映画を観る前に知っておきたいこと

国際市場で逢いましょう 韓国版『Always ~3丁目の夕日~』

投稿日:2015年4月30日 更新日:

国際市場で逢いましょう

韓国を代表する”国民的映画”として日本上陸を果たした『国際市場で逢いましょう』は激動の時代の韓国を生きた家族の愛情をテーマにしたヒューマンドラマだ。戦後の復興から現代まで、貧しいながらも懸命に楽しく生きる家族たちを感動的に描いた。

  • 製作:2014年,韓国
  • 日本公開:2015年5月16日
  • 原題:『国際市場』
  • 上映時間:127分

予告

あらすじ

主人公のドクス(ファン・ジョンミン)は、母と二人の弟妹と共に釜山で育った。父ともう一人の妹がいたのだが、2人はドクスがまだ幼いころに朝鮮戦争時の興南撤収作戦による混乱の中ではぐれてしまい、それ以来離れ離れになっている。

成長し、青年となったドクスは長男として家計を支えるため、西ドイツの炭鉱への出稼ぎや、ベトナム戦争で民間技術者として懸命に働いていた。しかしその仕事は楽ではなく、何度も生死の瀬戸際に立たされるのだった。
国際市場で逢いましょう
それでも彼は家族のために、いつも笑顔で必死に激動の時代を生き抜いた。
最後に交わした父との約束を守るために―。

映画を見る前に知っておきたいこと

興南撤収作戦とは

時は1945年に遡る。興南は大日本帝国が統治していた地域だったが、日本の敗戦後多くの日本人が日本に引き上げた。その後、朝鮮戦争が勃発。一時的に北進した韓国軍・国連軍が一時占領したが、1950年に中国義勇軍が参戦。中国・北朝鮮国境地帯から退却したアメリカ軍をはじめとする国連軍10万人が、一般市民10万人とともに興南の港からアメリカ海軍の艦船により南へ脱出する作戦が決行された。それが興南撤収作戦だ。興南は一時、国連軍の攻撃により壊滅的な打撃を受けていたが、その後東ヨーロッパ諸国の援助もあり復興した。

この映画は、その後の戦後復興の韓国を生き抜いた家族の物語だ。ドクスが育った釜山は、今やアジヤ有数の経済都市として見事に復興を果たしている。その事実が、その当時の活気や激動をよく表している。

一人の青年の成長の物語

国際市場で逢いましょう
この映画は家族の愛情をテーマにしているが、主人公ドクスの成長の物語でもある。ドクスは、血気盛んな青年から、家族を背負う一人の父として、そして歴史を生きた老人として成長を重ねていく。男ならば誰もが自分を重ねられるだろう。

そのドクスを、あらゆるジャンルを超えて高い評価を得ている韓国の名優、ファン・ジョンミンが演じている。彼を国民の父としてのシンボルにまで押し上げた作品だという所も、見所としては十分に感じ入れる所だ。

釜山の国際市場を舞台にした理由

国際市場で逢いましょう
タイトルにもある国際市場は、現在の釜山にもある名物市場だ。そこは朝鮮戦争後に避難民が開いた闇市がきっかけで広がった。『国際市場で逢いましょう』ではこの場所が、ドクスたち家族が生きる舞台になっている。

これだけ現代史を貫通して語る映画は韓国では初で、それ故に戦後の復興の中心地となったこの国際市場は映画の中で重要な舞台だ。作中では、興南撤収と炭鉱への西ドイツ派遣、離散家族との再会などのシーンが登場するが、それぞれ韓国では重要な歴史的な出来事だ。

また、大企業「現代」グループの創立者チョン・ジュヨン、韓国第一号のファッションデザイナーとなるキム・ボンナム(アンドレ・キム)、人気歌手のナム・ジンといった経済、社会、文化の著名人たちが登場するのも見逃せない。アメリカの『フォレスト・ガンプ/一期一会』、日本の『ALWAYS 三丁目の夕日』、中国の『活きる』韓国の『国際市場で逢いましょう』、そんな風に並べても全く遜色のない、現代史を暖かく見つめた韓国の画期的な代表作だ。

-ヒューマンドラマ, 洋画
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執筆者:


  1. 鈴木久義 より:

    朝鮮民族苦難の歴史のひとこまを見させて頂き、嫌韓感情も幾分和らいだ。
    しかし、朝鮮民族は感情表現過剰であると思う。
    また、北と南が同民族ならば、異を捨て、和を結ぶことが何故出来ないのか
    理解に苦しむ。共産主義も自由主義もしょせん外から来たものではないのか?
    日本の天皇のように、主義や異見を超越した皆が一つになれる核のようなものを朝鮮民族は作って来なかったのか?

  2. 鈴木久義 より:

    上記

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