映画を観る前に知っておきたいこと

【ナショナル・シアター・ライブ2015/宝島】舞台を映画ぐらい身近に

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ナショナル・シアター・ライブ2015/宝島

イギリス国立劇場ロイヤル・ナショナル・シアターが、世界で上演された舞台の中から、特に話題になった舞台を選りすぐって、映画館で上映するプロジェクト“ナショナル・シアター・ライヴ”。収録した内容に手を加えず、劇場の臨場感そのまま映画で味わえるよう制作されている。今年で第5段となるこの企画はロンドンのみならず、ニューヨークで上演された舞台も加わり、回を追うごとに充実している。今回もファン待望のラインナップとなっている。

その中で、9月11日に公開されるのが『宝島(Treasure Island)』。宝島の地図を手に入れた少年ジムが個性豊かな海賊たちとともに繰り広げる冒険譚。ロバート・ルイス・スティーヴンソンの傑作小説が、 英国ナショナル・シアターの手により最高のエンターテインメントとして登場する! 一本足の海賊ジョン・シルバーを演じるのは、TVドラマ「ドクター・フー」のアーサー・ダーヴィル。

世界の見逃せない舞台をもっと身近に。

    • 製作:2015年,イギリス
    • 日本公開:2015年9月11日
    • 上映時間:未定
    • 原題:『National Theatre Live: Treasure Island』
    • 原作:ロバート・ルイス・スティーヴンソンの小説「宝島(Treasure Island)」

宝島 (福音館古典童話シリーズ (18))

原作のあらすじ

ロバート・ルイス・スティーヴンソン:「宝島(Treasure Island)」

物語は、ある海辺のさびれた宿屋に、ビリー・ボーンズという、顔に刀傷があり大きな箱を抱えた謎の大男が現れるところから始まる。宿屋の息子のジム・ホーキンズ少年が本作の主人公であり、語り手である。ビリー・ボーンズは「片足の男」にひどく脅えており、ホーキンズ少年に「片足の男に気をつけろ。片足の男が現れたら、すぐ俺に知らせろ」と言いつける。

やがてビリー・ボーンズの周囲に、彼を追跡してきたらしい怪しげな人物が出没するようになる。ボーンズは次第に酒浸りになり、ある晩、そのうちの1人と乱闘の末に死んでしまった。ホーキンズ少年は地元郷士のトレローニとリブシー医師とともにボーンズの箱を調べ、帳面から彼がかつてフリント船長という海賊の船の一味であったことと、海賊団は集めた財宝を大西洋のある孤島に隠したことを知り、そしてその島の位置を記した地図を見つける。トレローニとリブシーはブリストルで船を仕立て、財宝を探しに行くことになった。航海には素人のトレローニは、波止場で居酒屋を開いていたジョン・シルバーという片足の男の助けを借りて乗組員を集め、シルバー本人もコックとして船に乗り込んだ。やがて、ホーキンズ少年をはじめ一行が乗り込んだ船はブリストルを出港する。

一行は航海の末に宝島にたどり着くが、シルバーは実はフリント海賊団の元一味で、自分が乗りこませた海賊仲間と共に島で反乱を起こす。幸運にもホーキンズが事前に反乱の相談を耳にし、船長のスモレットに通報していたおかげで船長以下、トレローニやリブシー医師は辛くも脱出し、島で海賊一味との戦いがはじまる。海賊たちの間にも内輪もめがあり、またむかしこの島に置きざりにされた元海賊のベン・ガンの助けを借りて、一行は海賊たちを撃退し、財宝を手に入れることに成功する。

生き残ったジョン・シルバーは降伏し、ホーキンズたち一行と共に島を離れるが、イギリスでの処罰を恐れ、帰途に寄航したカリブのある島で銀貨数袋をくすねて脱走し姿を消す。イギリスに帰り着いた一行は、財宝を分配し、それぞれの道を歩むことになった。

