映画を観る前に知っておきたいこと

【スキャナー 記憶のカケラをよむ男】気品溢れる変態のサイコメトリー!?

スキャナー

残留思念を読み取る能力を持った元お笑い芸人が、元相方と共に謎の事件に巻き込まれるミステリー。

「リーガルハイ」『ALWAYS 三丁目の夕日』『探偵はBARにいる』など、エンターテイメントヒット作を次々と世に送り出してきた脚本家・古沢良太によるオリジナル作品を『家族ゲーム』『デスノート』の金子修介が監督した。

主演は本作が現代劇初となる狂言師の野村萬斎(まんさい)。主人公の元相方役を雨上がり決死隊の宮迫博之という異色の話芸バディも話題となった。

物語の鍵を握るヒロインは、2人の運命を動かす女子高生を『トイレのピエタ』『劇場版MOZU』の杉咲花、彼女が慕うピアノ教師を『イニシエーションラブ』『ピースオブケイク』の木村文乃がそれぞれ演じる。

「残留思念を読み取る」という使い古された設定を、お約束をぶち壊すことで有名な古沢良太がどう料理するのか。その手腕に期待がかかる。


  • 製作:2016年,日本
  • 日本公開:2016年4月29日
  • 上映時間:109分

予告

あらすじ

仙石和彦と丸山竜司

一人薄暗い部屋で熱帯魚を相手に会話をする男、仙石和彦。彼は物や場所に残った人間の記憶や感情を読み取る特殊な力を持っていた。
スキャナーその力を芸能プロダクションの社長、峠久美子に見込まれ、泣かずと飛ばずのお笑い芸人・丸山竜司と“マイティーズ”というお笑いコンビを組まされる。

丸山のキレのあるトークと仙石の不思議な能力によって一時はかなり人気が出ていたマイティーズ。しかし仙石の力は負の感情や悪意までも読み取ってしまうため、彼は人間不信をこじらせてどんどん人嫌いになっていく。

ついには仕事をすっぽかし、人気も低迷していたコンビはあえなく解散。以来、仙石はマンションの管理人として人と会わないですむ生活を選び、一方の丸山は“マイティ丸山”の芸名で売れない芸人生活に逆戻り。

もともと気の合う方でもなく、二人の人生は二度と交わることはなかった・・・はずだった。

人探しの依頼

人探しのためにマイティーズの力を貸して欲しい。そんな依頼が峠プロダクションのもとに舞い込んでくる。

事務所を訪ねてきた依頼主は秋山亜美という女子高生で、長年慕ってきたピアノ教師・沢村雪絵を探し出して欲しいというものだった。

話を聞いた丸山は仙石には二度と会いたくないと依頼を渋るが、社長の久美子は半ば強引に丸山と亜美を仙石のもとへ向かわせる。

しかし、マンションを訪ねてきた二人の言葉に仙石は耳を貸そうともしない。険悪な再会となったマイティーズだったが、亜美が忘れていった雪絵の爪やすりが運命の歯車を回し始める。

「あなたには特別な才能がある。頑張って。絶対できるから」
スキャナー思いがけずに爪やすりに触れた一瞬、美しい女性が話している姿を読み取る仙石。一晩、悶々とうなされた仙石は耐え切れずに丸山に電話をかけるのだった。

「また眠れなくなっちゃったじゃないか!どうしてくれるんだよ!!」

連続殺人事件に関与!?

こうして3人の人探しが始まった。しかし、捜索は難航。久しぶりに能力を駆使する仙石の消耗は激しく、全く関係のない思念を読み取ってしまうこともしばしば。
スキャナーそれでも何とか、雪絵の失踪現場に残された犯人と思しき女の姿をとらえる。

長い黒髪、白いワンピース、手には注射器のようなものを持っており、ぐったりとした雪絵を白のワゴン車に押し込めた・・・。

そして仙石の話をもとに似顔絵を作成し警察に持ち込む3人だったが、「残留思念を読み取った」なんて話が相手にされるはずもない。仕方なく丸山曰く「一番優秀な刑事が揃っている」らしい警視庁捜査一課に似顔絵を送りつけることに。

偶然にそれを開封した若きエリート刑事・佐々部悟は驚愕した。送られてきた似顔絵が、外部に漏れていないはずの連続殺人事件の犯人像とそっくりだったのだ。
スキャナー任意同行という形で警察の厄介になる羽目となった仙石と丸山。ベテラン警部補・野田直哉のドギツイ取調べを受け、すっかり疲労困憊。なんとかかんとか釈放されるものの、警察は全くあてにならないと踏んだ2人は独自に捜査を開始する。

果たして2人は犯人に辿り着けるのだろうか――。


映画を見る前に知っておきたいこと

脚本家・古沢良太

TVドラマ「リーガルハイ」「相棒」シリーズ、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』『探偵はBARにいる』『エイプリルフールズ』など、日本のエンターテイメントシーンの一翼を担う脚本家である古沢良太によるオリジナル作品。

彼が脚本を書いた作品は、宣伝にまず古沢良太の名前が出るほど高い知名度を誇る人気脚本家だ。

脚本家で映画を選ぶ人は基本的にはマイノリティだと思われるが、こと邦画においては監督の名前と同列かそれ以上の権威を持っているかもしれない。まずキャスト、それから脚本家、そして監督の順で入るのが一般的であまりハズさない選び方だと思う。

その点、古沢良太による脚本だけにミステリーとしての面白さは折り紙つきだ。そしてキャストはというと、これがまた異色の抜擢で面白い。

狂言師・野村萬斎の気品がハマるか

主演は狂言師の野村萬斎。品のある物腰としっとりとした独特の発声が特徴的な俳優で、彼がキャリア初となる現代劇を演じることでも話題になった。

主人公の仙石和彦がスキャニングをするシーンはまるで変態である。しかし野村萬斎がそれを演じると、自転車のサドルを舐めるように撫で回す変態的な所作に妙な気品が溢れ、「こいつはただの変態ではない」と思わせる。
スキャナー実際にスキャニングをしているだけで変態ではないのだが、宮迫博之が演じる丸山の言う通りやっていることはただの変態である。傍目には紛う事なき変態であり、それも恐ろしく品のある高度な変態だ。

このギャップが『スキャナー 記憶のカケラをよむ男』の特別な面白さの一端を垣間見せる。ひょっとすると「リーガルハイ」の堺雅人演じる古美門研助のような、これまでなかった新しいタイプのキャラクターが生まれる瞬間を目に出来るかも知れない。

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