映画を観る前に知っておきたいこと

コングレス未来学会議 映画なんか幻覚じゃん?痛烈なアンチ・ハリウッドSF

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コングレス未来学会議

1分あたり1200枚、合計60,000枚以上もの線画を全て手書きで描いたアニメーションと実写を交えたSF映画。『戦場でワルツを』で自身の戦争体験をアニメーションで描き、世界中を驚かせたフォルマン監督が、今度は『惑星ソラリス』の原作「ソラリスの陽のもとに」で有名なスタニスワフ・レムの「泰平ヨンの未来学会議」を映画化した。


  • 製作:2013年,イスラエル・イギリス・ドイツ・ポーランド・ルクセンブルク・フランス・ベルギー合作
  • 日本公開:2015年6月20日
  • 上映時間:120分
  • 原題:『The Congress』
  • 原作:小説『泰平ヨンの未来学会議』スタニスワフ・レム
  • 泰平ヨンの未来学会議〔改訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)

予告

あらすじ

コングレス未来学会議
2014年、ハリウッドは俳優の最も輝いていた時期の全てをスキャンし、そのデジタルデータを使い映画を作るという新しいビジネスを発明した。契約書には、キアヌ・リーヴスなどの大物俳優が既にサインしているという。

40歳を過ぎ、女優としての旬を終えようとしているロビン・ライトにも声がかかった。初めは笑い飛ばし、気にもかけなかった彼女だったが、女優の仕事は減る一方。難病を抱える息子を育てるシングルマザーとしての現実に悩んだ末、巨額のギャラと引き換えに映画会社ミラマウント社の契約書にサインした。
コングレス未来学会議
引き換えに、ロビンの女優活動はいかなる場合でも禁じられることになる。契約は20年。スクリーンでは若いままのデータのロビンが、頑なに出演を拒み続けたSFアクション映画のヒロインを演じ続けた。

それから20年後―。60歳のロビンは、ミラマウント社が主催する未来学会議に招かれた。科学の進歩はさらなる発展を遂げてた未来。会場にやってきたロビンは、セキュリティー止められる。

「ここから先はアニメーションしか入れません」

そう言われ薬を渡されたロビン。そして、未来学会議ではトンデモナイ話が進行する。
コングレス未来学会議
「これからは映画は薬になる」

映画を見る前に知っておきたいこと

ブラックユーモア満載

コングレス未来学会議
原作は1971年のSF小説である。ブラックなユーモアが満載のSF小説で、読んだ人はみな口を揃えてこう言う「すさまじい・・・。」既に絶版になっていて、日本の古本ではかなり高額で取引されている。(この度映画化を記念して復刊された。)

ぶっ飛んだ展開。ぶっ飛んだ人々。メディア文化を主題に扱うエンターテイメントは珍しくないが、ここまでブラックなユーモアを効かせた作品は珍しい。公式サイトのコメントには、映画をみてうずくまってしまっただとか、体が重く感じてしまっただとか、虚像、現実そんな言葉が並んでいる。どうやらそんなに清々しい作品でないらしい。

幻覚と現実の境目のない世界

思い込みの力というのは恐ろしい。幻覚は現実となり得るし、現実は幻覚となり得る。化学薬品を使わずとも、僕らは幻覚の世界に生きているとも言えるし、現実の世界に生きてるとも言える。

だが、誰もが一低の基準、自分の価値基準というものを持っている。自信もモノの見方とでも言うべきか。この作品はその境目をぶっ壊れた事が当たり前になった世界を描く。

思い込みの力だけでどこまでも行ってしまう世界。コングレス未来学会議で描かれる幻覚は、そんな生易しいものではない。それは恐ろしい悪夢の世界なのか、それとも素晴らしい自由な世界なのか・・・。

痛烈なアンチ・ハリウッド

映画の中では”ハリウッド批判”ともとれる台詞がガンガン出てくる。なのでこの映画はイスラエル・イギリス・ドイツ・ポーランド・ルクセンブルク・フランス・ベルギーの世界7カ国の合作。当然ハリウッドの協力は得られない。

正直、少し本音を申し上げると、ハリウッドのエンターテイメント映画はホントに中身がない。「あー、面白かった!」で終わり。「泣けた!」で終わり。「すげえ!」で終わり。泣かせることを目的に作っている映画ほど退屈なものはない。飽くまで個人的な所感だが。

BOB DYLAN『Forever Young』

映画ではBOB DYLANの「Forever Young」という曲が非常に重要なシーンで使われている。「永遠に若々しく」。アニメーションの世界なら、誰でも若くなれる。しかしロビンは映画の中ではずっと60歳のまま。そして彼女自身がこの「Forever Young」を歌う。それが何を意味するのかは、映画を見てのお楽しみ・・・。

-SF, アニメ映画, 洋画

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