映画を観る前に知っておきたいこと

おとなの事情
風刺映画なほど滑稽に映るイタリア製コメディ

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おとなの事情

隠し続けてきた秘密の暴露から見えてきたのは、悩みながら生きる、おとな達の姿だった。

あなたのスマホ、他人に見せられますか?そんな問いかけに応じるのは、劇中に登場する3組の夫婦と1人の友人。それが現代人のブラックボックスだとしたら、現実ではサスペンス、映画ならコメディ。他人の不幸を眺める分には笑っていられる大ヒットイタリア製ワンシチュエーション・コメディ!

本国イタリアで2週連続第1位、28週間のロングラン上映、興行収入20億円超え。イタリア版アカデミー賞、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で作品賞・脚本賞のW受賞を始め、世界の映画祭でも賞賛された巧みなストーリーテリングと予想できないラスト。夫婦の愛が、親友の絆が、試され続ける96分間の人生讃歌 ──

予告

あらすじ

月食の夜に集まった幼馴染の3組の夫婦と1人の友人。そこでエヴァ(カシア・スムトゥアニク)は突然、「ゲームをしない?」と持ちかけた。食事中にかかってきた電話、メッセージをみんなオープンにするという提案に一瞬顔を強ばらせる男たち。

おとなの事情

© Medusa Film 2015

新婚のコシモ(エドアルド・レオ)とビアンカ(アルバ・ロルバケル)、反抗期の娘に悩むロッコ(マルコ・ジャリーニ)とエヴァ、倦怠期を迎えたレレ(バレリオ・マスタンドレア)とカーロッタ(アンナ・フォッリエッタ)、恋人に今日のディナーをキャンセルされたペペ(ジュゼッペ・バッティストン)。7人のスマホが卓上に出揃う。

おとなの事情

© Medusa Film 2015

履歴を見せ合い、送信されてきたメールを全員でチェック、かかってきた電話はスピーカーに切り替える。たったこれだけのルールが現代の男女が抱える家庭の問題、仕事の悩み、変えられない自分の性格までを浮き彫りにしていく。疑惑の嵐が吹き荒れる中、彼らは互いの信頼関係を保っていられるのか!?

映画を観る前に知っておきたいこと

パオロ・ジェノベーゼ監督を含む5人の脚本家による巧みなストーリーテリングは、現代人の痛いところを見事に突いてくる。

いま世界のスマホ人口は20億人以上とも言われ約4人に1人が所有しているわけだが、おそらくiPhoneよりも“人に知られたくない秘密”のシェア率の方が高い。それだけ多くの人が興味を示さずにはいられない設定を出発点に、ワンシチュエーションの中でサスペンスさながらに浮かび上がる疑惑の数々はラストまで観客を飽きさせない。

フランスのダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞での脚本賞、アメリカのトライベッカ映画祭での脚本賞、そしてノルウェー国際映画祭の観客賞受賞がコメディに最も重要なストーリーの秀逸さを物語っている。

風刺映画なほど滑稽に

少し堅い言い回しをすれば、情報社会に囚われた現代人の闇を炙り出した風刺映画でもある。しかしこの手のブラックユーモアは、笑えないと感じるほどに可笑しみに溢れ、日常にあり得るシチュエーションなほど滑稽に映るものだ。

知り合いのカップルに実際に起きたことが物語のインスピレーションになったと明かすジェノベーゼ監督。そんな現代にありふれた男女の悲劇から生まれている物語だからこそ、僕たちはどうしようもない現代人の一人としてその結末を覗き見たくなるのだ。

7人の本当の姿は隣の誰か、あるいは自分自身なのかもしれない……

「男性が事故に遭って入院した時、病院へ向かった女性に彼の携帯が渡された。そこで色んなメールを見たらしくて、彼が退院したらすぐに別れたカップルがいたよ」

パオロ・ジェノベーゼ

出典:eiga.com

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