映画を観る前に知っておきたいこと

【レジェンド 狂気の美学】実在した双子のギャングスター!

レジェンド 狂気の美学

全英No.1大ヒットとなったギャング映画。1960年代、ロンドンを手中に収め伝説と呼ばれた双子のギャングスター・レジー&ロンのクレイ兄弟の栄光と破滅を描く。彼らはあらゆる犯罪に手を染め、イギリス犯罪史上においてあの連続殺人鬼・切り裂きジャックと同等の有名人である一方、ナイトクラブやカジノ経営、ショービジネスなど華やかな世界でも成功を収めた真のギャングスターでもあった。現代においてクールなアンチヒーローとも悪魔のような冷血漢とも語り継がれるクレイ兄弟の実像をスタイリッシュに映し出す。

注目すべきは主演のトム・ハーディによるレジー&ロンの一人二役だ。2015年は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』『チャイルド44 森に消えた子供たち』と立て続けに日本公開され、今最も注目されるイギリス人俳優の一人となったトム・ハーディは本作で英国インディペンデント映画賞最優秀男優賞を始め、幾多の主演男優賞を受賞している。頭脳派でカリスマ的な兄レジーと凶暴で命知らずの弟ロンという二人の絆を一人で見事に演じきっている。また、様々な技術を駆使することでトム・ハーディVSトム・ハーディが見られるのも本作の見所だ。

監督を務めたのは『L.A.コンフィデンシャル』(1997)でアカデミー脚色賞を受賞したアメリカの鬼才ブライアン・ヘルゲランド。


  • 製作:2015年,イギリス・フランス合作
  • 日本公開:2016年6月18日
  • 上映時間:131分
  • 原題:『Legend』
  • 映倫区分:R15+

予告

あらすじ

1960年代初頭、ロンドン活気に満ちていた。街を支配する双子のギャング、レジー&ロンのクレイ兄弟はその頭脳と暴力、そして手段を選ばないやり方で権力を手中に収めようとしていた。さらなる勢力拡大を図ろうとするクレイ兄弟はアメリカン・マフィアと手を組み、政治家やセレブリティと親交を深め一大犯罪帝国を築いていく。イギリス社会の上流階級にまでその影響力は及ぶこととなる。

レジェンド 狂気の美学

そんな時、レジーは部下の妹フランシスと出会い、恋に落ちる。フランシスのために堅気になると約束したレジーはナイトクラブの経営に注力するようになる。

レジェンド 狂気の美学

しかし、それを快く思わない弟のロンは破滅的な行動を連発し、組織内には不協和音が生まれる。さらに警察の執拗な捜査が迫り、兄弟の絆と栄華は脅かされようとしていた……


映画を見る前に知っておきたいこと

狂気の美学の基となったクレイ兄弟の実際の生い立ちと結末

実は、この実在したギャングスター・クレイ兄弟を描いた映画は過去にもあった。1990年のイギリス映画『ザ・クレイズ/冷血の絆』だ。まあ、評価も微妙な作品であまり知る人もいないと思う。というのもこの作品は、どちらかと言うとクレイ兄弟の生い立ちを描いた部分が強く、母親ヴァイオレット・クレイにも焦点が当てられているからである。あのクレイ兄弟を描いたギャング映画として期待すると間違いなくすかされる。ただ、実際のクレイ兄弟を掘り下げるという意味ではこの映画も興味深い部分はある。

クレイ兄弟は1933年にロンドンのイーストエンドにある貧民窟に生まれた。とりわけ犯罪が多く、治安の悪い場所であった。19世紀末のあの有名な連続殺人犯”切り裂きジャック”もこの辺りにいた。映画の中で老人が「自分の母親が切り裂きジャックを見たことがある」と語るシーンがあったりする。そんな貧しい地区に生まれたにも拘らず、母親のヴァイオレット・クレイは兄弟にきちんとした身なりをさせていた。そして、戦いに勝つことの重要性を説いて育てた。

本作『レジェンド 狂気の美学』で見られるクレイ兄弟の暴力性のバックボーンは母親の教育による部分が大きいことがわかる。また兄弟が生まれた地区では、貧しさから抜け出すためにはボクサーになるかギャングになるかしかないと言われていた。そのためクレイ兄弟はギャングになる以前は父からボクシングを教えてもらっていた。これが兄弟の腕っ節の強さに繋がっている。兄弟は母親の教育とこの腕っ節が祟って必然的に暗黒街へ身を落とすこととなるのだ。

『ザ・クレイズ/冷血の絆』をあえて見る必要はないと思うが、この作品で描かれるクレイ兄弟の生い立ちは知っておくと本作がよりおもしろくなると思う。

また、実際のレジーとロンの結末を知ってから本作を見ると、その刹那的な生き方をさらに堪能できるのではないだろうか。結局、兄弟は30年の実刑を喰らい服役することとなるのだが、刑務所内でも問題が絶えなかった弟ロンは精神異常と診断され薬物治療を受けるはめになる。実際、統合失調症を患っていたと言われている。そして、服役中の1995年にその生涯を閉じる。一方、兄のレジーは2000年8月26日に釈放となったが、わずか一ヶ月後に亡くなっている。

あのクレイ兄弟が何とも悲劇的で虚しい最期である。ギャングとして多くの人の命を奪った代償だろうが、こうした最期がコントラストとなり伝説をより濃くしているように感じる……

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。