映画を観る前に知っておきたいこと

アリスのままで 若年性アルツハイマーのアリスが、未来の自分へ送るメッセージ

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アリスのままで

若年性アルツハイマーの女性アリスが記憶を失っていく日々をつづった全米ベストセラー小説「静かなるアリス」を映画化。アリス役を演じたジュリアン・ムーアは第87回アカデミー賞で主演女優賞を受賞。これにより、ムーアは女優史上初の世界主要6大映画祭<主演女優賞>を制覇し、キャリアを重ねた彼女を遂に頂点へ押し上げた。

アリスの夫をアレック・ボールドウィン、2人の娘をケイト・ボスワース、クリステン・スチュワートが演じた。監督は、自身もALS(筋委縮性側索硬化症)という難病を抱えるリチャード・グラッツァー。


    • 製作:2014年,アメリカ
    • 日本公開:2015年6月27日
    • 上映時間:101分
    • 原題:『Still Alice』
    • 原作:小説『静かなアリス』リサ・ジェノヴァ

静かなアリス

予告

あらすじ

アリスと家族

ニューヨーク、コロンビア大学で教鞭をとる言語学者アリス(ジュリアン・ムーア)は、50歳になったその日、最高の誕生日を迎えた。夫のジョン(アレック・ボールドウィン)は「僕の人生を通じて、最も美しく、最も聡明な女性に」と愛のこもった乾杯の挨拶をしてくれた。

長女のアナ(ケイト・ボスワース)と彼女の夫チャーリー(シェーン・マクレー)、医学院生の長男のトム(ハンター・パリッシュ)も母を祝うために駆けつけた。ロサンゼルスで女優を目指している次女のリディア(クリスティン・シュチュワート)だけは、「オーディションがあるから」と顔を見せなかった。アリスは、次女リディアのことだけが気がかりだった。

異変

そんなある日、アリスに突然の異変が襲いかかる。UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)に招かれた講演中に、言葉が思い出せない。異変はそれだけでは終わらなかった。今度はランニング中に見知ったキャンパス内で迷ってしまう。
アリスのままで
彼女は神経科を訪ね、脳の検査を受けた。脳血管に異常はないが、症状がアルツハイマー病と合致するため再検査を受けることに。不安で眠れないアリスは、真夜中にジョンを起こし、「人生を捧げてきたものが何もかも消える」と泣きながら打ち明けた。「何があっても僕がついてる」とジョンはアリスを励ますが、彼女の中から恐怖が消えることはなかった。

宣告

ジョンと一緒に病院を訪れたアリスは、若年性アルツハイマーと宣告された。しかもそれは遺伝性のもので、子供たちにも遺伝すると言われ言葉を失うアリス。

翌日、アリスは家族に告白し、子供たちは唖然とする。数日後の検査で、アナは陽性、トムは陰性であるということが分かった。リディアは検査を拒否した。アナは人工授精を控えているが「検査もできるし、赤ちゃんは大丈夫」と気丈に振る舞って入るが、その声は震えていた。

現代の医学では治すことはおろか、進行を防ぐことも出来ない。学生からは授業への不満が殺到し、遂にアリスは大学を辞めざるを得なくなる。夫との約束もすぐに忘れてしまう。アリスは「癌だったら良かった。恥ずかしくないから」と嘆くのだった。
アリスのままで

最後の夏

夏、長い休暇を過ごすために海の避暑地を訪れたアリス。こっちに来てから、彼女の体調は安定していた。
アリスのままで「私が私でいられる最後の夏よ」

アリスはジョンにそう告げる。しかし、ジョンは未だに現実と向き合えずにいた。今のアリスの目標は、双子の妊娠を叶えたアナの出産、トムの卒業、リディアの安定した将来を見届けることだった。

メッセージ

だが、アリスが全ての記憶をなくす日は一刻一刻と近づいてくる。何気なく操作していたパソコンにアリスはある映像を見つける。
アリスのままで「アリス、私はあなたよ。大事な話があるの。」

そう切りだされたメッセージ。かつての自分から今の自分へ。それはアリスが”アリスのままで”いるために残したものだった―。

映画を見る前に知っておきたいこと

リチャード・グラッツァー監督の遺作

リチャード・グラッツァー2015年3月10日、この映画の監督であるリチャード・クラッツァー氏がロスで亡くなり、『アリスのままで』は彼の遺作となった。企画の段階から持病のALS(筋委縮性側索硬化症)を悪化させており、周囲の協力を得てなんとか完成にこぎ着けたようだ。

彼にとって、アリスはどんな存在だったのだろう。本来、獲得していくはずである人生の中で喪失に向き合うということは、大きな傷跡を残したはずである。記憶を失うというプロットを持つ映画は数あるが、そんな経験を持つ彼だからこそなし得る表現がこの映画を特別なものにするのではないだろうか。

余談だが、2015年の3月13日には、ALS(筋委縮性側索硬化症)の物理学者ホーキング博士と妻ジェーンの愛を描いた映画『博士と彼女のセオリー』が公開されたことに、なんとなくだが不思議な因果を感じてしまう。

-ヒューマンドラマ, 洋画

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