映画を観る前に知っておきたいこと

ミス・シェパードをお手本に
実話を基にした幸福の記憶

ミス・シェパードをお手本に

ボロは着てても心は錦!
ポンコツ車のレディがやってくる

映画の脚本を手がけたのは、イギリスを代表する劇作家アラン・ベネット。この物語は、誇り高き淑女“ミス・シェパード”とベネットの15年に及ぶ奇妙な共同生活を描いた実話である。

路上に停めたオンボロの黄色い車で自由気ままに暮らすミス・シェパード。ある時、路上駐車をとがめられている彼女を見かけたベネットのほんの親切心からはじまった二人の関係は、いつしか人生の“お手本”がつまった感動作へ……

過去に2度のオスカーに輝いたイギリス映画界きっての名女優マギー・スミス、キャリア最高のはまり役!


予告

あらすじ

ロンドン北部の町カムデン、グロスター・クレセント通り23番地。劇作家ベネット(アレックス・ジェニングス)が引っ越してくるずっと前から、ミス・シェパード(マギー・スミス)はこの通りに停めたオンボロの黄色い車の中で暮らしていた。彼女に声をかけ、差し入れをする近所の住人たち。しかし自由気ままな彼女は、お礼を言うどころか悪態をつくばかり。

ミス・シェパードをお手本に

© 2015 Van Productions Limited

そんなある日、ミス・シェパードが路上駐車をとがめられている様子を見兼ねたベネットは、親切心から自宅の敷地に車を置くことを提案した。一時避難のために、ほんの軽い気持ちで提案したつもりが、彼女はそれから15年もベネット宅の敷地に居座ることに。

ミス・シェパードをお手本に

© 2015 Van Productions Limited

ベネットは彼女の変わらない高飛車な態度に頭を抱えつつも、二人の間にはいつしか奇妙な友情が芽生えていった。そして、フランス語が堪能で音楽にも造詣が深いにミス・シェパードに、ベネットは作家としての好奇心をかきたてられずにはいられなかった……


映画を観る前に知っておきたいこと

1956年の映画デビューから実に60年のキャリアを誇るマギー・スミスが、そのキャリアの中で“最もマギーらしい当たり役”と賞賛されたのがこのミス・シェパード役だ。

それは、もともと劇作家アラン・ベネットが手がけた舞台だったこの作品で、16年間にわたって主演してきたからだ。彼女は途方もない時間、ミス・シェパードとして過ごしているのだ。

しかし、16年以上前に舞台が公演されていたとするなら、実話を基にしたこの物語は随分古い話ということになる。そう、実在のミス・シェパードはもういない。謎に包まれた彼女の人生から少しだけ映画を紐解く。

実在のミス・シェパード

映画でも描かれているように、ミス・シェパードは自分の過去を語りたがらなかったし、ベネットも彼女が亡くなるまで特に何も明かさなかった。よって映画や舞台以上に彼女を知ることができるソースがほとんど存在しない。ここに書くことは、海外の情報を基にしているため話半分で聞いてほしい。

アラン・ベネットとミス・シェパードの出会いは1960年代後半まで遡る。

ミス・シェパードは、ベネットの家の前に停めたオンボロの黄色い車で生活していた。そして移動を命じられた彼女に自宅の庭を提供したベネットは当初3ヵ月の滞在とたかをくくっていたようだ。しかし、その奇妙な共同生活は彼女が亡くなる1989年まで続いたという。

劇中でも語られるピアニストだったという彼女の過去は事実であり、幼き頃、フランスを代表する音楽家アルフレッド・コルトーにその才能を見出されていたという話もある。しかし、後に修道女となることを決めた彼女は音楽を断念している。

実際のミス・シェパードについての情報を掘り下げると、ベネットは彼女の人物像に関してほとんど手を加えていないように感じる。

しかしその一方で、ホームレスである彼女と暮らすベネットは、匂いやゴミの問題には頭を抱えていたようだ。ただ、こうしたリアルな問題については、せっかくの映画の雰囲気を壊してしまうのであまり書きたくない。当然、そういう問題もあったということだけ伝わればそれでいい。

というのも、ベネットの脚本がミス・シェパードの人物像を正確に捉えていながら、二人で暮らした歳月を幸福な日々として観客に伝えようとしているからだ。

アラン・ベネットにとって、彼女は人生の“お手本”なのだ。とても深い愛情が感じられる映画である。

CAST.STAFF.BACK.

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