映画を観る前に知っておきたいこと

スモーク・アンド・ミラーズ
アルベルト・ロドリゲスによって脚色されたロルダン事件

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スモーク・アンド・ミラーズ 1000の顔を持つスパイ

ひとつの国家を欺いた、
史上最大の詐欺事件。

スパニッシュ・ミステリーの最高傑作と言われた『マーシュランド』(14)を生み出したアルベルト・ロドリゲス監督が、スペイン史に残る実際の詐欺事件を映画化する。

1994年にスペインで起こった治安警備総局局長ルイス・ロルダンによる巨額の横領と国外逃亡劇。そして、当時のレートで12億円以上と思われるその金の秘匿を依頼された男フランシスコ・パエサ。映画は彼を主人公に、スペインでは広く知られたこのロルダン事件を映し出す。

『BIUTIFUL ビューティフル』(10)のエドゥアルド・フェルナンデスが、未だ多くの謎に包まれた実在の諜報員パエサを演じる。


予告

あらすじ

かつてスペイン政府管轄の秘密組織に属し、世界を股にかけ暗躍してきた諜報員パエサ(エドゥアルド・フェルナンデス)。しかし、彼は政府の裏切りにより私財を差し押さえられ、国外生活を余儀なくされていた。

スモーク・アンド・ミラーズ 1000の顔を持つスパイ

© 2016 ZETA AUDIOVISUAL, ATRESMEDIA CINE, ATÍPICA FILMS, S.L.,SACROMONTE FILMS, S.L., DTS DISTRIBUIDORA DE TELEVISION DIGITAL, S.A.U.,y EL ESPÍA DE LAS MIL CARAS A.I.E.

妻と引き離された怒りと憎しみを抱えながら、再びスペインへと舞い戻ったパエサを待ち構えていたのは、次期内務大臣と噂される治安警備総局局長ルイス・ロルダン(カルロス・サントス)だった。

スモーク・アンド・ミラーズ 1000の顔を持つスパイ

© 2016 ZETA AUDIOVISUAL, ATRESMEDIA CINE, ATÍPICA FILMS, S.L.,SACROMONTE FILMS, S.L., DTS DISTRIBUIDORA DE TELEVISION DIGITAL, S.A.U.,y EL ESPÍA DE LAS MIL CARAS A.I.E.

内務省の公金15億ペセタを横領し裁判所に召喚される寸前のロルダンは、パエサに金の秘匿と国外逃亡の手助けを依頼する。それはスペイン全土を驚愕させる史上最大の詐欺事件の始まりだった ──


映画を観る前に知っておきたいこと

映画の副題として付けられた「1000の顔を持つスパイ」は、マヌエル・セルドンの原作『Paesa: El espía de las mil caras』から取られたものだが、フランシスコ・パエサに関してこれが大袈裟なのかどうかすらわからない。この原作はパエサの証言を基に綴られているものの、スパイとして銀行家から武器商人まで様々な顔を持つ彼が取材で事実を告げていたかは実に疑わしいからだ。

しかし、アルベルト・ロドリゲス監督はそれを承知の上でこの映画の脚本を書き上げている。

脚色された実話

実在のパエサはロルダン事件の後に姿を消し、1998年に一度姉妹から死亡広告が出されているが、2005年にパリでマヌエル・セルドンのインタビューを受けたことからその生存が確認された。

世間を欺くようなパエサの摑みどころのない行動が映画での脚色を余儀なくさせ、ロドリゲス監督は作品の冒頭であえてそれを宣言してから物語をスタートさせている。そこには、彼のストーリーテリングに対する揺るぎない自信が垣間見える。

いつもなら実際の事件を扱った映画での脚色を好まない僕も、『マーシュランド』の衝撃を味わった一人として、この映画にアルベルト・ロドリゲスが生み出すスリル以上に欲するものはないのである。

-社会派
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