映画を観る前に知っておきたいこと

【スティーブ・ジョブズ】本物の伝記の待ち望まれた映画化

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スティーブ ジョブズ 2016

ジョブズの人生の中で転機となった1984年、1988年、1998年の「伝説のプレゼン」の舞台裏40分を描いた伝記ドラマ。原作はウォルター・アイザックソンによるベストセラー伝記「スティーブ・ジョブズ」

ビジネスの面で光を当てられることの多い人物だが、確執があったとされる娘のリサとの関係を土台に、一人の父親としてのジョブズも描かれている。

『スラムドッグ$ミリオネア』でアカデミー賞に輝いたダニー・ボイルを監督に、『ソーシャル・ネットワーク』で同賞脚色賞を受賞したアーロン・ソーキンが脚本を担当。本年度アカデミー賞の有力候補しても話題になっている。

『それでも夜は明ける』のマイケル・ファスベンダーを主演に、『グリーン・ホーネット』のセス・ローゲン、『タイタニック』のケイト・ウィンスレットらが共演。


予告

あらすじ

1984年 – Macintosh発表会

Macintosh本番を40分前、主役のMacintoshが「ハロー」と挨拶をするはずが、どうにも黙ったまま音沙汰がない。

「直せ」と詰め寄るジョブズに、部下のアンディは「無理だ」と即答。マーケティングを担当しているジョアンナが、音声ソフトなしで発表会を進めることを提案するが、ジョブズはそれなら発表会は中止すると譲らない。

ふと、廊下に積まれたタイム誌がジョブズの目に入る。“今年の人”に選ばれる予定だったのに、元恋人のクリスアンの娘リサにまつわるスキャンダルのせいで降ろされたと憤る。スティーブ ジョブズ 2016控室にはそのクリスアンがリサを連れて訪れていた。娘の認知を拒否し、タイム誌の取材に「米国男性の28%は父親の可能性がある」と言ったジョブズに抗議に来たのだ。

15分前。クリスアンに応答する余裕があるはずもなく、ジョブズはジョアンナに「胸ポケット付きの白いシャツを用意しろ」と命じる。いよいよ2分前、ジョブズは舞台袖でペプシコーラから引き抜いてきた新CEOのスカリーとある会話を交わしていた──。

1988年 – NeXT Cube発表会

NeXT-Cube自身が創設したAppleから解雇され、新たに立ち上げたNeXT Cubeの発表会。

自分に付いて新会社に来てくれたジョアンナから、Appleの面子がお祝いに来てくれていることを知らされるジョブズは「うれしくない」と一蹴。にこやかに表れたウォズニアックと一悶着を起こす。

マシンを作り出したのは自分なのに、何もしていないジョブズが天才と呼ばれることに憤慨するウォズと、創設者でありながら解雇された過去を割り切れないでいるジョブズ。

会場には娘のリサが小学校をサボって遊びに来ていた。あの騒動の後、クリスアンに家を買い与え、十分な養育費を払っていたジョブズだったが、3人の関係はギクシャクしていた。

養子として育った複雑な家庭環境もあって、ジョブズは娘にどう接していいのか分からない。クリスアンとは彼女の浪費と子育てについての口論が絶えない。別れ際、リサはふいに父親に抱きついて「一緒に住みたい」とつぶやくが、不器用なジョブズは娘を抱きしめ返すことすら出来ずにいた。スティーブ ジョブズ 2016そうして迎えた本番6分前。ジョブズの前にこっそり潜入してきたスカリーが現れる。4年前の過去を振り返り、激しく対立する二人。

そしてジョブズは、ジョアンナにAppleへの“復讐計画”を打ち明ける。

1998年 – iMac発表会

IMacチームは浮かれていた。2年前、Appleは業績不振を理由にスカリーを解雇。NeXTを買収し、ジョブズはAppleに復帰してCEOを務めていた。スティーブ ジョブズ 2016ジョアンナから莫大な売上予測を聞いて歓喜に浸るジョブズをよそに、ジョアンナ自身は気分が優れない様子。ジョブズとリサの深刻な仲違いを聞いたからだ。母親が家を売却することを止めなかったリサを怒ったジョブズが、ハーバード大学の学費を払わないと宣言したことが決定的な溝となってしまっていた。

