映画を観る前に知っておきたいこと

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日本では公開不可能とされた幻の超問題作

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鬼才キム・ギドクが今、どうしても撮りたかった映画。

『嘆きのピエタ』(12)でのベネチア国際映画祭金獅子賞受賞によって、韓国映画界に初めて世界三大映画祭の最高賞をもたらした鬼才キム・ギドク。これは、彼が日本に来て監督、撮影、照明、録音を全て一人で行った執念の作品である。2011年3月11日、東日本大震災。それに伴う福島第一原発の事故を背景に、若き日本人夫婦の葛藤を描いた社会派ドラマを通じて、世界に原発問題を問いかける。

台湾でも活躍する俳優・中江 翼と『ほとりの朔子』(14)の堀 夏子が、原発事故に翻弄される主人公夫婦を演じる。


予告

あらすじ

2011年3月11日、東日本大震災。そして、福島第一原発のメルトダウン。5km圏内に住んでいた若い夫婦は、東京への移住を決意した。妊娠中の妻(堀 夏子)は放射能の赤ん坊への影響に不安を抱え、次第に正気ではいられなくなる。そんな中、政府の役人が現れ中絶を強引に促すのだった。

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© 2017 by Allen Ai Film

一方、写真家である夫(中江 翼)はかつてのままの美しい自然や動物の写真を撮り、妻を安心させようと単身福島に戻った。しかし、彼がそこで見たものは……!?


映画を観る前に知っておきたいこと

過去の不幸な歴史から軋轢を生む日本と韓国。そんな現状の中、韓国映画界きっての鬼才キム・ギドクが、わざわざ日本までやって来て製作したこの作品でどうしても伝えたかったメッセージ。それは、世界にとって原発問題を過去のものにさせないことである。日本では現在も、川内原発、高浜原発、玄海原発などの再稼働が問題となっている。僕たちは時間の経過によって、震災の傷を癒すと同時に、その痛みまで忘れつつあるのかもしれない。

しかし、福島が一刻も早く自然な状態に戻ることを願って作られたこの映画は、ギドクの意図を越えて、日本人の未来への不安まで掻立てる。世界各国の映画祭で物議を醸し、あまりの衝撃に上映困難とされた問題作は、日本ではその上に超がつく問題作となる。

日本では幻の超問題作

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© 2017 by Allen Ai Film

世界的な監督であるキム・ギドクが、東日本大震災とそれに伴う福島第一原発の事故を題材にしながら、日本では2015年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭でたった一度上映されたのみとなった。映画作家として彼が伝えようとしたメッセージは日本人にとって重要な意味を持つ反面、その内容があまりにショッキングだったのだ。

放射能汚染地域で汚染された食品を口にした妊婦が奇形児を出産するという、現実とは異なる放射能事故の影響を描いた衝撃的なストーリー。これは、映画的な葛藤を生み出すためのギドク自身の想像によるものだという。しかし、チェルノブイリに然り、放射能による人体への被害は数年を要する。つまり、日本にとっては、これから直面するかもしれない未来なのである。

ギドクを敬愛する日本の映画ファンが、今この作品と向き合うべきなのか。ただ一つ言えるのは、彼の代名詞である過激な描写も、今回ばかりは本当に目を背けたくなる。

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