カルト的な人気を誇る筒井哲也原作の同名漫画を原作にしたクライムサスペンス。実写映画の他に連続ドラマ、スピンオフコミックと、今後様々なメディアで展開される巨大プロジェクトの一つだ。動画投稿サイトを使った犯行予告通りに制裁を繰り返すダークヒーローと、若きキャリア女刑事の知能戦に加え、現代社会の闇を洗い出すように繰り返される犯行が世論を巻き込んで、犯罪者、警察、世論の三つ巴の混沌を生み出していく。
- 製作:2015年,日本
- 日本公開:2015年6月6日
- 原作:漫画『予告犯』筒井哲也
- 上映時間:119分
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3
映画を見る前に知っておきたいこと
- 3.1 漫画との違い
- 3.2 動画投稿サイトを使った犯行予告
予告
あらすじ
Tシャツ姿に新聞紙の頭巾を被った男が自らを“シンブンシ”と名乗り、”食中毒事件を起こした食品加工会社に放火する”という内容の犯行予告をしている動画が発見された。
「食い物の扱いも知らないこいつらに、俺がきっちり火を通してやる。」
予告通り放火は実行され、ネット犯罪を取り締まる警視庁サイバー犯罪対策課が捜査に乗り出す。そして、捜査官・吉野絵里香(戸田恵梨香)はシンブンシが単独犯ではなく、複数犯であることを突き止めた。だが捜査の手を嘲笑うかのように予告と制裁は繰り返され、模倣犯が現れマスコミの報道は過熱、ネット上での支持率も高まり、”シンブンシ”はカリスマ的な人気を博すまでになっていた。
彼らは予告をすればきっちり制裁を下す。制裁の方法も様々で、監禁拉致して重傷を負わせる、精神的苦痛を与える、または世間での評判を失墜させるようなケースまである。予告配信現場に残される“ネルソン・カトー・リカルテ”という謎の文字。彼らの凶行の目的とは。
吉野はシンブンシ達の知られざる過去に事件解決の糸口を見出すのだが・・・。予告犯、警察、世論、彼らを取り巻く複雑なメタファーは、物語を予想もつかない結末へ導いていく。
映画を見る前に知っておきたいこと
漫画との違い
作者は一部でカルト的な人気を誇る筒井哲也。実際に話題になった事件や、ネットに根付いている文化などが生々しく描かれている。制裁の対象は集団食中毒事件を起こした食品会社、SNSで性犯罪を擁護した大学生、ゲームの違法アップロードなど、ネット上で話題になり”炎上”を起こした人物や企業が対象。
インターネットという遠い世界の出来事を身近に感じられるテーマが作品全体を貫通しているので、非常にリアル。寒気がするほどだ。物語はフィクションだが、犯行に及んだ背景も事件の内容もリアル過ぎて、現実社会でいつ同じことが起こっても何も不思議ではないほどに恐ろしい。
犯行は緻密。警察を意に介さずネットで犯罪を実況するなど、大胆かつ巧妙な手口で捜査の手をくぐり抜けていく新聞男。吉野もかなりのキレもので、新聞男vs吉野の知能戦も見所の一つ。物語の鍵を握る“新聞男”の一人、ゲイツを演じるのは生田斗真。
今回の実写映画はこの作品をかなりエンターテイメントよりに制作しているらしいので、現代社会の闇にずぶずぶに浸かった漫画の方をを読んでから見に行くほうが楽しめるかもしれない。
動画投稿サイトを使った犯行予告
全く余談だが、似たような作品に『残響のテロル』というアニメ作品がある。同じように動画投稿サイトを使ったテロ予告と、取り締まる側の知能戦を描いた作品だ。こちらは『予告犯』よりは随分フィクションに寄っていてで軽いが、大人が見ても面白いアニメなので気になった方はぜひ。