映画を観る前に知っておきたいこと

ピース オブ ケイク
綺麗事だけじゃない。ドロドロで純粋な大人のラブストーリー

投稿日:2015年8月8日 更新日:

ピース オブ ケイク

根強いファンを持つジョージ朝倉の人気漫画「ピースオブケイク」を実写映画化。流されるままに男と付き合う恋愛依存症のダメ女と、彼女と恋人との間で揺れ動く優柔不断で能天気な年上男の、カッコ悪いとこもドロドロしたとこも全部見せちゃう大人のラブストーリー。

監督は、ジョージ朝倉本人が「この監督なら任せたい」と太鼓判を押した田口トモロヲ。俳優やナレーターとしても活動するマルチな監督だ。ダメ女を『君に届け』などの多部未華子。年上男“ヒゲ店”を綾野剛が演じる。


  • 製作:2015年,日本
  • 日本公開:2015年9月5日
  • 上映時間:122分
  • 原作:漫画『ピース オブ ケイク』ジョージ朝倉
  • ピースオブケイク コミック 1-5巻セット (Feelコミックス)

予告

あらすじ

出会い

梅宮志乃は流れで誰とでも付き合ってしまう恋愛ベタ。バイト先で知り合った正樹と付き合っていた。自他共に認める自己中な正樹は、志乃の性格やファッションに不満たらたらながら、志乃のことは好きだという。そんな正樹の気持ちが理解できない志乃は、流れで他のバイト仲間、川谷とも関係をもってしまう。

そのことが正樹にバレて二人の関係は泥沼化。怒りながらも志乃のことは諦められないという正樹の命令でバイトは続けるものの、あることがきっかけで自分の状況にうんざりし、志乃は無断でバイトをやめてしまう。

そしてその夜、正樹に別れを告げられる。納得は出来るけど……ショックを隠しきれない志乃は心機一転、引っ越すことを決意。木造のボロアパートで新生活を始めることにした。

引越しの手伝いに来てくれた親友のナナコとオカマの天ちゃんに励まされるも、一人きりになると気持ちが沈んでしまう。夜の庭で一人落ち込む志乃を「男なら誰でもいいじゃん。君、そういう女じゃん」と正樹の幻影が責める。志乃の目から後悔の涙がこぼれた瞬間、隣の窓が開き、男が顔をのぞかせた。

男はこちらを見て笑う。その笑顔を見た瞬間、風が吹いた―。

ピース オブ ケイク

好きになるけど……

翌日、志乃は天ちゃんが働くレンタルビデオ店でのバイトを紹介してもらうことに。面接に訪れた志乃の前に現れたのは、昨日出会った隣の男だったのだ。彼の名は京太郎。レンタルビデオ店で店長を務めている。

明るくどこか能天気な性格の京太郎は気安く接してくるが、志乃は彼を突っぱねる。生まれ変わると誓ったのだ。慎重に、簡単に好きにならないように。しかしその心配はなかった。京太郎にはあかりという恋人がいた。

翌日の朝、志乃が目を覚ましたのは京太郎の部屋だった。どうやら前の日の歓迎会で飲み過ぎたらしい。そこにあかりがやってきた。抱き合って眠っている京太郎と志乃を見つけて激昂する。

京太郎はあかりをいさめ、それを尻目に逃げ出す志乃。

やらかした―。

しかしその時、志乃は自分の気持ちを確信する。京太郎のことが好きだと。

新しい恋

「また植物を枯らしてしまった」

これまで買っては枯らしてきた植物。懲りずに花屋で見かけたクワズイモを眺め、新しい恋を思う。

「今度は絶対枯らしたくない」

バイトの帰り道、志乃はついに京志郎に告白する。京太郎は「あかりと別れる気はない」と言いつつも、彼の中で志乃の存在は無視できないほど大きくなっていた。

そんな中、突然あかりが姿を消してしまう。「あかり」という名前も偽名だったと分かり、深く落ち込む京太郎。志乃にとってはチャンスだった。そんな寂しさにつけ込むやり方はどうかとは思いつつ、二人は勢いのままに付き合い始める。

ピース オブ ケイク

しかし、志乃は幸せな日々を過ごす一方で、「いつあかりが帰ってくるかわからない」と不安を膨らませていく。そんな志乃に京太郎は「信じて」と声をかけ、志乃もその言葉にすがる様に彼を信じようと決意する。

