80年代に流行った探検番組を彷彿とさせる同名小説を映画化。落ち目の俳優・杉崎が、新境地を開拓するため、「ヤーガ」と呼ばれる未確認生物(UMA)を求めて秘境を探検するテレビ番組の撮影に奮闘する姿を描いたコメディドラマ。
主人公の熱血俳優・杉崎に藤原達也を抜擢。探検隊メンバーとなる番組スタッフ役には、ユースケ・サンタマリア、小澤征悦、田中要次、川村陽介、佐野ひなこ、岡安章介と個性的な役者を揃えた。
予告
あらすじ
かつて、主人公の熱血ぶりが話題を呼んだ「情熱探偵」という連続ドラマで人気を博した俳優・杉崎は、落ち目を迎えていた。
そんな境遇から脱するため、新境地を開拓しようと異国の秘境で伝説の未確認生物を追うテレビ番組「探検サバイバル」というフェイクドキュメンタリーのオファーを受けた。今回のテーマは、ベラン共和国という南海の孤島に伝説が残っているという三つ首の巨獣「ヤーガ」を発見するというもの。
番組は演出が過剰なだけのバラエティー番組だったが、杉崎は役者時代の癖が抜けず、極薄の企画書からストイックに役作りを進めようとする。
ところが、空港で合流したプロデューサーの井坂という男は、面白ければなんでもOKという軽い男で、現地のガイドマンもどこか怪しげ。さらに、紹介されたスタッフ兼探検隊メンバーも、風変わりなやつらばかり。無計画に撮影を進めようとするディレクターの瀬川。気難しいのか一言もしゃべろうとしないカメラマンの橋本。UMAオタクで協調性のない音声&証明の小宮山。番組作りそのものを冷ややかな目で見ている紅一点の若手AD・赤田。
杉崎は、そんなまとまりのないメンバー達にますます不安をつのらせていく。
ともあれべラン共和国に到着し撮影をスタートさせた一行は、現地のバザールやジャングルを経て、ヤーガが潜んでいる(という想定の)洞窟にたどり着いた。しかし、そこには思わぬ事態が撮影陣を待ち受けていた。その洞窟は、政府に反旗を翻さんとする反政府軍の隠れ家だったのだ。突如現れた武装集団に拘束された一行。果たして無事に番組を完成させることが出来るのだろうか。というかそもそも、生きて帰ることが出来るのだろうか――。
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映画を見る前に知っておきたいこと
原作・探検隊の栄光
「ちょんまげぷりん」が面白かったからという理由で手にとる人が多い小説「探検隊の栄光」。なかなか賛否両論な評価となっている。後に紹介する川口探検隊のパロディなのかと思って読んでいたら、ゲリラに囚われて予想外の展開やドラマに圧倒されてしまうという感想が多かった。酷評の方は「視点が複雑で分かりづらかった」という意見がちらほら。その点が映像作品であればビジュアルで分かりやすいので、気軽に見ても楽しめるエンターテイメントに仕上がっている。
予告動画や公式サイトはかなりコメディチックに作られているが、脚本はしっかりしていて面白いので見応えはあると思う。
川口探検隊
予告動画を見た人は、あの文体やテンションから昭和の人気番組「川口探検隊」を思い出す人も少なくないだろう。ヤラセかどうかもかなり話題になった人気番組。見たことない人は、とりあえずこの動画をチラっとでも見てみると良いだろう。
川口浩探検隊・巨大怪蛇ゴーグ
https://youtu.be/nxuW0Kr5Vps
新しい藤原達也
主人公は、落ち目の俳優・杉崎正雄(32)。とにかく熱い芝居と眼力に定評があるというこの男に、藤原達也を抜擢してきた制作陣を評価したい。最近ではシリアスな役まわりが多い藤原達也だが、彼の演技を見つめる視点としては、この映画はなかなか新しいのではないだろうか。
ぶっちゃけ僕には何を演っても“藤原達也”に見えるだけに、『探検隊の栄光』の砕けた空気感の中の藤原達也は、予告編だけ見ても新鮮に思える。