映画を観る前に知っておきたいこと

恋妻家宮本
正しく生きることだけが正解じゃない!

恋妻家宮本

その夫婦は、離婚届から始まった。

『女王の教室』(05)『家政婦のミタ』(11)など彼が手がけた人気ドラマは数知れない。人気脚本家・遊川和彦の映画監督デビュー作。直木賞作家・重松 清の原作『ファミレス』に大胆な脚色を加え、熟年離婚が当たり前の現代に、子供が独り立ちした後の一組の夫婦が向き合っていく姿を可笑しくも愛おしく映し出す。

中学校教師で優柔不断な夫を阿部寛、専業主婦として家庭を切り盛りしてきた妻を天海祐希が演じる他、菅野美穂、相武紗季、工藤阿須加、早見あかり、奥貫薫、佐藤二朗、富司純子といった実力派俳優が脇を固める。

そして、映画を彩る吉田拓郎の名曲「今日までそして明日から」が夫婦の想いに重ねられていく。


予告

あらすじ

宮本陽平(阿部寛)と美代子(天海祐希)は学生時代に合コンで知り合い、卒業と同時に授かり婚。ごく平穏な27年の結婚生活は、二人の関係を夫と妻から父と母へと変え、子供の独立の時を迎えていた。理想の夫ではないにしろ浮気もせず、教師として真面目に働いてきた自分に何の問題もないと思っていた陽平だった。

恋妻家宮本

© 2017「恋妻家宮本」製作委員会

25年振りに訪れた二人きりの生活。戸惑いを隠せない二人は、ついつい飲み過ぎてしまう。美代子が酔いつぶれたその夜、陽平は妻の記入欄がすべて書き込まれた離婚届を発見。問いただす勇気もなく、ただ悶々とする日々が続く。

恋妻家宮本

© 2017「恋妻家宮本」製作委員会

ある日、耐えられずに陽平は趣味の料理教室仲間に相談するが、妻の不倫を示唆されて余計に不安を募らせていった。これまでの人生を常に何が正しいかを考えながら生きてきた陽平の惑いは深まるばかりであった。そんな時、突然美代子が家を飛び出してしまう……


映画を観る前に知っておきたいこと

遊川和彦は売れっ子脚本家であるがゆえ、これまでのテレビドラマではその結末に疑問を投げかけられることもしばしばだった。しかし、本作は重松 清の『ファミレス』に大胆なアレンジを施しながらも、原作の雰囲気を踏襲した上で映画という媒体に程よく収められている。

初監督作品ながら、彼の脚本家としての手腕が発揮された本作は、少し世代が上の大人たちにとって心地よいコメディ・ドラマに仕上げられている。

原作を大胆に脚色

原作では、陽平の作る手料理とファミレスが対の存在として、家族の交流と断絶を象徴して描かれているが、映画はこの対立構造を意識させない物語となっている。原作のタイトルを引き継がなかったのもこのためだろう。

また、三者三様の夫婦模様が綴られている原作の一博と康平という主要キャラクターが映画では登場しないため、一組の夫婦によりフォーカスした作品となっている点も印象的だ。

それはテレビドラマ的なアプローチあるものの、原作とは別の登山口から同じ物語の頂上を目指している。

教師にも結婚にも向いていないと言われた男の変わらない不器用さの中に、容易に変化を感じ取ることができるような遊川監督のアレンジはエンターテイメントとしての成功と言えるだろう。

正しく生きることだけが決して正解ではない。そんな年を重ねた多くの夫婦が直面するすれ違いが、この軽快さによって可笑しみと共に心に染み渡るのである。

CAST.STAFF.BACK.

DATA.STAFF.BACK.

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