ぬぐいきれない不安

忙しい毎日を送っていた。志乃は天ちゃんが所属する「劇団めばち娘」で衣装の仕事を手伝うことになったのだ。京太郎はといえば、たまに友人の見舞いに出かけることがあるくらいで相変わらず。充実した毎日。二人の付き合いは順風満帆、かに思えた。

楽しみにしていた温泉旅行を控えたある日、志乃は京太郎の荷物の中から一冊の小説を見つける。タイトルは「旅の彩光」書いたのはあかりだった。あの時の不安が心をざわつかせる。

楽しみにしていたはずの二人きりの温泉旅行。旅行先でも不安はぬぐえず、たまらず京太郎のいぬ間に彼のケータイをリダイヤルしてしまう。出たのはあかりだった。

やっぱり―。

連絡をとっていたこと、会っていたこと、黙っていたこと。京太郎がどうしても許せない志乃は別れを決意するのだった。

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それから1年後

「劇団めばち娘」は徐々に人気が出るようになり、志乃も憧れていた服飾の仕事で生活が成り立つようになっていた。あれから京太郎とも会ってない。でも、新しい男もできていなかった。団長に告白されるけど、もう流されないようにちゃんとしたいと断った。

あり日、ナナコに人気作家になったあかりの新作の小説を渡される。小説は京太郎と志乃の話だった。

「これってこの女とヒゲ店と志乃の話だよ」

「この女ヒゲと別れてるよ。ヒゲはあんたの事ちゃんと大事に思ってたんだよ」

ピース オブ ケイク

大事に思われてたって、今更それが分かって何になる?植物はもう枯れてしまった。

一瞬のザワツキも心にしまい「劇団めばち娘」のトークショーに臨む志乃。そこに現れたのは京太郎だった。逃げる志乃と追いかける京太郎。2人の恋の行方は―?


映画を見る前に知っておきたいこと

リアルでドロドロの恋愛劇

この作品の特徴は、特にリアルさを追求しているというところ。ヒロインがいて、王子様がいてっていう王道な構図は皆無で、志乃の恋愛模様はものすごいドロドロ。それ故に経験豊富な大人の女性は感情移入しやすいかもしれない。主人公の「流され恋愛」にドキッとする人も多いのではないだろうか。

そんなドロドロの恋愛の中に少女のような純粋さが光るのが『ピース オブ ケイク』のすごいところ。

この絶妙なリアリティラインをどう表現するか―。映像化に一番苦労したのがその点なんだとか。そこでジョージ朝倉本人から直々に「この人なら」と白刃の矢が立ったのが田口トモロヲ。プロジェクトX~挑戦者たち~のナレーターで知られている。過去にみうらじゅんの『アイデン×ティティ』『色即ぜねれいしょん』を映画化して高い評価を得ている。

個人的に一番好きな作品

漫画の「ピース オブ ケイク」はジョージ朝倉の漫画の中で一番好きな作品。一応ファンではあるものの他の作品はあんまり記憶に残っていないのだが、「ピース オブ ケイク」は一番覚えている。凝った装幀のせいか読みやすさのせいか。

「溺れたナイフ」や「平成ポンチ」「ハートを打ちのめせ!」など、日常のようでどこかファンタジーな空気のあるジョージ朝倉の作品の中で、ものすごいリアリティに満ちていたから印象に残っているのかもしれない。ともあれ「ピース オブ ケイク」は一番好きな作品で、映像化は楽しみにしているところ。

『ピース オブ ケイク』の意味

タイトルのPiece of cakeは「一切れのケーキ」の意味が転じて「簡単なこと・たやすいこと」という意味を持つ俗語である。このドロドロの恋愛劇の果てに締めくくられる「簡単なこと」というタイトルに込められた意図にそこはかとないセンスを感じる。

映画と漫画のあらすじは大まかなストーリーラインは一緒だが、細かいところが少し違っているよう。映画を観てから漫画を読んでみるのも、逆に漫画を読んでから映画を見に行くのもいいだろう。リアリティという作品のテーマを踏襲しながら、それぞれの表現の仕方や世界観の違いを見比べてみるのも面白い。

ちなみに9月には天ちゃんが所属する「劇団めばち娘」の舞台公演がCBGKシブゲキ!!で行われる予定。演目は劇中劇の「ツチノコの嫁入り」。

-恋愛, 邦画

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