていているのかは定かではないが、彼のトークライブでは真相が表で語られない盗みや殺人や裏取引、エロなど裏社会の話が語られている。そして、その話題はトークライブで盛り上がりを見せる。テレビなどメジャーな場では内容が過激過ぎて結局話せなかったりすることも多いと本人は語っている。「木屋町 DARUMA」は限りなく実際の話なのでは・・・この小説の舞台となっている京都の木屋町も丸野裕行が学生時代によく遊んだ場所らしい。

「ぼくらが木屋町で遊んでいたころ、殺傷事件があったため、あんまり柄のいいイメージではなかったんですけどね。呼び込みもいっぱいいたし。いまでこそ交番がありますが、当時は、いま、映画館もやっている立誠小学校のそばに移動交番があって見張っていました。そんなカオスな街ですが、桜の季節だけちょっと違うんです。スカウトのおにいちゃんも呼び込みのおねえちゃんも、木屋町を根城にしているようなちょっと柄悪そうなひとたちも、観光客も、不思議とみんな一緒になって桜をずっと見上げていて。「今年もキレイだな」とか「今年は開花が早いんですか」とかそんな会話すら見知らぬ同士でするんです。」

丸野裕行インタビューより

「木屋町 DARUMA」はフィクションの要素が薄ければ薄いほど、過激さを増しておもしろくなると思う。あんな世界が本当にあるのか。裏社会は僕たちにとっては、もちろん非日常だが、あそこまで過激なのか。どこまでいっても真相はわからないが、「裏社会ライター」の存在を想像しながら映画を見るとよりおもしろくなる。

映画化された経緯

「木屋町 DARUMA」が映画化された経緯も少しおもしろい。本作の監督を務めた榊英雄が「木屋町 DARUMA」を読んだ時、あまりのおもしろさから「書籍として世に出ないのだったら、映画にしちゃおうよ」という話になった。

榊英雄監督のこの発想が映画化の発端となったのだが、これは「木屋町 DARUMA」という作品の特異性を表している。あまりに過激過ぎたから逆に映画化されてしまったという。問題作であったことが、作品により大きな舞台を用意してしまったのだ。これもこの「木屋町 DARUMA」という作品の実力である。

-やくざ, 邦画

執筆者:


  1. 丸野裕行 より:

    記事、ありがとうございます!
    これからも精進し、誰も書けない作品を
    生み出していきます。

  2. 今川 幸緒 より:

    コメント頂けて光栄です。今まで見たことがないような作品と出会えた時は映画好きとして幸せですし、記事を書くのはとても楽しいです。また別の作品が映画化された際には、僕もおもしろい記事が書けるように精進致します。創作活動、頑張って下さい。

  3. コミドリ より:

    こんなドラマ初めて観た。手足をなくした遠藤さんの、物体みたいなまなざし。そして坂本。すごく人間的だ
    聖書に出てくる人たちみたいです

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