「仲直りをしなければ会社を辞める」と涙ながらに訴えるジョアンナ。一人になったジョブズは、リサのことを思い返していた。リサはいつでも自分の愛を求めていた。

開始直前、リサは父への怒りを爆発させていた。14年前のタイム誌の記事を読んだのだ。

これまで何があろうとも9時スタートを厳守してきたジョブズだったが、娘のために時間を押して語りかけるのだった。


映画を見る前に知っておきたいこと

登場人物の整理

スティーブ ジョブズ 2016スティーブ・ジョブズは知っていても周りの人は良く知らないという人、大勢いることと思う。何を隠そう僕もそのうち一人である。

というわけで、まずは主要な登場人物を簡単に整理しておこうと思う。下で紹介する写真は役者ではなく本人。

ウォズニアック

スティーブ・ウォズニアックスティーブ・ウォズニアック。「AppleⅠ」と「AplleⅡ」をほぼ独力で製作したエンジニアとして有名。彼がいなければAppleはなかったと言われている。

フランクな人柄とその神がかった技術力から、「ウォズの魔法使い」なんて冗談めいたあだ名で呼ばれることもある。

ジョアンナ

ジョアンナ・ホフマンジョアンナ・ホフマン。開発チーム初の女性エンジニアで、Macintoshではマーケティングを担当していた。非常に重要な人物だが、2013年の映画では彼女の存在は描かれていない。

スカリー

ジョン・スカリージョン・スカリー。ジョブズ自らのヘッドハンティングで、AppleのCEOを務めることになった元ペプシコーラCEO。“宿敵でもあり親友でもあったジョン・スカリーが語る”という前置きでメディアに向けてスティーブ・ジョブズの話をすることがよくある。

彼をAppleのCEOへ引き抜いたジョブズの言葉はあまりにも有名。

残りの人生を砂糖水を売ることに費やすか、それとも私と一緒に世界を変えるか

クリスアン

クリス・アン・ブレナンクリス・アン・ブレナン。ジョブズの高校時代の恋人で、くっついては別れてを繰り返してきた腐れ縁。

生活保護で生計を立てていたが、Appleの業績を知った市政側が、娘の認知と生活保護費の返還を求め裁判に発展している。彼女にまつわる問題は思ったよりも複雑な状況だったようだ。

彼女もまたスティーブ・ジョブスについての書籍を執筆している。

リサ

リサリサ・ブレナン。生まれてすぐ認知こそされなかったが、当時のジョブズにも人並みの愛情はあったようで、開発した最初のコンピューターをLisaと名づけている。このことは映画の中でも語られている。

世界初のマウスで操作出来るコンピューターだった。

余談だが、ジョブズの子供はリサだけではなく、クリスアンとは別に伴侶を迎えて家庭を持っている。息子は医者を目指しているとかいないとか。

スティーブ・ジョブズの何が凄いのか

Appleの創設者として世界中から愛される男スティーブ・ジョブズの一体何がどう凄いのかを、彼の名言を交えて簡単に書いておこうと思う。

ひとつは、誰もが知るように世界に革命を起こしたということ。

スマホが当たり前のように普及している現代から見れば、どうということはないかも知れない。しかし、ジョブスが存在していなければ、おそらく僕らは現代から見ればまさに「ガラパゴス」に生活していた。

