映画を観る前に知っておきたいこと

【アクトレス~女たちの舞台~】2014年、最高に美しい女性賛歌

投稿日:2015年10月6日 更新日:

アクトレス 女たちの舞台

時間と対峙する女性の本質をテーマに、華やかな芸能界で生きる大女優の孤独と葛藤を描いたヒューマンドラマ。

レオス・カラックス監督のジュリエット・ビノシュが主演をしたことでも話題の本作。監督のオリヴィエ・アサイヤスとは日本でも興行的に成功を収めた『夏時間の庭』以来のタッグ2作目となる。

クリステン・スチュワート、クロエ・グレース・モレッツら、豪華女優陣の共演も話題になっていて、特に、前作で酷評を受けたクリステン・スチュワートがアメリカ人女優として初めてセザール賞助演女優賞を受賞した。

シャネルの特別協力による洗練されたファッションにも注目が集まった。


  • 製作:2014年,フランス・スイス・ドイツ合作
  • 日本公開:2015年10月24日
  • 上映時間:124分
  • 原題:『Sils Maria』

予告

あらすじ

特急列車の廊下でマネージャーのヴァレンティン(クリステン・スチュワート)が携帯電話で女優、マリア・エンダース(ジュリエット・ビノシュ)のスケジュールを調整している。

マリアは今、新人女優だった彼女を発掘してくれた劇作家、ヴィルヘルム・メルヒオールに代わり、彼の功績を称える賞を受け取るためチューリッヒに向かっている途中だ。

ここ数年公の場に姿を見せていないメルヒオールは、前もって賞を受け取ることを拒否した上で、マリアに彼女を世に送り出した舞台「マローヤのヘビ」の題名の由来でもある景勝地、シルス・マリアまで来るよう指示してきたのだ。

その時、メルヒオールが71歳で亡くなったという衝撃的な知らせが入る。

授賞式当夜、マリアが会場入りすると、壇上ではメルヒオール作品の常連俳優だったヘンリク・ヴァルト(ハンス・ツィジシュラー)が故人との思い出を語っている。

そして、レセプションでマリアに面会を求めて来た人物がいた。新進演出家のクラウス(ラース・アイディンガー)だ。彼は「マローヤのヘビ」のリメイクにマリアの出演を熱望しているという。

しかしマリアに求められた役柄はかつて演じた20歳の主人公、シグリッドではなく、シグリッドに翻弄され、自殺する40歳の会社経営者、ヘレナ役。アクトレスシグリッド役には、ハリウッド映画で活躍する19歳の女優、ジョアン・エリス(クロエ・グレース・モレッツ)が決定していた…。


映画を見る前に知っておきたいこと

ジュリエット・ビノシュ

アクトレスレオス・カラックス監督の『穢れた血』『ポンヌフの恋人』で連続して主演を務めたことで有名なジュリエット・ビノシュ。

カンヌ国際映画祭女優賞、ヴェネチア映画祭主演女優賞、セザール賞、アカデミー助演女優賞などなどなど・・・。幅の広さと深みのある演技、そしていつまでも透明感を失わない魅力で世界中を虜にする、フランスが誇る大女優だ。

なぜ彼女をここで敢えて取り上げるのかと言うと、個人的にファンということももちろんあるが、そもそもこの映画はビノシュから監督であるオリヴィエ・アサイヤスへの打診から始まっている。

二人の関係は、ビノシュが20歳の時に主演を務めたアンドレ・テシネ監督の『ランデヴー』にまで遡る。この映画の脚本を担当してい
たのが、他でもないアサイヤスだった。

それからいくつかの作品を経て、2008年の『夏時間の庭』で初めて監督と主演女優として協力し合える立場になった。2人がかかわる作品は、『溺れゆく女』を含めてこれが4作目となる。

「時間と対峙する女性の本質を掘り下げてほしい」

この一言がきっかけとなり、『アクトレス~女たちの舞台~』の脚本は二週間を待たずに完成した。発表された本作『アクトレス~女たちの舞台~』は、大絶賛を以って世界の映画祭に迎えられ、2014年最高の女性賛歌として映画史に刻まれた。

ビノシュのその言葉を振り返ったアサイヤスはこう語る。

「ジュリエットにとっても私自身にとっても、過去に遡り、現在そして未来について問いかけるべき時が来たと実感した」

Sils Maria

アクトレス邦題『アクトレス』は“女優”という意味だが、原題の『Sils Maria』とはスイスのエンガディン地方にあるシルスのマリア地区を指している。

シルスの地は静寂に包まれた湖と山々が、神々しく神秘的な景観を作り出しており、多くの芸術家が創作のインスピレーションを求めてこの地を訪れることでも有名な場所だ。マローヤのヘビ maloja snakeそこで見られる「maloja snake(マローヤのヘビ)」という特定の環境化で起こる独特の気象現象は、雲が山の合間をヘビの様に這うことからそう呼ばれている。荘厳で美しくもあるが、その姿はまさしくヘビのそれで、不気味な雰囲気を漂わせている。

あの有名な哲学者ニーチェをはじめ、多くの文人や画家が晩年をその地で過ごした「シルス・マリア」。そして「マローヤのヘビ」。

過去から現在、そして未来を見つめていく一人の女性が、この壮大な大自然を前にどう心を揺らすのかも見所のひとつだ。

-ヒューマンドラマ, 洋画

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