新宿スワン
歌舞伎町を舞台に男たちの危険な思惑が交錯する……

ヤングマガジンで連載直後から熱狂的な人気を誇るモンスターコミック「新宿スワン」が、『ヒミズ』（12）の園 子温監督によってついに実写映画化される。

主人公・白鳥龍彦を綾野剛が演じる他、山田孝之、沢尻エリカ、伊勢谷友介ら豪華キャストが共演し、新宿歌舞伎町を舞台にスカウトマンたちの熾烈な闘いを描き出す。

歌舞伎町の裏世界でそれぞれの危険な思惑が交錯する……

予告

あらすじ

２０００年代初頭の歌舞伎町。金も仕事もない白鳥龍彦（綾野 剛）は歌舞伎町をふらふらと彷徨っていた。そんな時スカウト会社バーストの幹部である真虎と出会い、自身もスカウトマンとして生きていくことを決める。歌舞伎町の裏世界に足を踏み入れたタツヒコは、蔓延するシャブやそれを牛耳る暴力団から自分がスカウトした女の子を守るために奮闘する。

真虎に憧れ少しでも近づこうとするタツヒコだが、真虎には隠された過去があった。歌舞伎町を支配するヤクザ柚木組・紋舞会会長の天野修繕に壮大な復讐を計画する真虎。

タツヒコはその計画を阻止しようと、日本最大のヤクザ柚木組その頂点となる跡目争いに巻き込まれていく……

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映画を見る前に知っておきたいこと

さすがは「新宿スワン」。映画化は大きな話題となり、週末観客動員数では１位を獲得するなど興行的にも成功を収めている。２０１７年１月２１日には「横浜王国編」を描いた続編『新宿スワンⅡ』が公開される。

実話に基にした原作

原作者・和久井健はかつて実在した日本一のスカウト会社のスカウトマンだった。「新宿スワン」は作者のそんな実体験を基に描かれている。

２００４年は、警察庁出身の副知事・竹花豊による“歌舞伎町浄化作戦”が行われた激動の時期であった。非合法な風俗店の大規模な一斉摘発により多くの店が閉店し、警察の威信をかけたこの作戦はその後の暴力団追放等を掲げた“歌舞伎町ルネッサンス”へとつながっていく。

物語の中心的なプロットとなっているこの時代に、彼はスカウトマンとしてその只中にいたのだ。

「新宿スワン」がどこまで実話であるかは明言されていない反面、一般人が知り得ないその世界観とそこから構築されたストーリーに多くのファンが魅了されたのは事実だ。

何も知らずに読むと現実味が薄く、感情移入しづらいかもしれない。だからこそ実話だということを知らないのはあまりに勿体ない。リアリティを感じた瞬間に引き込まれていくのは映画も漫画も同じだ。

漫画のストーリーと映画

原作コミックは全３８巻と長く、大きな物語はいくつかのストーリーで区切られている。

• 主人公のタツヒコが歌舞伎町を拠点とするスカウト会社バーストに入社したところから話がスタートし、バーストが渋谷に進出する「渋谷AV編」
• 闇金融を営む同僚との抗争を描く「闇金編」
• バーストの横浜進出を描く「横浜王国編」
• そしてとある事情で借金を背負ったタツヒコがスカウトマンからホストに転身し歌舞伎町のホストクラブで働く「ホストバブル編」
• スカウトに戻ったタツヒコがバーストのライバル会社ミネルバに潜入する「ミネルバ潜入編」
• タツヒコがスカウト会社バーストネオを立ち上げる「すすきの監獄編」
• ミネルバの創立メンバーが出会う過去話を描いた「歌舞伎町レクイエム編」
• タツヒコが森長千里と馬頭冬偉と共に新宿に戻った後を描く「バースト奪還編」
• 辰巳幸四郎の死の真相を描いた「歌舞伎町レクイエム編パート2（復讐の連鎖編）」
• ヤクザ柚木組の跡目抗争が絡む物語の黒幕的な紋舞会の天野と真虎との決着を描いた最終章「歌舞伎町ピカレスク編」で終了する。

本作は主に前半部分を切り取った内容となっており、一文無しで歌舞伎町にやってきた龍彦がスカウトマンとして成長していく姿と、ライバル秀吉の死までが描かれている。続編『新宿スワンⅡ』でようやく「横浜王国編」へと突入していくわけだ。

これらすべてが過去のある事件を中心に一つの大きな物語りとしてつながっている。様々な伏線が張り巡らされ、謎を残しながら進んでいくストーリー展開は緊張感溢れるサスペンスとしても秀逸なおもしろさを誇る。

テンポ良く進むので非常に読み易く、簡単に一気読みできてしまうのがこの漫画だ。後半からは映画にも登場した紋舞会の会長・天野修繕との闘いが加速していくことになる。