映画を観る前に知っておきたいこと

天使にショパンの歌声を
レア・プールが描く人生を切り開く女性たち

天使にショパンの歌声を

少女が奏でたのは、
未来の音色。

女性らしい繊細なタッチで温かな人間ドラマを映してきたカナダの監督レア・プール。実際の事件を基に思春期の少女たちの愛と情熱を綴った『翼をください』(01)、神秘の蝶と余命わずかな少年の奇跡の実話を映画化した『天国の青い蝶』(04)、彼女の代表作はいずれも日本でスマッシュヒットを記録している。

キャリア35年、映像作家として円熟期を迎えたレア・プールの集大成となる本作は、時代に翻弄されながらも音楽の力を信じ、強く明るく生きた女性たちの物語となった。

1960年代のカナダ・ケベック州、それは女性の権利や自由、社会進出はまだまだ認められていなかった時代。教育改革により閉鎖に追い込まれた音楽学校を救おうと、彼女たちは修道女の殻を破って立ち上がった。

クラシックの名曲たちに彩られた本作は、古い考え方や大きな権力に立ち向かう女性たちの生き方が深い共感を呼び、カナダのケベック映画賞で作品賞を含む最多6部門を受賞した。


予告

あらすじ

ケベック州の広大な地に佇む小さな寄宿学校。修道院が経営するこの学校では、今日も少女たちの澄んだ歌声が響き渡る。音楽教育に熱心な校長のオーギュスティーヌ(セリーヌ・ボニアー)、彼女の学校は前回のピアノコンクールで念願の銀メダルを獲得していた。

天使にショパンの歌声を

© 2015-9294-9759 QUEBEC INC. (une filiale de Lyla Films Inc.)

しかしそんな名門校も、近代化を進める政府の教育改革により公立学校が増え、転校する生徒が相次いだために経営が立ち行かなくなっていた。体制の見直しを迫られた修道院の総長が、採算の合わない学校から閉鎖していくことを検討する中、音楽会のチケット代にピアノ購入費と出費のかさむオーギュスティーヌの学校は真っ先にそのやり玉に挙げられた。

天使にショパンの歌声を

© 2015-9294-9759 QUEBEC INC. (une filiale de Lyla Films Inc.)

そんな時、オーギュスティーヌの学校に姪のアリス(ライサンダー・メナード)が転校してくるのだった。ピアニストとしての天性の才能を持つアリスに、オーギュスティーヌは学校存続の鍵になることを期待したが、彼女は心を閉ざしたまま誰の言うことも聞こうとしなかった。

それでもオーギュスティーヌは、学校の音楽イベントで世間に音楽教育の素晴らしさを訴えようと考えていた。しかしイベント前夜、アリスは寄宿舎を飛び出してしまった……


映画を観る前に知っておきたいこと

2016年、ケベック州で製作されたカナダ映画を対象とする第18回ケベック映画賞で作品賞、監督賞を含む最多6冠に輝いた本作。しかし、カナダ映画はその芸術性や評価と配給状況が必ずしも相容れないので、意外と目に止まる機会が少ないのが現状である。

カナダでも英語圏の作品はハリウッドとの競争を強いられ、さらには配給ネットワークがアメリカのコントロール下に置かれているため、自国の映画ファンですら作品を自由に選べない。

裏を返せば、それだけ名作が埋もれている可能性が高いのもカナダ映画なのだ。

レア・プール

日本ではあまりその名を知られていない監督レア・プール。代表作『翼をください』では女流監督らしく、同性愛に傾倒してゆく少女の感情の動きをつぶさに捉え、同性愛を蔑視する厳しい現実に少女を対峙させることで、真実の愛を美しいものへと昇華させたレア・プール監督。

また、日本でスマッシュヒットを記録した『天国の青い蝶』では、脳腫瘍に侵され余命いくばくもない少年が神秘的なモルフォ蝶を探し求める姿を感動的に綴ってみせた。ギリシャ語で“美しい”を意味するこの蝶のごとく、少年の純粋さと生きることの力強さは映画を輝かせたのだ。

そんなレア・プール作品の中にある“美”を、本作では音楽から追求する。

厳しい現実にさらされながら自ら人生を切り開く女性たちの力強さは、いつしか美しい音楽が持つ心動かす力とシンクロし、本格的にピアニストを目指してモントリオール音楽院で修練に励んだライサンダー・メナードの演奏が観客を魅了してゆく。

CAST.STAFF.BACK.

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