映画を観る前に知っておきたいこと

誘拐の掟 殺人鬼との絶体絶命の交渉

投稿日:2015年4月15日 更新日:

誘拐の掟

同月公開されるノンストップアクション『ラン・オールナイト』を主演するリーアム・ニーソンのサスペンス・ミステリー。心に傷を負った元刑事が史上最悪の連続誘拐殺人犯から少女を救うためにぎりぎりの交渉を始める。猟奇殺人鬼相手に交渉は可能なのか。「誘拐犯に告ぐ、殺したら、殺す。」

原作はローレンス・ブロックの人気小説『獣たちの墓』。二人組の殺人鬼という珍しい設定で息詰まる心理戦が繰り広げられる。

  • 製作:2014年,アメリカ
  • 日本公開:2015年5月30日
  • 原題:『A WALK AMONG THE TOMBSTONES』
  • 原作:ローレンス・ブロック著『獣たちの墓』
  • 上映時間:114分

予告

あらすじ

ニューヨーク市警の元刑事である無免許の私立探偵マット・スカダーのもとに、麻薬ディーラーであるケニー・クリストから不吉な依頼が舞い込んでくる。ケニーは何者かに妻を誘拐され、40万ドルの身代金を奪われたうえに、惨たらしい手口で惨殺された。スカダーはその犯人の調査を始める。誘拐の掟やがてスカダーは正体不明の二人組の犯人に辿り着く。犯人たちの動機は快楽殺人でもあり、警察に通報できない麻薬関係者の身内ばかりを狙い、血も涙もない凶行を繰り返していることが明らかになる。しかし新たにターゲットになったのは14歳の少女だった。誘拐の掟常軌を逸した殺人鬼との交渉を任されたスカダーは、刑事時代に犯した過ちの赦しを求めるかのように、絶体絶命の交渉に挑む。

映画を見る前に知っておきたいこと

リアルな交渉術とリアルな犯人像

本作はフィクションではあるが、スカダーが人質救出のために使う交渉術はリサーチに裏打ちされたリアルなものだ。交渉の原則通り、まず人質の安全を確認するが、その方法も犯人側の安易なトリックを許さないなかなか考え抜かれた方法だ。さらに、短時間の交渉の中で相手の性格(たとえば、回りくどい言い方をすることや、意外と冷静なところ)などをあぶり出すことに成功しているなど実際のプロの交渉術に匹敵する内容となっている。

また犯人像も過去の猟奇殺人から考えられるリアルなものだ。二人組の殺人鬼という設定は珍しく、性的な目的の場合は単独犯が多いが、過去には、一人はレイプしたり殺害することを、もう一人は死体を解体することを目的としていた例もある。また本作の犯人は金銭目的よりも交渉自体を楽しんでいる傾向にあり、相手の恐怖や感情をコントロールすることに喜びを感じている。このあたりも犯罪心理学的にリサーチされたリアルな犯人像で描かれている。

スカダーの苦悩や過去の過ちに焦点を合わせた人間ドラマとしても魅力的な作品だが、人質交渉技術、犯人像の推定手法などを楽しむという見方もいいかもしれない。

主演 リーアム・ニーソン

同月公開されるアクション映画にも出演しているリーアム・ニーソンのを、また違う側面から見られることも本作の魅力だ。ジャンルは違うが、『ラン・オールナイト』を見た人はこちらを、こちらを見た人は『ラン・オールナイト』を見比べてみるのも面白い。一山超えた男の深みを存分に味わえる。

-ミステリー・サスペンス, 洋画

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。