私は誰よりも彼女を知っている。
パーソナル・ショッパー=忙しいセレブに代わり、洋服やアクセサリーを買い付ける仕事。それは、欲望の罠にはまる危険な職業だった。
フランスの鬼才オリヴィエ・アサイヤスが2016年カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞。ワールド・プレミアとなったカンヌの舞台で、ブーイングとスタンディングオベーションを浴びたエレガントな衝撃作。ハイブランドなファッションに彩られ、“今の自分より恵まれた別人になってみたい”という欲望に駆られた主人公が、不可解な殺人事件を引き寄せる。
アサイヤスの前作『アクトレス〜女たちの舞台〜』(14)でアメリカ人女優として初めてセザール賞を獲得、今やシャネルの広告塔でもあるクリステン・スチュワートが、思わぬ事件を招いてしまう主人公を繊細かつミステリアスに演じる。
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3
映画を観る前に知っておきたいこと
- 3.1 スピリチュアルな心理ミステリー
予告
あらすじ
多忙なセレブに代わり、服やアクセサリーを買い付ける“パーソナル・ショッパー”としてパリで働くモウリーン(クリステン・スチュワート)は、数カ月前に双子の兄を亡くし、その悲しみから立ち直れずにいた。依頼主である女優キーラ(ノラ・フォン・バルトシュテッテン)から自宅の鍵を預かる彼女は、仕事をこなす一方で、勝手に家に出入りし、時にはプライベートをも覗き見ることも。
© 2016 CG Cinema – VORTEX SUTRA – DETAILFILM – SIRENA FILM – ARTE France CINEMA – ARTE Deutschland / WDR
そんなある日、彼女の携帯電話に送信者不明の奇妙なメッセージが届くようになる。そのメッセージは、まるでモウリーンを監視するかのように居場所や行動を言い当て、ついには彼女の“別人になりたい”という欲望までも暴いていく。やがて、モウリーンもメッセージに触発されるように、普段は依頼主に送り届けるだけの服やアクセサリーをこっそり試着し、自身の変身願望を満たし始めるのだった。
© 2016 CG Cinema – VORTEX SUTRA – DETAILFILM – SIRENA FILM – ARTE France CINEMA – ARTE Deutschland / WDR
そんな時、キーラが何者かによって殺害されるという事件が起こる。第一発見者となってしまったモウリーンには、当然疑惑の目が向けられる。彼女の行動を促したメッセージの送り主は、亡くなった双子の兄なのか!?不可解な殺人事件によって、その正体が明らかになる……
Sponsored Link映画を観る前に知っておきたいこと
かつてヌーヴェルヴァーグの作家たちを生んだことで知られる映画批評誌『カイエ・デュ・シネマ』で執筆後、映画監督となったオリヴィエ・アサイヤス。フランスの鬼才と言われる彼が描き出すミステリーは普通ではない。
アサイヤスが5度目となるコンペティション部門出品で初の受賞となった2016年カンヌ国際映画祭は、『パーソナル・ショッパー』によって大きく揺れた。監督賞を受賞する一方で、ブーイングを浴びたことがこの作品に対する評価の難しさを物語っている。
スピリチュアルな心理ミステリー
© 2016 CG Cinema – VORTEX SUTRA – DETAILFILM – SIRENA FILM – ARTE France CINEMA – ARTE Deutschland / WDR
主人公モウリーンは数カ月前に双子の兄を亡くし、未だその悲しみの淵に立つ。そして、彼女は孤独の中、自分の分身のような存在である兄からのサインを探す日々を送る。
予告編では、この重要なプロットが見えてこないため、あたかもある殺人事件を巡るミステリーのように映るかもしれない。しかし、実際はそこにスピリチュアルな世界観を絡めた鬼才の片鱗を覗かせる不可解な心理ミステリーである。
映画の序盤から、亡くなった双子の兄の存在を匂わし、モウリーンに届く奇妙なメッセージによって、観る者を巧みに困惑させていく。メッセージの送り主は一体誰なのか?そして、真に畏れるべきは、人か、人ならざるものか!?
物質的なミステリーの中に精神的な世界観を融合させることで、オリヴィエ・アサイヤスは斬新な心理パズルを作り出してみせた。
作品データ
原題 | 『Personal Shopper』 |
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製作国 | フランス |
製作年 | 2016年 |
公開日 | 2017年5月12日 |
上映時間 | 105分 |
キャスト
キャスト | クリステン・スチュワート |
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ラース・アイディンガー | |
シグリッド・ブアジズ | |
アンデルシュ・ダニエルセン・リー | |
タイ・オルウィン | |
アンムー・ガライア | |
ノラ・フォン・バルトシュテッテン | |
バンジャマン・ビオレ | |
オードリー・ボネット | |
パスカル・ランベール |
監督・スタッフ
監督 | オリヴィエ・アサイヤス |
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脚本 | オリヴィエ・アサイヤス |
製作 | シャルル・ジリベール |
撮影 | ヨリック・ル・ソー |
美術 | フランソワ=ルノー・ラバルテ |
衣装 | ユルゲン・ドーリング |
編集 | マリオン・モニエ |