映画を観る前に知っておきたいこと

T2 トレインスポッティング
特定の世代における特別な青春映画

T2 トレインスポッティング

彼らが選んだ ──
20年後の「未来」。

スコットランドの首都エディンバラの北部にある港町リース。かつてはそこにあった列車のヤードは長年放置されたまま、いつしかヤク中たちが集う悪の温床に。この土地では彼らのことを皮肉たっぷりに“トレインスポッティング(鉄道オタク)”と呼ぶ。

1996年、瞬く間に世界中の若者を虜にしたイギリス映画があった。ヘロイン、アルコール、喧嘩、軽犯罪、クラビング、未来を選べない若者たちの悲惨な日常をスタイリッシュかつ陽気に描き出し、90年代を代表する青春映画となった『トレインスポッティング』。決して色褪せないよう、記憶の端に避けたはずだったのに、2017年4月8日待望の続編がついに日本で公開される。

監督のダニー・ボイルはもちろん、ユアン・マクレガー、ユエン・ブレムナー、ジョニー・リー・ミラー、ロバート・カーライルらオリジナルキャストも再集結。音楽はアンダーワールドのリック・スミスが手がけ、イギー・ポップの「Lust For Life」(The Prodigy Remix)が再び映画を彩るあたりに、懐かしさと期待感が交差する。


予告

あらすじ

あれから20年の歳月が経ち、ロンドンでくすぶっていたシック・ボーイは、伯母からパブを譲り受け、スコットランドのリースへと戻ってきた。そんな彼の前に、かつて仲間の金を持ち逃げしたレントンが突然姿を現す。殺人罪で服役中のベグビーは出所時期が近づき、レントンへの復讐の念に燃え、スパッドは相変わらずなままだ。

T2 トレインスポッティング

© 1990-2017 IMDb.com, Inc.

ポルノ映画製作でひとヤマあてようと企むシック・ボーイのもと、4人は再び故郷のリースに結集する ──


特別な青春映画

ブリッドポップの熱に浮かされていた十代、社会風刺などは二の次だった。ドラッグ・カルチャーやその隣にある惨状すら憧れの対象でしかなかった僕は、『トレインスポッティング』をまるで流行りのブランド服のように眺めていた。この映画を知っている特別感が当時の僕のアイデンティティーだったのだ。

2002年には原作者であるアーヴィン・ウェルシュが続編『ポルノ』を書いたことが大きな話題となったが、結局映画化されることはなかったため、この小説を手に取った映画ファンは多い。僕もそんな一人で、続編が公開される今となっては脳みそをブチまけてしまいたい気分だ。

前作から9年後を舞台に、ポルノ映画でひとヤマ当てようと企むシック・ボーイのもと、レントン、スパッド、ベグビーが再び故郷リースに集うという設定で描かれた続編小説だったが、映画では製作までの空白期間を埋め合わせるように20年後に書き換えられる。

90年代を若者として生きた世代と同じだけ歳を重ねた4人の相変わらずのワルっぷりは、「Born Slippy NUXX」に乗せて一人だけしたたかに悲惨な日常から抜け出したレントンの姿を完全に過去のものにしてしまうのだろう。

それでも中毒患者のように何度も『トレインスポッティング』を観ていた僕にとって、待望の続編であることはどうやっても否定できない。真に厄介なのは精神的依存だ。

レントンの刹那的な生き方に憧れた当時の自分が嘘のように、安定した生活を求めるようになった今の僕の目に、この映画は一体どんな風に映るのだろうか?

そんなつまらないことばかり考える大人になったからこそ、『T2 トレインスポッティング』をまだ青春映画として観ていられるような気がする。

CAST.STAFF.BACK.

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