映画を観る前に知っておきたいこと

【オデッセイ】リドリー・スコット最新作は人類の火星での挑戦を描いたSF大作!

投稿日:2016年1月14日 更新日:

オデッセイ

火星に取り残された生存者1名。水なし。酸素ほとんどなし。通信手段なし。食料31日分。次の救助まで1400日。地球までの距離2億2530万km。70億人が彼の帰りを待っている。生存不可能な状況下で彼は決して希望を捨てなかった……

巨匠リドリー・スコットの最新作は、新人作家アンディ・ウィアーのベストセラー小説「火星の人」の映画化だった。数々の超大作を手掛けてきたアカデミー賞監督が送るノンフィクションのように圧倒的なリアリティとスリルに満ちた不屈のサバイバルと人類の壮大なる奇跡の挑戦。リドリー・スコットらしいビジュアルと、本作でゴールデングローブ賞主演男優賞に輝いたマット・デイモンが演じる主人公マークの生き残りをかけた火星での孤独なサバイバルが観客の心を揺さぶる。

第73回ゴールデングローブ賞主要2部門、作品賞、主演男優賞受賞作品。

  • 製作:2015年,アメリカ
  • 日本公開:2016年2月5日
  • 上映時間:142分
  • 原題:『The Martian』
  • 上映方式:2D/3D
  • 原作:小説「火星の人」アンディ・ウィアー

予告

あらすじ

人類3度目の有人火星探査ミッション“アレス3”は、突然のトラブルによってミッション中止に追い込まれた。ミッション開始から18日目、6名のクルーたちは猛烈な嵐に見舞われてしまう。そして、クルーの一人マーク・ワトニーは突風によりバラバラになった通信アンテナの直撃を受けてどこかへ吹き飛ばされた。行方不明となったワトニーの創作を開始した指揮官のメリッサ・ルイス船長であったが、タイムリミットが迫る中ワトニーを発見できずにいた。オデッセイルイス船長はやむなくワトニーを火星に残したまま離陸を決断する。ルイス船長以下5人は宇宙船ヘルメス号で地球への帰途に就いた。地球ではNASAのサンダース長官がワトニー死亡の記者会見を行った。しかし、ワトニーは砂漠から人口住居施設“ハブ”に生還していた!ここからワトニーの火星での孤独なサバイバルが始まる……オデッセイ外気温-55℃、酸素0.13%、水なし、通信手段なし、最大風速400km/h、残された食料は31日分、NASAの次の探索ミッション“アレス4”が火星にやってくるまで4年。この生存が絶望的な状況でもワトニーは決してあきらめなかった。植物学者でメカニカル・エンジニアのワトニーは科学知識と持ち前のポジティブ思考によって、まずは酸素や水を作り出すことを始める。そして地球では、火星の衛星画像を調べていた職員がワトニー生存の証拠を発見したことでNASAもワトニーの生存に気付くことになる。オデッセイNASAは、ただちに食料を送るための補給機の準備を開始。再び記者会見を開いたサンダース長官がワトニーの生存を発表したことで、火星で孤独なサバイバルを続けるワトニーは一躍、全世界の“時の人”となった。そんな中、時間との勝負となったワトニー救出ミッションはトラブルによって絶体絶命の状況に追い込まれる。やがてワトニーの命運は、宇宙を航行中のヘルメス号のクルーを巻き込み、誰も想定していなかった最終手段に託されることとなる……

映画を見る前に知っておきたいこと

リドリー・スコットアカデミー賞監督賞へ

『プロメテウス』(2012)『悪の法則』(2013)『エクソダス:神と王』(2014)と、ここ最近では大作が続くリドリー・スコット監督。中でも制作費170億を投じた前作『エクソダス:神と王』はとてつもないスケールで撮影された。この作品は旧約聖書「出エジプト記」をもとにモーゼの数奇な運命を描いた紀元前300年の物語だが、CGを極力使わない実写での撮影にこだわった。そのため、エキストラはのべ15000人、美術スタッフ1000人、1シーンで使用したカメラは最大17台、豪華絢爛な宮殿セットと撮影も規格外のスケールとなった。

本作もリドリー・スコット監督らしいSF大作となっている。いかにもアメリカ映画らしいそのスケール感はさすがと言える。すでにゴールデングローブ賞で、作品賞、主演男優賞を受賞していることからもオスカーの期待も高いと思われる。

しかし、リドリー・スコット監督が生み出す圧倒的ビジュアルの凄さとは裏腹に、これまで監督賞の受賞経験がほとんどない。これほどの大作を撮り続けているリドリー・スコット監督としては意外である。過去のキャリアで監督賞の受賞は、監督デビュー作である『デュエリスト/決闘者』(1977)でのカンヌ国際映画祭新人監督賞だけだ。それ以降はアカデミー監督賞3回、ゴールデングローブ賞監督賞3回、英国アカデミー賞監督賞2回ノミネートされながらもいずれも受賞には至らなかった。本作でもゴールデングローブ賞監督賞にノミネートされていた。

常に撮影には強い拘りを見せる監督であり、その映像の凄さは納得というところだが、リドリー・スコット監督の作品は結構賛否両論も多く、興行的な面でも成功と失敗を繰り返していることから評価が極端に分かれる監督であると言える。その辺りが後一歩で監督賞を逃している原因かもしれない。

そこで本作の話に戻るが、『オデッセイ』は映画の普及促進に関する活動を行う世界最古の団体であるナショナル・ボード・オブ・レビューで監督賞を受賞した。アカデミー賞での監督賞と比べるとインパクトには欠けるかもしれないが、久しぶりの監督賞受賞であることに変わりはない。

ここまでの賞レースの結果を見る限りではオスカー獲得の可能性は十分あると言える。アカデミー賞で何かしらの賞は取りそうな気もするがそれが監督賞とは限らない。撮影での強い信念やこだわりを見ていると、そろそろ監督賞を取ってほしい。個人的には十分その価値がある監督だと思っている。

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