映画を観る前に知っておきたいこと

【ソ満国境 15歳の夏】戦火を生きる15歳、現代を生きる15歳

投稿日:2015年7月15日 更新日:

ソ満国境 15歳の夏

1945年夏、敗戦によってソ連と満州の国境付近に置き去りにされた15歳の中学生たちの苦難をつづった田原和夫の同名手記を映画化。「永遠の0」の田中泯、本作が遺作となった夏八木勲ら名優たちに加え、「呪怨 終わりの始まり」の金澤美穂、「東京家族」の柴田龍一郎、「渇き。」の清水尋也ら注目の若手俳優も多数出演。監督・脚本は「ゴーヤーちゃんぷるー」の松島哲也。


  • 製作:2014年,国
  • 日本公開:2015年8月1日
  • 上映時間:94分
  • 原作:小説『ソ満国境 15歳の夏』田原和夫
  • ソ満国境15歳の夏

予告

あらすじ

ソ満国境 15歳の夏
東日本大震災から1年後の福島。15歳の敬介は、1年が経った今でも仮設住宅で非難生活を送っていた。中学最後の夏、放送部の作品づくりができないことを残念に思う敬介と部員たち。

そこへ突然の招待状が舞い込んでくる。見知らぬ中国北東部の小さな村が、ぜひ取材をしてほしいと敬介たちを招待したのだった。期待と不安を胸に果てしない平原が広がる中国へと旅立つ放送部一行。招待主は中国のとある村の長老・金成義(ジンツンイ)という人物だった。
ソ満国境 15歳の夏
長老は67年前ある出来事について語り始める。それは戦時中、敬介たちと同じ15歳だった少年たちの壮絶な体験だった。

映画を見る前に知っておきたいこと

原作・ソ満国境 15歳の夏 田原和夫

昭和20年5月。終戦間近のソ連と満州国の国境付近に勤労動員として送られた中学生たち。敗戦直後、彼らはそこに置き去りにされた。原作は、少年たちの故郷へ帰るまでの過酷な旅路を、生存者の一人が実体験として綴った壮絶な記録。
ソ満国境 15歳の夏
勤労動員として送られたのは120人。しかし、終戦間近となった8月9日、突然ソ連が参戦してくる。国境付近で労働をしていた彼らは、必死に逃げようと試みるが、ソ連軍の捕虜となってしまう。そうして薄められたお粥が1日2食出るだけの監禁生活を強いらる。

終戦―。
釈放された彼らは、痩せ細った体を引きずり、両親のもとへ帰ろうと新京市を目指す。当然、楽な道のりではなく、ついに力尽きようとしたその時、彼らを救ったのは中国の貧しい農民達だった。
ソ満国境 15歳の夏
作者の田原和夫さんは、その中学生の一人だった人だ。

現代に生きる15歳、戦火を生きる15歳

どうしたら原作のストーリーをより多くの人に見てもらえるだろうか。そうして考え出されたのが福島の放送部員という設定だ。東日本大震災、福島という誰もが関心のある現代の大きな問題をテーマとして取り上げ、現代の15歳を主人公にすることでより身近に感じさせる工夫が凝らしてある。

放射能汚染という一生の問題を抱え込まされ現代を生きる15歳と、置き去りにされてしまう戦火を生きる15歳。この映画の過去と現代を生きる少年たちと大人たちの関係は、「苦しんでいるものに手を差し伸べること」という大きなテーマで繋がっている。

残酷さと優しさのコントラスト

福島の原発問題、ソ満国境への置き去り、少年たちは非人道的とも言える理不尽な苦境に立たされる。日々のニュースや事件もそうだが、いかんせんこういう問題を扱った作品には問題提起を促すような、あるいは起こした人を責める方に偏ってしまう傾向があるように思う。

対してこの映画は、手を差し伸べる人たちの優しさにフォーカスしていることに注目したい。それが他の作品との大きな違いだ。問題を改めて見つめなおす事ではなく、中国と日本の関係の話でもない。「誰かに手を差し伸べること」そんなシンプルな目線で見たい映画である。

-ヒューマンドラマ, 戦争, 邦画

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