映画を観る前に知っておきたいこと

【ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション】全米年間興行収入2年連続1位を獲得したシリーズの最終章

投稿日:2015年10月25日 更新日:

ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション

言わずと知れた『ハンガー・ゲーム』シリーズもこれで本当の完結を迎える。シリーズの続き物の完結ということで、今回はこれまでの作品全体の評価と感想をまとめた。

監督は、シリーズ2作目から務めているフランシス・ローレンスが続投。ジェニファー・ローレンスをはじめとするお馴染みの俳優人も出演。ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・ヘムズワース、ドナルド・サザーランド、そしてフィリップ・シーモア・ホフマン。

フィリップ・シーモア・ホフマンは14年2月に急逝し、本作が最後の出演作となった。

  • 製作:2015年,アメリカ
  • 日本公開:2015年11月20日
  • 上映時間:分
  • 原題:『The Hunger Games: Mockingjay – Part 2』
  • 原作:「ハンガー・ゲーム マネシカケスの少女」スーザン・コリンズ
  • ハンガー・ゲーム3 上_マネシカケスの少女 (文庫ダ・ヴィンチ) ハンガー・ゲーム3 下_マネシカケスの少女 (文庫ダ・ヴィンチ)

予告

あらすじ

第13地区の反乱軍は、カットニス(ジェニファー・ローレンス)を英雄として奉り上げ、ついにスノー大統領(ドナルド・サザーランド)が支配する独裁国家パネムとの最終戦争に突入した。ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューションゲイル(リアム・ヘムズワース)、フィニック(サム・クラフリン)、そしてピーター(ジョシュ・ハッチャ―ソン)を率いてスノー大統領暗殺を試みるカットニス。ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション反乱軍の動きを察知したスノー大統領は、無数のトラップや敵を配備し、事態に備えていた。命の危険に何度もさらされながら、やがてカットニスは過去のどのゲームよりも困難で過酷な決断を迫られることになる。ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション果たして革命は成功するのだろうか――。

映画を見る前に知っておきたいこと

綿密な世界観の構築と、印象深い10代のヒロインで世界中から高い評価を受けたハンガーゲームシリーズもいよいよ完結となる。

前章『ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス』の記事では、原作のタイトルにもなっているマネシカケスの謎を追った他、ジュリアン・ムーアのインタビューから撮影の様子や『ハンガー・ゲーム』の魅力について紹介した。

今回は物語の完結ということもあって、作品全体の評価と感想をまとめてみようと思う。本作を楽しみに待っている人にとってはかなり野暮な話になってしまうので、一応トグルで伏せておく。

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映画の見所は一体・・・?

映画『ハンガー・ゲーム』が世界を賑わしたのは2012年。世界的には巨額の興行収入を得る大成功を収めたが、日本では予想されていたよりも盛り上がらなかったようだ。理由は様々なことが考えられるだろうが、日本においてこの映画にまつわる主な話題と言えば『バトルロワイヤル』との類似性についての指摘だった。

「怨恨も何もない人間たちが集められて殺しあう」という設定そのものが盗用とまで言われたが、この設定のアイデアそのものは『バトルロワイヤル』以前から存在しているし、それだけ『バトルロワイヤル』=『ハンガー・ゲーム』を盗用で結びつけるのは早計だろう。

僕はと言えば、殺し合う理由の違い、世界観の違い、登場人物の見せ方の違い、様々な理由から盗用ではないと考えている。『バトルロワイヤル』は殺し合いの話だが、『ハンガー・ゲーム』はカットニスの話である。

ともあれ言ってしまえば元も子もないが、『ハンガー・ゲーム』が『バトルロワイヤル』のパクリかどうかということは、作品によって経済的な利益を得る人が考えることであって、特に視聴者が気にすることでもないとも思う。

ことさら問題は、ハンガー・ゲーム第三章はシリーズの完結という以外に“一体何を見れば良いのかが分からない”ということだ。

宣伝文句は軒並み主人公カットニスの過酷な運命にフォーカスされているが、それは前作を見ていない人には全く縁のない話であるし、「見知らぬもの同士の殺し合い」という衝撃的な設定を抜きにした独裁国家vsレジスタンスの世界観はそれこそ世に溢れている。

ハリウッド続編問題の象徴

原作の評価はというと、全世界に衝撃を与えた登場からここまで長い間結末を引っ張ってきたものの、読者を手放しで唸らせて幕を閉じることは叶わなかったようだ。

結末の評価には賛否両論が渦を巻き、どちらかというと失望に近いレビューの方が多かった。しかし、裏を返せばそれだけ『ハンガー・ゲーム』の作りこまれた舞台設定は衝撃的だったとも言える。

その衝撃に引きずられ、続きが気になって仕方がないある意味「惰性」に近いやり口は映画評論家の間でも度々問題にされているが、『ハンガー・ゲーム』に代表される長編小説の映画化はその問題の象徴と言えるのかも知れない。

海外ドラマを見ていていつも思うが、この業界はとにかく“次の話を気にならせる”引きが上手い。『ハンガー・ゲーム』もレジスタンスまで一通り見たが、続きが気になって見ているうちに何だか疲れてしまうあの倦怠感が纏わりついてくる。

ジュラシック・ワールド』の記事を書いたときは「そんな野暮なこと言わずに」という話をしたものの、あれはあれで動物園的なもの。『ジュラシック・パーク』を知らない人でも人類恐竜お祭り騒ぎみたいなノリで楽しめた。『ワイルドスピード』や『ミッション・イン・ポッシブル』などもこの見方に近いと思う。

しかし『ハンガー・ゲーム』の場合は、1作目から見ないとまず意味が分からない。かと言って1作目の衝撃的な設定が売りだったのだから、“3作目を見るために”1作目から見る価値があるかどうかと言われると首を傾げてしまう。

宣伝費用がかからない、多額の制作予算を獲得しやすいなどの理由から、ガンガン続編が発表されるハリウッド映画界。最近ではこの作品に代表されるように、続編ありきの引きで次回作の宣伝を兼ねた作りになっていることも多い。商業的には成功を収めているようなので、これからもこの流れは続いていくだろう。

「毒にも薬にもならない惰性の垂れ流し」という言葉は昨今のTV業界に向けて北野武の発言だが、なかなか味わいのある言葉である。

特に何が問題で何かに警鐘を鳴らすという大げさな話ではないが、2時間の尺で括られたひとつひとつの作品に対して愛着を持って映画を見ている身としては、なんとなく面白くない流れではある。

断っておくが、『ハンガー・ゲーム』は面白くないから見るのをやめておけという話では全くない。むしろ世界観に入り込めさえすればレボリューションまで長く楽しめる作品だろう。ファンになれればの話だが。

-ミステリー・サスペンス, 洋画

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