映画を観る前に知っておきたいこと

【名もなき塀の中の王】 世界最大の映画批評家サイト「ロッテン・トマト」にて脅威の満足度99%を記録!

投稿日:2015年9月17日 更新日:

名もなき塀の中の王

「猟人日記」「パーフェクト・センス」などで高い評価を得た気鋭デヴィッド・マッケンジー監督が、期待の新星ジャック・オコンネルを主演に描く、生々しいバイオレンスと容赦なき世界でのサバイバル。

闇の暴力に支配された刑務所を舞台に、愛を知らず暴力でしか自分を示せなかったひとりの不良少年が、不器用ながらも生きる希望を見つけていく。それはあまりに鋭利で鮮烈な成長の物語。

    • 製作:2013年,イギリス
    • 日本公開:2015年10月10日
    • 上映時間:106分
    • 原題:『Starred Up』
    • 映倫区分:R15+

予告

あらすじ

19歳の少年犯罪者エリック・ラブは、その凶暴さから要注意人物とされ、少年院から成人刑務所へ移送されてきた。名もなき塀の中の王重い罪を犯した囚人たちが共同生活を強いられている舎房棟は、独自のルールで支配されており、ちょっとした不注意で暴力に跪かされてしまう閉ざされた狂気の世界だ。

しかし若く血の気の多いエリックは、反感と敵意を生みながらも、そこでも勝者となることを望んでしまう。そんなエリックのもとに、長年の刑務所暮らしで暗黙の掟を熟知するネビルという中年囚人が近づく。ことあるごとにエリックを気に掛ける彼は、実は幼い頃に生き別れたエリックの父親だった。名もなき塀の中の王父親ネビルとの再会、そして寛容な心理カウンセラーのオリバー・パウアーとの出会いがエリックの閉じた心を徐々に開示する。セラピー・グループの囚人たちとも仲間意識が芽生え始め、初めての希望がエリックを変えていく。

暴力を抑える術を学び成長していくエリック、しかしこれまでの行動のために彼を敵視する勢力が動きだし……親子の絆、信頼、調和、愛を知らない不良少年が、刑務所で見つけた生きる希望。果たしてエリックは、この希望を確かな形に結実させる時までサヴァイブすることができるのだろうか——

映画を見る前に知っておきたいこと

生々しさの理由

この作品は、囚人たちの業や運命を描いたサバイバルドラマであり、未熟な少年が仲間を得て現実の調和を学んでいく成長譚、そして父と息子の失われた絆の回復を描くヒューマンドラマでもある。

この多面的な脚本を執筆したのは、ジョナサン・アッセル。彼はかつてロンドンの大きな刑務所でセラピストとして活動していた経歴を持つ。自身の経験を惜しげもなく注ぎ込み、刑務所を舞台に繰り広げられる残酷な行為をまっすぐに描いている。彼が信頼するかつて囚人だった人間にも協力を仰ぎ、キャストたちにもアドバイスをしてくれたおかげでよりリアルな作品に仕上げることが出来たそうだ。

ちなみに彼にとって初の脚本作品となる本作、原題の「Starred Up」は重度少年犯罪者が成人刑務所へ移監されるシステムの名称である。

主演のジャック・オコンネルも自分とは全く違う役柄を生々しく演じるにあたり、数々の危険を犯したと語る。

「台本の最後を読まないと決めた。自分に何が起こるか知りたくなかったから、演じる日の前夜に初めてセリフを覚えるという風にしたんだ。だから映画の中での僕の反応は演技とは言えないかもしれない。考えずに素で返すようにした。最後を知らないわけだから、どうでもやれる。そのことがこの映画に深い意味を与えたと思う」

インタビューでのこの部分は印象的だ。その結果、リアルでキレのある一触即発の演技ができたのではないだろうか。

また本作のロケは英国北アイルランドの首都ベルファストに実在するクルムリン・ロード刑務所で行われた。実際の刑務所を使用できたとことで、作品の纏う空気に生々しさが増したことは間違いないところだろう。

-ヒューマンドラマ, 洋画
-,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。