映画を観る前に知っておきたいこと

【しあわせへのまわり道】運転を習うことは生き方を学ぶこと

投稿日:2015年7月18日 更新日:

『死ぬまでにしたい10のこと』『あなたになら言える秘密のこと』で恋愛映画を得意とするイザベル・コイシェ監督が、米ニューヨーカー誌に掲載された実体験を綴ったエッセイを映画化。突如結婚生活が破綻した主人公ウェンディの哀歓を飾りたてることなく描き出すユーモア満載のハートフルドラマ。ひとはいつだって新しいことに挑戦できる。自分を信じてアクセルを踏めば、その道がしあわせへと導いてくれる。一人の女性の再出発の物語。

『エデンより彼方に』『エイプリルの七面鳥』のパトリシア・クラークソンが主演。

  • 製作:2014年,アメリカ
  • 日本公開:2015年8月28日
  • 上映時間:90分
  • 原題:『Learning to Drive』

予告

https://youtu.be/TcoTCvtGLRA

あらすじ

マンハッタンのアッパー・ウエストサイドで暮らす売れっ子書評家ウェンディ。しかし、順風満帆な人生はあっけなく崩れさる。長年連れ添った夫が浮気をし、しかもウェンディを捨てて浮気相手のもとへ行ってしまう。愛する本に囲まれるあまり、愛するひとに寄り添っていなかったと反省しても時は既に遅かった。しあわせへのまわり道夫がいなくなり、車が運転できない現実に直面したウェンディは、免許を取ることを決意する。そこでインド人タクシー運転手ダルワーン(ベン・キングズレー)のレッスンを受けることに。伝統を重んじる堅物の男性だが、宗教も文化も階級も対照的なダルワーンとの出逢いは、過去の想い出にしがみつくウェンディの心の針路を変え、未来に踏み出す勇気を与えてくれるのだった。しあわせへのまわり道

「サインを見逃さないで。運転を習うことは生き方を学ぶこと。」

一旦は道標を見失ってしまったウェンディだが、幾多のまわり道を経て、再び自分らしさを取り戻していく。

映画を見る前に知っておきたいこと

スペイン映画

本作はアメリカ映画になるが、イザベル・コイシェはスペインの監督であり、2005年公開の『あなたになら言える秘密のこと』ではゴヤ賞作品賞・監督賞・製作者賞・脚本賞を受賞している。ゴヤ賞とはスペイン版アカデミー賞といえば想像できると思う。イザベル・コイシェは今やスペインを代表する監督の一人である。

スペイン映画の特徴と言えばジプシーを描いた作品やカルメン的世界を描いたものなどがあるが、実際は様々な映画が撮られ、世界的に評価される作品も多くある。1999年の『オール・アバウト・マイ・マザー』の世界的大ヒットとアカデミー外国語映画賞の受賞や、古くは『ビリディアナ』が1961年にカンヌ国際映画祭でパルム・ドールの受賞などがある。

またスペインは第二次世界大戦に参戦しなかったことも特徴の一つだ。よってスペインでは内戦をテーマにした映画が多い。それも1970年代まで及んだフランコ独裁政権の影響で映画の検閲が厳しかったため、独裁以後に多く撮られた。

第二次世界大戦に参戦しなかったスペインだが、検閲の厳しさなど映画の発展を妨げるような歴史は他の国同様である。しかし、その反面1950年代には、国策として映画によるスペインの国際的なアピールが始まる。その矛盾から、同じ映画でありながら、国内上映版ではキスシーンやビキニ姿が良くないものとされ、海外上映版には歓迎されるといった状況が生まれている。こうした独自の歴史を持つのがスペイン映画である。

近年、他国との合作映画も増えてきている。監督アレハンドロ・アメナーバル、男優アントニオ・バンデラス、女優ペネロペ・クルスなど、スペイン映画界からハリウッドに進出する者も多い。イザベル・コイシェ監督もそんな一人である。

-ヒューマンドラマ, ラブストーリー, 洋画

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