映画を観る前に知っておきたいこと

【スリーパーズ】実話かフィクションか?

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スリーパーズ

ニューヨーク・デイリー・ニュース紙の元記者ロレンゾ・カルカテッラの実体験を綴ったベストセラー小説を原作に、バリー・レヴィンソンの監督・脚本で映画化。この物語は実話かどうかで大きな話題を呼んだ。

ロレンツォ、マイケル、トミー、ジョンの4人の少年は些細ないたずらが原因で他人に大怪我を負わせてしまい、過失傷害の罪で少年院に送られる。そこで彼らを待っていたのは看守たちによる虐待と性的暴行の日々だった。少年たちは誰にも話せない大きな心の傷を抱えることになった。やがて成人したトミーとジョンはレストランで偶然にも自分たちを虐待した看守に出会い、その場で射殺するのだった。そのことがきっかけとなりロレンツォ、マイケル、トミー、ジョンによる復讐劇が始まる。

ロバート・デ・ニーロとブラッド・ピットが共演した豪華なキャスティングも見所な作品だ。


  • 製作:1996年,アメリカ
  • 日本公開:1997年3月
  • 上映時間:147分
  • 原題:『Sleepers』
  • 原作:小説「スリーパーズ―恐怖の少年院と復讐の記録」ロレンゾ・カルカテッラ

予告

https://youtu.be/HQu7BaU6UtA
※アメリカ版予告編

あらすじ

1960年代のニューヨーク。マンハッタンの西側にヘルズ・キッチンと呼ばれるスラムがあった。その街は、アイルランド系、イタリア系、プエルトリコ系、東欧系、種々雑多な住民が暮らしていた。荒んだ環境だが、そこに住む子供たちは“安全ネット”により守られていた。ヘルズ・キッチンでは住民への犯罪は御法度であった。ヘロインで街の12歳の子供が死んだ時は、ヘロインを持ち込んだ男は殺されて吊るされた。ここでは暗黙の掟によって秩序が守られていた。腐敗に支配され、無垢を守る街、それがヘルズ・キッチンだ。

ヘルズ・キッチンで暮らすロレンツォ、マイケル、トミー、ジョンの4人の少年はやんちゃだった。くだらない悪さを繰り返し、街のボスのキング・ベニーの仕事を手伝い小遣い稼ぎをしていた。そんな4人を心配してくれる存在がボビー神父だった。彼は昔は街のチンピラだったが、今では少年たちの相談役であり理解者だった。

67年夏、少年たちの運命が一変する事件が起きる。いつもの悪ふざけでホットドッグ屋の屋台を隠そうとした彼らは、運んだ先の地下鉄の入口で手を滑らせて階段から落としてしまい、通りがかった紳士に大怪我を負わせてしまう。些細な悪ふざけが過失傷害となり4人はウィルキンソン少年院に送られることとなった。スリーパーズそこで少年たちを待ち受けていたのは、看守たちによる暴力と性的暴行の日々だった。ノークスを筆頭とする看守たちのはけ口となった4人は、決して消えない心の傷を負うこととなった。時折シェイクスの元に面会に訪れ、優しく声をかけてくれるボビー神父だったが、心の傷はそれすら拒絶させた。そして4人は、看守たちにレイプされたことは自分たちだけの秘密にした……スリーパーズ81年。成人したトミーとジョンはギャング、シェイクスは新聞記者見習い、マイケルは地方検事になった。そして、トミーとジョンは偶然訪れたレストランで落ちぶれたノークスを見つけ、その場で射殺してしまう。二人は殺人の容疑で裁判にかけられるが、検察側の担当者はマイケルだった。実はマイケルは、新聞記者見習いとなっていたシェイクスと裏で協力し、この裁判で二人を無罪にし、さらに当時の看守たちに復讐することを企てていた。スリーパーズ裁判のシナリオは全てマイケルが書き上げ、次にシェイクスはそれを忠実に実行する弁護士を探した。シェイクスの相談を受けたキング・ベニーは、アル中のスナイダーを脅して事件を担当させた。しかし、トミーとジョンを無罪にするため、彼らの事件当日のアリバイを偽証してくれる人物が見つからなかった。そこでシェイクスは、ボビー神父にすべての真実を打ち明け、嘘の証言をしてくれるように頼むのだった。

