映画を観る前に知っておきたいこと

スウィート17モンスター
大人もやられる共感映画

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誰もがこじらせて 大人になった

イケメンで人気者の兄とは対照的、自分はイケてないと嘆く17歳ネイディーン。人生の支えだった親友が、ある日突然兄と恋に落ちた?

コーエン兄弟最大のヒット作『トゥルー・グリット』(10)で、14歳にしてアカデミー助演女優賞にノミネートされたヘイリー・スタインフェルドが、自意識過剰で自己中心的な17歳の少女ネイディーンを熱演し、多くの共感を誘った青春映画。

共演には、『メッセンジャー』(09)でアカデミー助演男優賞にノミネートされたウディ・ハレルソンと、ゴールデングローブ賞主演女優賞(テレビシリーズ部門)の受賞歴を持つキーラ・セジウィック。二人が大人になりきれない大人としてネイディーンに寄り添う。

脚本も手がけたケリー・フレモン・クレイグはこれが初監督作品ながら、ニューヨーク映画批評家協会賞第一回作品賞受賞。アメリカの批評家たちがこぞって絶賛の声を寄せた。


予告

あらすじ

キスさえ未経験のイケてない17歳ネイディーン(ヘイリー・スタインフェルド)。恋に恋する少女は、妄想だけがいつも空まわり。父が他界してからというもの情緒不安な母親(キーラ・セジウィック)と教師のブルーナー(ウディ・ハレルソン)を困らせてばかりいた。そんな彼女の心の拠り所は、たった一人の親友クリスタ(ヘイリー・ル・ リチャードソン)だけだった。

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© MMXVI STX Productions, LLC.

片や、自分とは対照的にイケメンで人気者の兄ダリアン(ブレイク・ジェンナー)。ある時、何をしても敵わない兄へのコンプレックスを抱くネイディーンに、追い打ちをかけるような事件が起こる。なんと親友のクリスタが兄と恋に落ちてしまったのだ。

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© MMXVI STX Productions, LLC.

クリスタにとっても自分が一番のはずだったのに。不公平な人生を嘆くネイディーンは、世界にたった一人取り残されたような疎外感から、あるとんでもない行動に出てしまう……


映画を観る前に知っておきたいこと

若き女性監督ケリー・フレモン・クレイグが描き出す17歳の少女の気持ち。自意識過剰で自己中心的、被害妄想強めと、少し過剰とも取れる17歳の演出も、ユーモラスでいて決してリアリティを損なわない。ネイディーンは、女性監督にしか描き出せない魅力的なキャラクターだ。

だからこそ、ネイディーンの中に見る“あの頃のリアルな痛さ”が、大人である僕たちの共感まで誘ってみせる。それは、映画レビューサイトRotten Tomatoesの批評家支持率95%という評価にもよく表れている。(批評家に17歳の少女はいないはずだ)

大人もやられる共感映画

スウィート17モンスター

© MMXVI STX Productions, LLC.

主人公ネイディーンが抱く「みんなは幸せそうに生きてるのに、自分だけがこんなにダメな人間」という17歳特有の感覚。彼女を見ていると、まだ経験が足りないからこそ、一つの悩みがまるで人生の全てのように錯覚していたあの頃を思い出す。しかし、意外と多くの人が大人になった今も、あの疎外感をまだ抱えているのではないだろうか。

現代のSNSにおいては、誰もが作り込んだ自分を発信し、いつしか他人より充実していなければならないという強迫観念に駆られ、気がつけば本当の自分を見失う。大人になって自分を客観視できるようになったつもりでも、またあの頃のように狭い世界の中に閉じ込められていることも決して珍しくない。

映画の中で、初めてネイディーンがこれまでの自分の在り方を言葉にした時、少女は少しだけ大人になる。それは、彼女が本当の自分を知り、そして受け入れた瞬間である。大人でも深刻な悩みを抱えてしまえば、ネイディーンのように自分の状態を言葉してみることが必要だ。そんな時、この映画はきっと役に立つ。

監督のクレイグは、誰もが感じる疎外感を映画という言葉にすることによって、自分自身や自分を取り巻く状況を客観的に見つめることを促してくれている。そう、僕たちは決して一人じゃない。そんな風に感じさせてくれる映画なのだ。

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