映画を見る前に知っておきたいこと

舞台を映画ぐらい身近に

この“ナショナル・シアター・ライヴ”という企画は、素晴らしい試みである。舞台を映画館で見れることで、映画と同じぐらい舞台が身近な存在になる。そのために、一切手を加えないことで少しでもライブ感が楽しめるようになっている。それでも実際の舞台とは違うだろうが、厳選された上演が見れるなどメリットもある。

たまにバンドのライブを映画館で上映する企画などもあるが、実際のライブよりはリーズナブルで気軽に楽しめる。バンドのライブに至っては観客の熱気に差があるが、舞台はこれよりは実際の上演に近い感覚で見られると思う。

僕も舞台を見に行くことはないので、映画を通したこういう企画が増えてくれるとうれしい。この“ナショナル・シアター・ライヴ”という企画は日本では2014年から公開されるようになって、2015年は全部で8作品あるので近くの映画館で上映されていれば、試しに舞台を体験してみるのもいいと思う。

  • 「ザ・オーディエンスThe Audience」(アンコール上映)
    映画「クィーン」でアカデミー賞主演女優賞を受賞したヘレン・ミレンが、再びエリザベス2世に扮した話題作。 1952年の即位以来、女王が毎週行っている英国首相たちとの謁見の模様を描く。2015年3月にはNYブロードウェイでも開幕。 同作を基にしたドラマシリーズも製作中という、演劇・映画ファン必見の舞台だ。
  • 「欲望という名の電車A Streetcar Named Desire」(新作)
    ヴィヴィアン・リーやマーロン・ブランドが出演した映画版(51年)でも知られるテネシー・ウィリアムズの名作に、アメリカ人女優ジリアン・アンダーソンが挑戦。 没落した名家の令嬢ブランチがたどる悲しい末路を体現する。彼女のキャリアの中で最も素晴らしい演技だと称されたブランチ役を、どうぞお見逃しなく!
  • 「二十日鼠と人間Of Mice and Men」(新作)
    出稼ぎ労働者たちの過酷な現実を描いた、ジョン・スタインベックの社会派戯曲。2013 ̶14シーズンにブロードウェイで上演され、 好評を博した同プロダクションでは、映画俳優ジェームズ・フランコとアイルランド出身の個性派クリス・オダウドが主演を務めた。 オドウドは同作でトニー賞最優秀男優賞にノミネート。
  • 「スカイライトSkylight」(新作)
    1997年に緒形拳&若村麻由美の共演で日本初演された、デヴィッド・ヘアー作の3人芝居。『ザ・オーディエンス』のスティーヴン・ダルドリーが演出する今回、 名優ビル・ナイと若手実力派キャリー・マリガンが不倫関係にあった元恋人同士に扮する。人気デザイナー、ボブ・クロウリーが手掛けた舞台美術にも注目だ。
  • 「フランケンシュタイン」(アンコール上映)
    ローレンス・オリヴィエ賞で見事に主演の2人ベネディクト・カンバーバッチとジョニー・リー・ミラーが主演男優賞を同時受賞した傑作舞台。有名すぎるメアリー・シェリーの原作ですら、アカデミー賞監督ダニー・ボイルが演出すると今まで見たことのない新しい世界へと生まれ変わり、怪物の抱えた心の動きにグイグイ引き込まれること、間違い無し。
  • 「オセロOthello」(アンコール上映)
    シェイクスピア四大悲劇の一つを、ローレンス・オリヴィエ賞に輝く実力派エイドリアン・レスターをタイトルロールに迎えて贈る。 ニコラス・ハイトナー演出の本公演では、上官オセロを憎み、彼の失墜を謀るイアーゴーを熱演したローリー・キニアが、2014年のローレンス・オリヴィエ賞で最優秀主演男優賞を獲得。
  • 「リア王King Lear」(アンコール上映)
    アカデミー賞受賞監督サム・メンデス(「アメリカン・ビューティー」)が演出したシェイクスピア悲劇。 イギリス演劇界きっての名優サイモン・ラッセル・ビールが、自ら王権を手放した老王の転落人生を演じ切る。 愛する者たちに裏切られ、正気と狂気のはざまをさまよう主人公の痛切さを体現する、ビールの名演を見逃すな!

-アドベンチャー, 洋画

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