個々の機器について語りだすと膨大な文字数になってしまうために割愛するが、ジョブスの凄いところは機器よりもそれを使ったライフスタイルを提供したところにある。

未来を想像するだけなら誰にでも出来るが、それを世界中に提供するまで突き抜けたある種の変態である。

未来を見て、点を結ぶことはできない。過去を振り返って点を結ぶだけだ。だから、いつかどうにかして点は結ばれると信じなければならない。

もうひとつは、ビジネスセンス。

これについては色々な書籍が発売されているし、あえてここで語ることでもないかも知れない。というより、ビジネスセンスと言われてもふんわりし過ぎてイマイチよく分からないというのが本音だけれども・・・。

要はモノの売り方、提供の仕方に抜群のセンスがあったということ。特にプレゼンテーションにかけては世界中の人間が彼のフォロワーであると言っても過言ではない。

少し個人的な話になるが、僕はセンスとは“選び取る力”のことだと思っている。

“センスがある”ということはつまり、何か物事と向き合う時、自分なりの独自の方法を試行錯誤を繰り返して磨いてきたということだ。

その辺りにも、周りの意見に流されないスティーブ・ジョブズの突き抜けた変態性を垣間見れる。そしてこの映画には、彼のセンスの秘密が隠されている。

方向を間違えたり、やり過ぎたりしないようにするには、まず「本当は重要でも何でもない」1000のことにノーと言う必要がある。

本物の伝記と新しい伝記

正統の伝記「Steve Jobs」

本作の原作は伝記作家ウォルター・アイザックソンによる著作。これはジョブズ自身がウォルターに執筆を依頼したもので、彼は完成した原稿にほとんど目を通していないという。それはつまり、ジョブズ本人の都合を全く意に介していないということになる。

「世界に奇跡をもたらした男、スティーブ・ジョブズとはどういった人生を歩んだのか?」

この問いに一番“良く”答えてくれるのが、この伝記というわけだ。あなたがジョブズの人生を知りたいと思った時、この伝記は最高の入り口になる。上下巻の2冊。

しかし長所はまた短所でもあり、ジョブズの内面や仕事を深く考察した内容ではなく、割かしドライであるというのが個人的な感想。

新しい伝記「Becoming Steve Jobs」

一方で、2015年3月に新たに「Becoming Steve Jobs」という伝記が発表され、Apple社内は少し騒がしくなった。CEOのティム・クックをはじめとする役員はこちらを手放しで賞賛し、ウォルターの伝記を「ウォルターが書いたジョブズとされる人間は全くの別物。ひどい仕打ちだ。」と批判した。

ウォルターの伝記と違い、ジョブズの人生を淡々と記したものではなく、とにかく人間らしい一面をプッシュして描いているところが支持を集めた要因であるようだ。

ちなみに、「Becoming Steve Jobs」は訳本が刊行される予定。

いろいろと言われてはいるものの、どちらが真実かを語るのは今となってはあまり意味のあることではないだろう。

ではなぜ紹介したのかというと、伝記に限らず原作を元に作られている映画は、その原作本がどういう立ち位置にあるのかを知って置くことは重要だと思ったから。

映画を見る上で少しでも参考になれば幸いである。

-伝記, 洋画
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執筆者:


  1. 眞野貞昭 より:

    終始一貫した「コダワリ」。
    人によっては、「どうでもいいこと」
    それを通す“事”コレこそスティーブジョブズなのだと思う。
    鋭敏な感覚を、通し続ける事→消費者の胸にgusari!
    純情は、人のココロを揺さぶる。
    売り手と買い手を結ぶ純情。親と子を結ぶ純情。
    きっと「人と人」を結ぶ純情を持ち続けられたとっても幸運な凝縮された人生だったのでしょう。信念が商品を作り、商品が感動を創る。その中に居られたら、きっと幸せだろう。デモ息苦しくもあるかもしれない。そうそれが普通の人生だから。爽快感をありがとう!

  2. 今川 幸緒 より:

    >眞野貞昭さん

    コメントありがとうございます。

    一人の人間としてのスティーブジョブズも描かれていることが、余計に彼の特異な人生を浮き上がらせてくれますね。

    自分との共通点や相違点を感じ易いという意味では、彼の人生に触れるのに映画は最適だったと思います。

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