映画を観る前に知っておきたいこと

【千年医師物語~ペルシアの彼方へ~】原作は2100万部の医学アドベンチャー小説

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千年医師物語~ペルシアの彼方へ~

原作は全世界で累計2100万部以上の超ベストセラー小説。「千年医師物語」は全3部からなる大作で、~ペルシアの彼方へ~はその第1部となる。

11世紀のイングランド、最愛の母親を不治の病で失った少年ロブは医師になるため未知なる国ペルシアを目指す。そこでロブは世界最高の医師であるイブン・シーナに弟子入りする。しかし、どこまでも貪欲に知識を求めるロブは師匠の教えに背き禁断の行為に手を染める……

世界最高の医師と言われたイブン・シーナは、イスラム世界が生んだ博学の医師、哲学者、科学者として実在した。この物語は史実とフィクションが融合したスリルとロマンの医学アドベンチャーである。

本作を映画化するにあたって、ドイツ映画界が総力を挙げ3600万ドルというヨーロッパ映画としては破格の制作費を投じた。この一大プロジェクトを牽引したのはドイツの気鋭監督フィリップ・シュテルツェル。圧倒的かつ雄大な世界観で描かれた一人の若者の成長物語は知的好奇心を刺激する大人のアドベンチャーだ!


    • 製作:2013年,ドイツ
    • 日本公開:2016年1月16日
    • 上映時間:150分
    • 原題:『The Physician』
    • 原作:小説「千年医師物語」ノア・ゴードン

予告

あらすじ

11世紀のイングランドでは、多くの子供が炭坑や畑で働き、十分な食事ができるのはほんの一握りの者だけだった。まだあどけなさの残る少年ロブも炭鉱での重労働に従事していた。幼いロブと二人の弟妹にとっては辛い日々だった。

ある夜、母が突然の腹痛を訴えるが、医術と呼べるものは旅回りの治療師か理髪師が行うものしかなかった。ロブは急いで理髪師を探しにいくが、到着前に母は命を落としてしまう。この時代では不治の病とされた虫垂炎であった。この運命の夜から、母の命を奪った病の治療法を見つけるためロブの長い冒険の旅が始まる。親戚に引き取られた幼い弟や妹と別れ、一文無しで独りになった彼は、旅回りの理髪師の弟子となり、ともに旅を続けることに……千年医師物語~ペルシアの彼方へ~数年後、無鉄砲なまでに情熱的な若者に成長したロブは経験を積み、吸玉療法や放血や抜歯などの行為を人々に施すようになっていた。しかし、これらの治療は教会では神の冒涜とされ迫害の対象とされた。ある日、理髪師が二人の修道士に襲われ、ロブが仕事を引き継ぐことになる。それから、あらゆる技術を身につけたロブは母を奪った病の治療法を見つけるためには、さらに多くを学ばなければならないと考えるようになる。

そんな時、失明しかけた理髪師の目をユダヤ人医師が手術で治すのを目の当たりにしたロブは、手術の方法が学べる場所へ行くことを決意する。そして、最も聡明で腕の立つ医師イブン・シーナがいるという未知なる異国ペルシアのイスファハンを目指すことに……千年医師物語~ペルシアの彼方へ~ドーバー海峡を渡ってフランスを経由し、エジプトから陸路でイスファハンをめざす遠大な道程は、途方もない苦難に満ちていた。砂漠の死地を越え、ついにイスファハンに辿り着くロブ。そこで彼は、世界最高の医師と呼ばれるイブン・シーナに弟子入りし、様々な知識を貪欲に吸収してゆく。やがて、恐るべき黒死病との戦いなど幾多の試練を経験し、さらなる医学の謎を解明しようと勇み立ったロブは、師匠の教えに背いて禁断の行為に手を染める……


映画を見る前に知っておきたいこと

映画と原作の違い

本作についてまず思ったのが、映画化する難しさは相当なものだったであろうということだ。その物語の壮大さと、圧倒的世界観をどのようにして映像にしたのか?そこにはドイツ人監督フィリップ・シュテルツェルの様々な想いがあった。その苦労こそが本作の見所にも繋がっている。

ノア・ゴードンの原作「千年医師物語」はトリロジー小説となっており、第1部~ペルシアの彼方へ~だけでも850ページにおよぶ大作となっている。一つの章をとってもそれが一冊の本と言えるほどである。本作は上映時間も2時間半とかなり長めではあるが、それでも一つの映画の中に原作のすべてを落とし込むことは不可能だった。

そこでフィリップ監督が考えたのが、いかに原作を凝縮した脚本が作れるかということだった。大切なのはある特定の部分にスポットを当て、凝縮した後に自由な解釈で映画ならではの作品にできるかだった。フィリップ監督は長年の付き合いががあるヤン・ベルカーを脚本家として加えることで物語をさらに凝縮させた。原作の持つメッセージを要約した上で明確に伝えるには、凝縮した脚本をもう一度飛躍させる自由な発想を持つことが必要であった。

映画のプロットにはめるために、原作ではメアリーというキリスト教徒のキャラクターをユダヤ人女性レベッカに変えるなど細かい違いも見られる。こうした細部にまで拘り、原作のメッセージを残しながら映画ではよりそのメッセージを濃くすることで、原作の世界観を映画に落とし込んでいった。

例えば、映画では主人公ロブが医師を目指すきっかけをより明確に表現している。ロブは母親の死がトラウマとなり、そこから医学に傾倒していくわけだが、物語の重要なテーマである“死体の解剖は死刑に値する”という禁断の行為に手を染めていくことに十分な伏線が張られている。ロブは英雄的でありながら道徳的には常に正しい選択をしているわけではないことが浮き彫りとなっている。これにより史実を基にした歴史ものでありながら、一人の若者の成長を描いたドラマとしてさらに観客の心を揺さぶるような作品に仕上がっている。

こうした原作との違いがある中でも、フィリップ監督は原作の重要な要素は映画の中にきちんと盛り込めたと自信を持って語っている。この凝縮具合こそ本作の見所である。

-アドベンチャー, 洋画
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