映画を観る前に知っておきたいこと

ザ・ボーイ 人形少年の館
観客の先入観を逆手にとったジャンル・スイッチムービー

投稿日:2016年6月19日 更新日:

ザ・ボーイ 人形少年の館

それは人形か?少年か!?
それは超常現象か?物理現象か!?

老夫婦から8歳の男の子ブラームスのベビーシッターとして古い屋敷に招かれたグレタ。しかし、老夫婦が溺愛するブラームスはただの人形だった!彼の世話をする時に“絶対に破ってはいけない10のルール”。グレタがルールを無視した時、ブラームスに異変が起こりはじめる……

観客の先入観を逆手にとったジャンル・スイッチムービー!

  • 製作:2016年,アメリカ
  • 日本公開:2016年7月17日
  • 上映時間:97分
  • 原題:『The Boy』

予告

あらすじ

子供を流産したグレタは、過去と決別するためアメリカからイギリスへと渡り、8歳の男の子のベビーシッターのアルバイトを始める事に。

依頼者である老夫婦に古い屋敷へと招かれたグレタだったが、これから世話をする男の子を見て驚く。老夫婦が溺愛し、ブラームスと呼ぶその男の子はなんと人形だった!

ザ・ボーイ 人形少年の館

一瞬冗談かと思い、笑うグレタだったが、老夫婦は真面目な顔で「この子があなたを選んだ」と言う。

ザ・ボーイ 人形少年の館

老夫婦はグレタにブラームスの世話をする時、“絶対に破ってはいけない10のルール”がある事を教えると、そのまま旅行に出掛けてしまうのだった。グレタは屋敷に一人残され、人形の世話をする事となる。

  1. 客人を招いてはならない
  2. 少年の顔を覆ってはいけない
  3. 食事は冷蔵庫で保管せよ
  4. 毎朝7時に起こすこと
  5. 平日は3時間勉強を教えること
  6. 音楽を大音量でかけること
  7. 少年を独りにしてはならない
  8. 庭のネズミ取りを掃除すること
  9. 必ず少年に食事を与えること
  10. お休みのキスをすること

グレタはブラームスの世話を続けるうち、次第にこのルールを破るようになる。すると人形に奇妙な現象が起こり始める。ブラームスとは過去に火事で亡くなった老夫婦の息子の名前だった……

映画を見る前に知っておきたいこと

設定としては人形ホラーの定番であり、いわゆる低予算系のホラー映画だ。そんな中、制作者が最も拘ったのが人形少年ブラームスだ。確かにこの人形の出来次第で映画の世界観も決まってしまう。

実際、試作品が何体もあるらしいが、何とも言えない不快感を持った秀逸な出来だ。まあ、いくつ作ったところで費用は知れているが……

人形少年ブラームスが新しいホラーのアイコンとなる可能性はあるのか?

評価(ネタバレなし)

さて、本作の評価だが、決して好評とは言えない。少し物語りが強引な感じがして、腑に落ちないという意見も多い。

「あなたの先入観が試される」という謳い文句通り、実際に観客を驚かせる仕掛けは用意してあるが、それも多少強引ではある。

ジャンル・スイッチムービーと紹介されているものの、決してホラーから大きく離れていく訳ではないので、その辺りは安心だ。単純にホラー映画を楽しむ分には悪くない。

次に、ジャンル・スイッチムービーの秘密に少し触れてみたい。この秘密はそのまま映画の最大の見せ場へとつながっていくので、まだ映画を観ていない人はここでストップ。

ジャンル・スイッチムービーの秘密(ネタバレ)

スイッチするジャンルは、ホラーからスリラーである。人形少年ブラームスに起こる奇妙な現象は超常現象ではなく物理現象なのだ。ここまで言えば勘の良い人は分かったかもしれない。

そう、火事で死んだはずのブラームス少年は生きていたのだ。彼は20年もの間、屋敷の壁の中でひっそり生活していた。かなり強引なやり方ではあるが、観客の先入観を逆手に取るという意味では成功している。

ただ、ジャンル・スイッチムービーという煽り方はどうだろう。観客からしたらホラーもスリラーも大した差はないはずだ。アイデアとしては秀逸だったが、もう少し脚本を詰めれば評価された映画だったかもしれない。

ラストシーンでは、壊れたブラームス人形を何者かが修復するという続編を匂わす描写が用意されている。次回作に期待したい。

-7月公開, ホラー, 洋画
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