「こんなに完璧な映画化は奇跡的です。夢が叶い、感無量!」原作よしもとばなな本人の言葉である。原作から26年の歳月を経て、原作者から完璧と評される作品を完成させたのは気鋭の写真家として知られる若木信吾監督。本作では撮影も務めている。
ヒロイン寺子を演じるのは、『百円の恋』でブルーリボン賞主演女優賞、日本アカデミー賞優秀主演女優賞など数々の賞を獲得した安藤サクラ。寺子の恋人・岩永には、日本映画界を牽引する個性派俳優、井浦新。二人は『かぞくのくに』でも共演して話題となった。
過去と現在が奇妙に交差する世界を、眩しい映像と実力派俳優らの静謐な演技で魅せる。
- 製作:2015年,日本
- 日本公開:2015年4月17日
- 原題:『白河夜船』
- 原作:よしもとばなな『白河夜船』
- 上映時間:91分
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3
映画を見る前に知っておきたいこと
- 3.1 白河夜船とは
- 3.2 監督・若木信吾
- 3.3 安藤サクラ:(寺子)
- 3.4 井浦新:(岩永)
予告
あらすじ
毎日家で眠りながら恋人・岩永の電話を待つ寺子。交通事故により永遠に眠り続ける妻を持つ岩永。二人の不倫関係は穏やかに続いていた。そんな時、寺子の最愛の親友しおりが自殺してしまう。しおりは男たちにただ添い寝をする“添い寝屋”という奇妙な仕事に夢中になっていた。寺子はしおりの自殺にショックを受け、岩永にもしおりのことを話せずにいた。
寺子は親友の死と不倫の不安から、まるで何かに取り憑かれたように眠り続けるようになる。次第に夢と現実の境目すら曖昧になっていく・・・
映画を見る前に知っておきたいこと
白河夜船とは
映画のタイトル『白河夜船』はことわざで、何が起きても気づかないほどぐっすり眠っていることの例えとして使われる。
白河とは京都の地名であり、京都見物に行ったと嘘をついた人が白河のことを川の名前だと思い、「夜中に船で通って眠っていたので知らない」と答えて嘘がばれたという話が白河夜船ということわざの元になっている。
改めて考えると、白河夜船ということわざと『白河夜船』という作品とではイメージがずいぶん異なる。何が起きても気づかないほどぐっすり眠っていることという意味は同じでも、作品の方は主人公の現実逃避としての眠りや、岩永の妻が植物人間として永遠に眠り続けることに対して『白河夜船』というタイトルが付けられている。こうした対比は、よしもとばななの文学的なユーモアを感じ取ることができる。
監督・キャスト
監督・若木信吾
もともとは写真家として、雑誌・広告・音楽媒体などの幅広い分野で活動していた。2007年に他界した祖父をモデルにした家族映画『星影のワルツ』で監督デビューし、2009年には台湾に古くから住む原住民の若者で結成されたトーテムというバンドを追ったドキュメンタリー『トーテム Song for home』で高い評価を得た。
安藤サクラ:(寺子)
2007年『風の外側』のヒロインとして本格的に俳優デビュー。映画を中心に活躍し、2013年『かぞくのくに』の演技が高く評価され、第86回キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞を受賞。また同賞で助演女優賞を受賞。主演女優賞、助演女優賞のダブル受賞はキネマ旬報ベスト・テン開始以来初めての快挙となった。今、実力派の女優として注目される一人である。
井浦新:(岩永)
俳優以外にモデルやファッションデザイナーとしても活躍している。俳優としては、1999年の『ワンダフルライフ』で映画初主演を務める。その後も『ピンポン』『青い車』『蛇にピアス』など数々の話題作に出演している。本作と同じく安藤サクラと共演した2012年の『かぞくのくに』では第55回ブルーリボン賞助演男優賞を受賞した。