若年性更年期障害と診断された26歳の女性と、誠実さ以外に何のとりえもない冴えない男のラブコメディ。
韓国で制作された『猟奇的な彼女』のクァク・ジェヨン監督の最新作。その後日本で制作された『僕の彼女はサイボーグ』、そして今回は中国で作られた「アジアの彼女三部作」の完結編が『更年期的な彼女』だ。
型破りなヒロインを中国四大女優の一人として人気を誇る『クラウド アトラス』のジョウ・シュン、彼女を支える冴えない男を『最愛の子』のトン・ダーウェイなど、中国を代表する豪華なキャストが顔を揃えた。
日本では、藤原紀香が主人公チー・ジアの吹き替えを務めることでも話題になった。
- 製作:2015年,中国
- 日本公開:2016年4月8日
- 上映時間:100分
- 原題:『我的早更女友 Meet Miss Anxiety』
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3
映画を見る前に知っておきたいこと
- 3.1 中国で32億円の興行収入を記録
- 3.2 アジアの彼女三部作
- 3.3 若年性更年期障害とは
- 4 試写・感想
予告
あらすじ
大学の卒業式、チー・ジアは恋人のリウ・チョンにサプライズのプロポーズをするために、ウェディングドレスで出席する。
全校生徒が集う壇上で先生にも祝福され、誓いの言葉を復唱するチー・ジア。しかし、そのプロポーズはあっけなく玉砕、校内でも有名な美男美女カップルは別れを迎えることに・・・。
4年後、26歳になったチー・ジアにとって、その時のショックは大きなトラウマになっていた。
めまい、動悸、いら立ちは4年間日常的。おまけにもう半年も生理が来ない。いよいよ焦った彼女は、友人のススメもあって病院に行くことに・・・。
下された診断は若年性更年期障害。
夜は眠れず、お酒におぼれてどんどん沈んでいく日々。そんなある日、大学時代の冴えない同級生ユアン・シャオオウと再開する。
ホームレスに絡まれているところを助けてもらい、成り行きで宿無し職なしのユアンを家に泊めてやることに。
一緒に住むようになったユアンは、落ち込んでいるチー・ジアを必死に励まし、彼女の世話をするようになる。それでもなかなか症状が良くならないチー・ジアのもとに、リウ・チョンから結婚式の招待状が届く。
さらにショックを受けてふさぎ込むチー・ジア。
「そんなに好きなら略奪しにいけばいい!」友達のリン・シューアルに後押しされて、ユアン・シャオオウを加えた3人一行はリウ・チョン略奪計画を立てて北京へ向かう。
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映画を見る前に知っておきたいこと
中国で32億円の興行収入を記録
ここのところ中国の映画市場は飛ぶ鳥を落とす勢いで巨大化している。
2012年には総興行収入が日本を抜き、米国に次ぐ2位を記録。2017年には世界1位も見えていると言われるほどの急成長ぶりだ。
最近、ハリウッドが急に中国よいしょを始めたという話を小耳に挟むことがあるが、こうした経済的な影響は隔てて考えられないだろう。
ところで、32億円の興行収入は日本市場に置き換えるとどれくらいのものなのだろうか。
2015年の興行収入TOP10の10位が6月18日に公開が決まっている「殺破狼2」(Kill Zone)累計興行収入は約106億5千万円に達する。
中国の市場の規模であれば、驚異的なヒット作ともなると公開直後に100億円を超えることも珍しくない。なかなかどうして、『猟奇的な彼女』と並べて語るには数字の面で不足しているように思う。
ちなみに、上の画像は映画秘宝より、中国の映画史上のまとめ情報のような本だ。
中国映画市場についての本はあまり数がなく、中でも読みやすいと評判もいいので、中国の映画史上に興味のある人にとってはよい入り口となるだろう。
アジアの彼女三部作
『猟奇的な彼女』『僕の彼女はサイボーグ』に続くアジアの彼女三部作完結編!と銘打った本作。
なぜこの作品が完結編なのかというと、クァク・ジェヨン監督曰く、「破天荒な彼女が主人公で、どちらも元カレにトラウマがあって、それを癒して助ける男」という構図が似ているからというのが理由のようだ。
最初から計画していたわけではなく、脚本を直せば三部作の続編として作れることを思い立ったという。三部作というからには何かしらの繋がりを期待して調べてみたのだが、監督の語る言葉以外に、この三作品の特別な繋がりを語る文章は見当たらなかった……
よって本作は『猟奇的な彼女』『僕の彼女はサイボーグ』のテーマやストーリーを明確に完結させた作品というわけではなく、クァク・ジェヨン監督がこの手の映画を撮るのが最後という意味が大きいのではないか。
実はこの三作品のうち、『猟奇的な彼女』はネット小説を原作にしてつくられている。比べて『僕の彼女はサイボーグ』『更年期的な彼女』はオリジナル脚本の映画化。
『猟奇的な彼女』は2001年だから、もう15年も前になるのか。まだ子供の時分だった僕は流行に乗っかって見たのを覚えている。
内容はもう頭の中にうっすらとイメージの残骸が散らかっているような状態だが、割と面白かった記憶はある。
反面、大人になってから見たからなのか『僕の彼女はサイボーグ』の方は、内容を詰め込みすぎているからか矛盾している箇所が多く、ストーリーに置き去りにされてしまった……
さりとて、前述したように「三部作」そのものに実質的なつながりがあるわけではないが、他の2作を引き合いに出すと、本作がいよいよクァク・ジェヨン監督の実力の見せ所か。
若年性更年期障害とは
映画ではコミカルに描かれているが、実際にはかなりシリアスで笑えない状況である。
月経の乱れ、ほてり、手足の冷え、苛立ち、骨量の減少、脱毛、膣の乾燥と萎縮、鬱や不安、さらに医学的には無月経が1年続くと閉経として扱われる。無月経は長く放置すると治療を施しても回復できないこともある。早めの治療が大切だ。
原因はストレス。精神的なストレスをはじめ、過度なスポーツや極端なダイエット、不規則な生活などから症状が現れることもある。
治療は、ホルモン補充治療を施しても根本的なストレスが解決されない限りは回復が難しいため、ストレスの発散や溜め込まない工夫、規則的で健康的な生活習慣を心がける他ないと言われている。
試写・感想
想像通りのこてこて王道ラブストーリーである。僕自身が「ラブコメ」が狙うべきターゲット層からは完全に外れているので、女性向け、しかも若い人向けだなーと思いながら冷静な目線で最後まで見た。
ラブコメらしくコミカルなシーンはきっちり笑えて、主演の二人はかわいらしい。クァク・ジェヨン監督のファンの人には安心して勧められる一本にはなっている。
ぶっ飛んだ彼女チー・ジアがとにかく可愛らしく、それを戸惑いながらも支えようと奮闘するユアン・シャオオウも癒し系。熱いお茶をすすりながら、二人のドタバタを生暖かい目で見守って和む映画であった。
結婚できる映画『更年奇的な彼女』ご祝儀をもらおうキャンペーン
5月21日(土)より全国拡大公開される本作は縁起の良い映画ということで「結婚できる映画『更年奇的な彼女』ご祝儀をもらおうキャンペーン」というのが開催される。41歳とは思えない美貌で話題の、結婚できた主演女優ジョウ・シュンの可愛すぎる特選映像がキャンペーンページで公開されている。キャンペーン期間は5月18日〜5月31日。