登場人物は夜のハイウェイを走る主人公アイヴァン・ロックがただ1人。交わされる言葉は電話のみ。86分間にわたってリアルタイムで進行する物語。濃密なサスペンスと深みのあるヒューマンドラマがシンプルに融合された異色のワンシチュエーションサスペンス。
監督は、アカデミー賞にもノミネートされた脚本家で『ハミングバード』に続いて長編監督2作目となるスティーヴン・ナイト。 主演はトム・ハーディ。6月公開の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』、7月公開『チャイルド44 森に消えた子供たち』など、次々と話題作で主演を演じ、話題をさらっている。
- 製作:2013年,イギリス・アメリカ合作
- 日本公開:2015年6月27日
- 上映時間:86分
- 原題:『Locke』
Contents
- 1 予告
- 2
あらすじ
- 2.1 夜のハイウェイ
- 2.2 その道の先は破滅か・・・
- 3 映画を見る前に知っておきたいこと
予告
あらすじ
夜のハイウェイ
建設工事の現場監督を務めるアイヴァン・ロック(トム・ハーディ)は夜のハイウェイで車を走らせている。妻カトリーナとの間には二人の子供に恵まれ、仕事のキャリアも評価され、翌日には大きなプロジェクトを控えている。仕事もプライベートも充実した、順風満帆な生活を送っていた。
そこへ一本の電話がかかってくる。その電話は彼に人生の全てを賭ける大きな決断を迫るのだった。
映画を見る前に知っておきたいこと
その夜、86分。上映時間も、86分。
『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』は上映時間も86分なのだ。つまり、映画の中の出来事が全てリアルタイムで進行する。
『ユナイテッド93』『88ミニッツ』など、リアルタイムで物語が進行する映画はさほど珍しいものではないが、『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』が特別なのはワンシチュエーションで最初から最後まで突っ走るところ。主人公は”ずっと車で高速を運転しながら電話をしているだけ”というところが新しい。原題『Locke』は主人公の名前アイヴァン・ロック。
撮影にはBMX X5が使用され、全てのシーンを8日間で撮影し終えた。そうなると気になるのは制作費。1500万ドル(約1億9000万円)と映画の制作費としてはなんとも低予算である。映画批評サイトRotten tomatoesでは支持率91%とかなりの高評価。世界が絶賛したというのもあながち言い過ぎではないのかも知れない。
リアルタイム進行の面白い手法の映画
せっかくなので、リアルタイム進行で物語が進む映画で、他とは違う面白い手法で撮影されたものをいくつかピックアップしてみた。
『ニック・オブ・タイム』
ジョニー・デップ主演のサスペンス。手持ちカメラの臨場感が凄まじい。
『HOTEL』
リアルタイム進行で、4台のカメラでとった映像を4分割スクリーンで上映するという実験的な作品。明確な台本もなく、俳優たちの即興を編集するという手法で製作された。
『ロープ』
1948年に撮影されたヒッチコックの初のカラー映画。リアルタイムというだけでなく、全てのシーンをワンカットで繋いでいる。1948年からこういった実験的な試みは行われていた。
こうしてみるとサスペンスが多い。というかそれしかないので最後にドラマ映画をひとつ。
『終着駅』
1953年の映画。人妻と青年の出会いと別れを描いたメロドラマだ。原題はイタリア語で『Stazione Termini』というが、日本には当時ふさわしい言葉が”終点”ぐらいしかなかった。”終着駅”という言葉はこの映画の邦題から生まれている。『終着駅』は日本でも大ヒットし、現在では日常的に使われる言葉となった。映画雑誌「キネマ旬報」のベストテン第5位。