そして裁判が進むのと同時に、ノークス以外の3人の看守にも復習は行われた。ある者はマフィアに処刑され、ある者は汚職と殺人で逮捕され、またある者は裁判の証人として出廷し、忌まわしい過去が暴かれた。スリーパーズ最終弁論の日、ついにボビー神父が証言台に立ち、事件当日は2人と一緒だったと証言した。裁判の結果トミーとジョンは無罪となった。それから一月後、4人は祝宴を上げ、夜を徹して語り明かした。これが4人が最後に集った夜だった……


映画を見る前に知っておきたいこと

実話かフィクションか?

本作の原作はロレンゾ・カルカテッラのベストセラー小説であり、発売された当初はカルカテッラの実体験を綴った物語だと紹介された。しかし実際は、本作で描かれたような裁判の記録もなく、カルカテッラ自身が少年院に収容された過去もない。また、裁判所と検事局も事実無根だと発表している。これによって原作も映画もノンフィクションからフィクションへとジャンルを書き換えられることとなった。こうした経緯があったため、本作は実話かどうかで大きな話題を呼ぶこととなったのだ。

少なくとも原作のノンフィクションといううたい文句はセールスに貢献したと思われるし、少年たちの境遇に同情した人も多かったはずだ。こうしたやり方は作品の質を落とすことになるのでまったくやめてほしいものである。ひいては映画の評価にも関係してくる話だ。

しかし、映画の最後に「本作で描かれたような環境の少年院は存在しないと、NY州青年矯正機関は発表している。マンハッタン地区検察局も、このような事件及び裁判はなかったと断言した。原作者のカルカテッラは氏名、年代、場所を変えた実話だと述べている。」というテロップが流されるのだが、これは映画が完成する以前から実話かどうかの議論があったことを意味している。

あえてここに触れる意図は何だろう?カルカテッラの実体験ではないが実話だと言っているように取れるのは僕だけだろうか。現実的に、本作で描かれたような環境の少年院は存在しないと本当に断言できるだろうか?僕にはそうは思えない。考え過ぎかもしれないが、原作や映画に何かしらの圧力が掛かっているような印象を受けた。

言われているように原作の実体験というのは嘘だとしても、ここには社会問題をテーマとした真実がいくらかは描かれているのは事実だと思う。すべて実話という可能性も否定しきれないところが、この映画のおもしろさかもしれない。結局僕たちは映画について、ああだこうだ話すのが好きなのだ。

ただ、実話かどうかという話を除けば、ストーリー自体は非常におもしろい。映画も割と淡々とした空気で描かれているが、そこがリアリティも緊迫感も感じさせる作品に仕上がっている。

-ヒューマンドラマ, 洋画
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執筆者:


  1. あつし より:

    小説を読むと分かりますが、まず、前半は実話と言うか、当時のヘルズキッチンの少年の眼から見た、また、体験した物語だと思います。おそらく多数の子供達がトピックスとして語り合った事をを四人に演じさせてるのでしょう。プロレスラー「ヘイスタックカルホーン」や「ボボブラジル」とのエピソードは誰かが本当に体験したんだろう感いっぱいです。そもそも、小説ではありません。
    さて、後半ですが… 明らかにフィクションです。台詞まわしはゴッドファザーであり(すごく下手くそな和訳)、内容はグッドフェローズ、ショーシャンク、ロンゲストヤード等の雑炊です。笑ってしまうのは四人の看守がすべてアブノーマルなセックス愛好者である不自然さ。どう考えてもストレートに比べればマイノリティでしょう。
    それと忘れてましたが法廷場面は明らかにグリシャム、あるいはフォーサイスをいただいてます。
    基本的に小説、映画は面白ければそれで良いのですが(印象批評がすべてだと思ってます)、ノンフィクションをうたうには厳しいのかなって感じです。
    ちなみに、大傑作「仁義なき戦い」でさえ、当時は実録とはうたっていませんでした。

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